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YSGAといえば、作戦級や戦略級ゲームが幅広くプレイされているが、戦術級ゲームといえばASLシリーズを除けばあまりプレイされていないように思える。そこで今回、有志が集まり「戦術級ゲームだけの例会」を1泊2日で開催した。開催場所は神奈川県の某所。参加者は3名で2日間戦術級ゲームだけを思う存分楽しませて頂いた。
以下はその記録である。

Fighting Formation(GMT)

WW2における小隊規模の戦術級ゲームである。通常の戦術級ゲームのような汎用ユニット、汎用マップを使うのではなく、ドイツ軍グロスドイッチュランド師団を主役として同師団が参加した主要な戦闘をシナリオ化している、というのが特徴である。
コマンドコントロールを表現するために独特なシステムを採用しており、一言で説明するのは難しい。要するにイニシアティブを消費しながら行動し、行動すればイニシアティブが徐々に相手方に移っていく。イニシアティブが中間線を越えて相手側領域に移れば、今度は相手方が行動し、イニシアティブが自軍側に戻って来る。こうしてお互いにイニシアティブをシーソーゲームのように動かしながら行動を起こしていく。面白いのは国籍の違いによって行動時に消費するイニシアティブ値が異なっていることで、例えばソ連軍の場合は移動系や狙撃兵等のイニシアティブ消費量がドイツ軍よりも少なくなっている(つまりその種の行動を起こしやすい)。

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練習シナリオを少しプレイしてみた。ソ連軍を担当したが、ドイツ軍の歩戦連合部隊にボコボコにされてしまい、早々にプレイヤーの士気崩壊を起こしてしまった。なんであんなに三突が強いねん。
システム的には上記の通り興味深いものがあるのだが、どうも納得できなかったのが離散・集合ルール。小隊規模の部隊を適宜分隊(又は1両、1両の車両)に分解して運用できるというものだが、射撃効率を高めるためには分散させた方が効果的だという。これは一体何を再現したいルールなのか?。分散させて左右から挟み撃ちをする、というのならわからなくはないが、同一ヘクスにいる場合でも分散した方が有利な場合があるという。このあたりの運用がゲーム的なように思えて、あまり好きにはなれなかった。

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Zero!/Corsairs & Hellcats(GMT)

引続いてGMT社のカード空戦ゲームZero!及びその続編であるCorsairs & Hellcatsをプレイする。このゲーム初めてのプレイヤーがいたので、ルールを簡単に紹介した後空戦シナリオをプレイ。これで概ねルールが理解できた所でキャンペーンシナリオに挑戦した。今回選んだシナリオは「ガダルカナル」。最大20回のミッションを繰り返すという大型シナリオである。詳細は別途報告の予定。

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World at War - Blood and Bridges

下名はLNL Publishingという会社名についてあまり聞いたことがないが、現在戦やWW2の陸戦戦術級、作戦級のゲームをいくつか出版しているらしい。World at Warシリーズは1980年代に想定される米ソの激突を描いたシリーズで、1ユニットは1個小隊、1Turnが5~15分、1Hex=150mのスケールで再現する。

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今回、本シリーズに初挑戦することになり、下名が一夜漬けで英文ルールを素読みしてルールマスターを担当。他の2名が東西両陣営に分かれて入門シナリオに挑戦する。選択したシナリオはシナリオ4「The Deffense of Anhausen」(アンハウゼン防衛戦)。ライン川東岸地区のアンハウゼンを巡る英軍とソ連軍の攻防戦を描く。と、この記事を書きながら気づいたが、このゲームのマップは実在地形を描いており、戦術級ゲームにありがちな架空地形ではない。
シナリオの話に戻ると、このシナリオではソ連側にはT-64戦車1個中隊(3ユニット)とBTR-70装甲兵員輸送車装備の機械化歩兵2個中隊(5ユニット)からなる部隊が登場する。歩兵の一部はAT-3「サガー」対戦車ミサイルを装備。対する英軍はFV-432装甲兵員輸送車装備の機械化歩兵1個小隊(3ユニット)と支援用の対戦車車両FV-438「スィングファイア」1ユニットが登場する。歩兵部隊の一部はミラン対戦車ミサイルを装備。

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戦車の有無、対戦車装備等を比較すると英側の劣勢は明らかだったが、思いの外英軍は善戦した。ミサイル攻撃によってT-64戦車小隊2個が瞬く間に撃破され、さらにソ連歩兵の仕掛けた白兵突撃も英歩兵の反撃によって撃退される始末。結局ソ連攻撃部隊は過半数を失って撃破され、英軍の勝利に終わった。

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下名はルールマスターだったので対戦には参加していないが、ゲームシステムは解りやすく面白そうだと思った。現代戦を扱ったゲームは複雑になりがちだが、本作は複雑な現在戦をシンプルなルールで上手く再現している。しかもルールは簡単ながら単に歩兵と戦車の撃ち合いだけではなく、砲兵支援や航空攻撃、攻撃ヘリ、さらに化学兵器や誘導砲弾まで登場する。

個人的に気にったので、シリーズの他のゲームや、ほぼ同等のシステムでWW2を扱ったNation at Warシリーズもプレイしてみたいと感じた。


戦車戦(HJ)

戦術級ゲーム例会最後のアイテムはHobby Japanが1980年代前半に発表した「戦車戦」。1両単位での戦車同士の撃ち合いを再現しながらも、シンプルなルールでプレイしやすい好ゲームだ。この種のゲームは数両の戦車を扱うだけでも大事だが、このゲームならば大隊規模つまり30~40台の戦車であっても苦もなく扱える。
今回プレイしたシナリオはシナリオ11「モルトケ戦隊」。1945年4月後半におけるベルリン近郊での攻防戦を描いている。ソ連軍の登場兵力はスターリン2、T34/76、T34/85、SU-85、SU-100といった戦車/駆逐戦車が計43両。対するドイツ軍は、4号、5号「パンター」、6号「ティーガー」等の戦車が14両と「ヤークトパンター」、3号突撃砲等の無砲塔自走砲が6両、それに各種対戦車砲が8門と歩兵5個分隊である。下名はソ連軍の半数を担当する。

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序盤は遠距離砲撃戦。稜線越えのハルダウン姿勢で布陣した5号戦車「パンター」と5号駆逐戦車「ヤークトパンター」計4両が遠距離から的確な射撃を行い、忽ち4両のソ連戦車を撃破する。しかしソ連軍も85mm砲装備のT34/85や100mm砲装備のSU-100、さらに122mm砲装備の「スターリン」重戦車等が遠距離から打ち返す。命中率は低かったが、それでも数があれば何発かはドイツ戦車に命中する。そして85mmクラス以上の大口径砲弾であれば、中距離からの射撃でも「パンター」「ヤークトパンター」を射抜くことは可能だ。結局この中遠距離砲戦によってソ連軍はT34/85中戦車5両とSU-100重自走砲1両を失ったが、「パンター」「ヤークトパンター」計4両を撃破。そしてドイツ軍の第1防衛ラインを突破した。

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その後左右から接近するソ連軍戦車部隊はドイツ軍が守る十字路に次第に接近していく。建物に陣取るドイツ軍戦車や対戦車砲。さらに町に近づくにつれて歩兵の放つパンツァーファウストによってソ連軍戦車部隊は多大な損害を強いられていく。しかしそれでも兵力に勝るソ連軍は、数の力にモノを言わせて相互損害の要領でドイツ軍を一つ一つ仕留めていく。その度に甚大な損害を強いられることがあったとしても・・・。

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結局全22Turn中18Turn目でドイツ軍は文字通り全滅。その過程でソ連軍は32両の戦車/自走砲を失った。全兵力の約3/4に相当する兵力である。ドイツ軍の損害はAFVが20両と対戦車砲が8門。キルレシオではソ連軍が明らかに不利であったが、それでも何とかシナリオ的には勝った。

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ゲームの感想だが、射撃戦のシステムは驚く程シンプルである。ダイス(1D6)を振って命中率以下の目が出れば命中。貫通力は距離によって一律に決まっており、抜ける抜けないにダイスは使わない。ベース6なので射撃システムがやや大味な感はあるが、それでも雰囲気は出ていると思う。何といっても1プレイヤーが30~50台の戦車を受け持っても、負荷感がそれほど多くないという「軽さ」が良い。

機会があれば他のシナリオもプレイしてみたいと感じた。

最後に

今回会場をご提供頂いたS氏には感謝を意を表したい。