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The Dutch Naval Air Force Against Japan

Tom Womack McFarland

「日本軍と戦ったオランダ海軍航空隊」という滅茶苦茶マイナーなテーマを扱った作品である。そもそもオランダ海軍航空隊って何?。どんな編制だったの?。といったような基本的な知識もないまま読み始めた本書であった。
海軍航空隊といっても日米英にように空母を保有している訳ではないオランダ海軍にとって、航空戦力は哨戒用の水上機/飛行艇が全てであった。その装備機は、彼らが"Yボート"と呼んだ米国製PBY-5「カタリナ」哨戒飛行艇をはじめ、ドイツ製の3発飛行艇ドルニエDo.24、自国製の双発水上機フォッカーT.IV等であった。
彼らの主要任務は洋上哨戒で、中には航空雷撃で日本駆逐艦「東雲」を撃沈したとされるX-32(ドルニエDo.24)等の活躍もあった。しかし1942年2月に入って日本軍の航空脅威がジャワ島本島に及んで地上で次々と撃破される事態となり、やがて3月に入って蘭印全域のオランダ軍が降伏するに及んで、同方面での抵抗を終えていった。
本書は蘭印地区におけるオランダ海軍航空隊の活躍について克明に記録している。また洋書の特徴ともいえる詳細な付録(Appendix)については本書も例外ではなく、蘭印地区に展開したMLD(王立オランダ海軍航空部隊)所属の各飛行中隊の顛末、所属する機体1機づつの戦歴と最後、蘭印作戦に参加した日蘭両軍の主要航空機のスペック等が記載されている。
太平洋戦史の隙間を埋める著作として評価したい作品である。

お奨め度★★★★