イメージ 1

Aegean Strikeは1986年に米国Victory Games社から出版されたシミュレーションゲームである。テーマは1990年頃を想定した米ソの対決で、舞台はバルカン半島である。
本作は、姉妹編であるGulf Strikeとルール、システムが共通のものとなっており、スケールも同じである。大隊~師団規模の陸上部隊、1個中隊規模の航空部隊、数隻からなる小艦隊を示す海軍部隊がユニット化され、1Turnは実際の1日、1Hexは28kmに相当する。

今回、Aegean Strikeをプレイするにあたり、プレイヤー3人でプレイすることにした。担当はワルシャワ条約機構軍(以下、WP軍)担当が2名、NATO軍担当が1名で、WP軍は1名が海空軍、1名が地上部隊を担当する。下名はNATO軍を担当した。

戦争開始前

本作は戦争開始前からゲームが始まる。第1Turnは動員開始Turnとし、これを"M+0"Turnと称している。以後、M+1、M+2、M+3、・・・・・と進んでいく。その間様々な政治イベントが発生したり、トルコ海峡が封鎖されたりする。通常確率的には数Turn後に戦争が開始されることになっているが、今回はダイス目に翻弄される形となり、なかなか戦争が開始されなかった。
その間、ルーマニアが中立を宣言してWP軍プレイヤーを慌てさせたり、イスラエルがNATO側について参戦したり、エジプトが中立を宣言したりと政治的には色々とあった。

海ではソ連の黒海艦隊がトルコ海峡を抜けて地中海に進出。イタリアに展開する米空母部隊を牽制する。
地上では両軍とも動員を進めている。

結局戦争が始まったのはM+20Turnで、動員開始から既に1ヵ月以上が経過していた。両軍ともほぼ動員を終え、完全状態で戦争を迎えることとなった。

イメージ 2


1Turn(M+20)

イメージ 8戦争が始まった。ここエーゲ海戦線でもWP軍が国境を越えてギリシア、トルコに進攻する。空から叩くNATOの航空部隊。両軍の戦闘機同士が激しいドッグファイトを繰り広げる中、WP軍が国境を越えた所でトルコ、ギリシア軍の防衛線と接触。激しい激突となる。トルコ・ギリシア両軍は圧倒的兵力を誇るWP軍の攻撃を受けつつも前線を支え続けている。

イメージ 9東地中海でも両軍の激突が始まっていた。米軍、そしてNATO側に立って参戦したイスラエル空軍が共同でリビア、ベンガジのソ連軍航空基地を叩く。ここには最新鋭のMiG-31フォックスハウンド2個中隊の他、ソ連海軍航空隊の至宝とも言うべきTu-26バックファイア1個中隊が展開していた。米軍としてもここの航空基地は事前に潰しておきたい。友軍艦艇が東地中海で自由に行動できるように。
そのために米軍は大兵力を投入した。イタリア南部から発進する米空軍のF-15Cイーグル、F-16Cファルコン、F-4Eファントム、F-111Fアードバーグ。またテルアビブからはイスラエル空軍のF-15C、F-16Cが攻撃に加わる。さらに米空母「アイゼンハワー」を発進した艦載機も攻撃に加わり、圧倒的な兵力でベンガジを叩いた。迎撃に上がってきたMiG-31によって攻撃隊は計4ステップを失ったが、最後は兵力の違いにモノを言わせてベンガジ基地は壊滅。MiG-31、Tu-26の部隊も壊滅した。

イメージ 13またクレタ島沖にはソ連黒海艦隊の主力が進出していたが、それに対して米英の攻撃型原潜が襲い掛かった。第1目標は軽空母「キエフ」である。巡航ミサイル2発が「キエフ」に命中して同艦は中破した。そこへ戦艦「ニュージャージ」が放ったトマホーク巡航ミサイルが「キエフ」に命中。「キエフ」はクレタ島近海に沈没した。

イメージ 3


イメージ 10黒海ではギリシア、トルコ海軍のディーゼル潜水艦がソ連、ブルガリアのそれと対決している。性能面では全く互角であったが、数ではNATO側が有利であった。ギリシアの潜水艦1ユニットが沈没したのに対し、ソ連海軍もディーゼル潜水艦1ユニットを失った。

このTurn、WP軍の損害が15ポイントを超過したので、主導権移譲(ターンオーバー)が起こった。次TurnはNATO軍が主導権プレイヤーとなる。

2Turn(M+21)

主導権を取ったNATO軍だが、先のTurn、部分的に地上反撃を実施した際に大した戦果をあげることなく補給ポイントを失う結果に終わったことに懲りていた。そのためNATO軍は前線の整理に終始し、攻勢を仕掛けることはなかった。

イメージ 4


イメージ 11イメージ 12東地中海、クレタ島近海では米ソ両海軍の戦いが続いている。シシリー島近海から出撃した米戦艦「ニュージャージ」がクレタ島近海のソ連艦隊にトマホークミサイルによる巡航ミサイル攻撃を実施した。ミサイル2発がソ連原子力打撃巡洋艦「キーロフ」に命中。「キーロフ」は中破する。
一方のソ連海軍。執拗にソ連艦隊を付け狙う米ロサンゼルス級原潜に対して対潜ヘリによる反撃を実施した。Ka-25ホーモン対潜ヘリ部隊はNATO戦闘機の妨害により損害を被りつつも、ロス級原潜に対して1Hitを与えることに成功した。さらにソ連艦隊は米原潜に対して対潜ロケットによる直接攻撃を実施する。しかしそれは失敗だった。米原潜の雷撃距離まで接近したソ連艦隊は、ロス級原潜による猛烈な反撃を受けることになったのである。ロス級原潜の受けた損害は僅かに1Hitのみ。対するソ連艦隊は、それまで無傷だったモスクワ級ヘリ空母2隻、スラヴァ級打撃巡洋艦等がそれぞれキズものにされてしまう。
そして立ち直った米英の原潜部隊がソ連水上部隊に止めを刺した。ヘリ空母「モスクワ」「レニングラード」、打撃巡洋艦「スラヴァ」「ウクライナ」「アゾフ」等、クレタ島近海のソ連水上部隊は悉く撃沈されてしまう。時を同じくして巡航ミサイル搭載のオスカー型攻撃型原潜も米英原潜部隊の餌食となり、クレタ島近海に姿を消した。ソ連艦隊に残されたのは黒海で遊弋している小艦隊を除けばエーゲ海で活動するヴィクター型攻撃型原潜2ユニットのみ。エーゲ海の制海権はNATO軍の元に帰した。

イメージ 5


イメージ 14海では苦境に陥ったWP軍だったが、本命の地上戦では勢いを取り戻しつつあった。
トルコ海峡地区の制空権を握るべくシシリー島を発進した米・イスラエル連合の混成編隊は、イスタンブール西方上空でソ連戦闘機の迎撃を受けた。米・イスラエル側のF-15、F-16、F-4に対し、ソ連側がMiG-29、Su-29の編隊で、両軍とも最強の戦闘機同士による対決である。結果はソ連側の勝利に終わり、米・イスラエル側は4ステップを失って敗退した。
そして地上ではWP軍は恐るべき行為に出てきた。
化学兵器の使用である。
全戦線に渡って猛烈な毒ガス攻撃を実施してきたWP軍に対し、NATO軍は総崩れに陥った。3箇所に渡って前線を突破してきたソ連軍。算を乱して敗走するトルコ、ギリシア軍。

イメージ 6


このTurn、NATO軍の損害が15ポイントを超過したため、またもやターンオーバーが発生。WP軍が再び主導権を握った。


イメージ 7