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Strike Southは、米国アヴァランチ・プレス社が発売中の海戦ゲームシリーズ「Second World War ar Sea」(以下、SWWaS)の1作で。、1941年末から42年前半にかけての日本軍による南方方面侵攻作戦を主に海戦面から再現する。SWWaSシリーズは、共通のルールシステム、ゲームスケールでWW2における海上戦闘を作戦レベル~キャンペーンレベルで描く作品群である。作戦マップは格子状のゾーンによって区切られており、各ゾーンは実際の36海里、1Turnは4時間、1ユニットは原則として1隻の艦船(一部例外あり)、中隊規模の航空ユニットを表している。
SWWaSシリーズの特徴は、厳格な艦隊任務システムにある。他の空母戦ゲーム、例えばFLAT TOPや日本機動部隊等では、艦隊任務に関する厳格なルールはなく、その結果例えば戦艦による陸上砲撃等はやりたい放題であった。SWWasシリーズでは、そのような不合理をなくすために陸上砲撃や上陸作戦を実施する艦隊は、基地を出撃する時点で経路と目標を明確にしておく必要がある。さらにこれらの任務を実施する艦隊は、その他の任務に回すことができない。従って水上打撃任務中の艦隊を「気が向いたから陸上砲撃に回す」ということはできなくなっている。さらにこのルールのために上陸部隊や陸上砲撃部隊以外に間接護衛に任ずる水上打撃部隊が必要になり、史実で実施されたような間接護衛任務が自然な形で再現できる。

今回プレイする「Strike South」は、日本軍と米英欄豪連合軍のフィリピン、マレー、ジャワ方面における戦いを描いており、7本の作戦シナリオはマレー作戦1本、フィリピン作戦2本、蘭印作戦4本に分かれている。シナリオの長さは30~78Turnで、実時間に換算すると5~13日の範囲である。一般的な海戦ゲームと比較すると比較的長期間の戦いを描いているが、プレイアビリティが良好のため長期戦シナリオでも十分にプレイ可能だ。

我々が今回選択したのは、シナリオ4「南方へ向けて、バリクパパンとケンダリー進攻」である。これはタイトル通りバリクパパン、ケンダリー方面への日本軍による侵攻作戦を描いたシナリオである。ゲームの長さは50Turn(約8日間)で、1942年1月21日~28日の期間を扱う。
イメージ 8日本軍の兵力はバリクパパンを目指す坂口支隊とケンダリーを目指す海軍陸戦隊の2部隊を有し、その護衛兵力は軽空母1、軽巡2、駆逐艦22、水上機母艦2の計27隻。他にも敷設艦や掃海艇を含んでいる。さらに真珠湾攻撃で勇名をはせた第2航空戦隊の空母2隻が重巡3隻その他と共に途中から戦列に加わる(史実におけるアンボン空襲を再現するためか?)。基地航空部隊は零戦3.5個中隊、陸攻1.5個中隊、その他2個中隊の計7個中隊84機。艦載機は96艦戦1個中隊、97艦攻1個中隊、各種水上機3.5個中隊の計5.5中隊66機。第2航空戦隊が零戦4個中隊、艦爆艦攻6個中隊の計10個中隊120機。
イメージ 7対する連合軍は、旧式のオランダ軽巡1隻と米アジア艦隊の軽巡2隻、駆逐艦4隻の計7隻。そのうちオランダ軽巡「スラバヤ」は速度が遅すぎて使い物にならないから戦力外。アジア艦隊も軽巡2隻のうち1隻(軽巡「ボイシー」)は排水量1万トン、15.2cm砲15門装備の重武装艦で重巡にも対抗できる有力艦だったが、もう1隻の「マーブルヘッド」は旧式のオマハ級なので有力な戦力としては期待薄。駆逐艦についてもWW1当時のいわゆる「フラッシュデッキ」(平甲板)型なので性能的には日本駆逐艦の敵ではない。とはいっても水上戦力は後にも先にもこれだけなので、うまく使う必要がある。
航空兵力は「空飛ぶ要塞」B-17Eが1個中隊、P-40E、F-2A等の単発戦闘機が6個中隊+2個中隊(途中登場のP-40E)、双発爆撃機3個中隊、哨戒飛行艇2.5個中隊の計12.5~14.5個中隊150~174機。数こそ多いように思えるが、性能的に日本機に対抗できるのは、B-17EとP-40Eのみといって良い。特にB-17Eは対地対艦攻撃と哨戒任務に使用可能な万能機である。
一番期待できるのは米蘭の潜水艦で隻数は計8隻。その活躍は今回のレポートを読んでいただきたい。

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1月21日

ボルネオ島北東部のタラカン(Tarakan AP32)からバリクパパンに向けて日本軍侵攻船団が出航する。さらにセレベス島北東部のメナド(Menado AZ40)からは別の船団が出航していく。ボルネオ東岸マカッサル海峡でオランダ潜水艦が日本船団に接触した。日本側の対潜防御網をすり抜けたオランダ潜水艦が魚雷攻撃を実施するも外れ。

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1月22日

イメージ 9バリクパパン(Balikpapan AV27)沖に接近してきた日本軍侵攻船団に対してボルネオ、セルベスの各基地を発進した米陸軍航空軍B-17E 1個中隊とオランダ空軍のM139双発爆撃機(米マーチンB-10の輸出型)1個中隊が襲いかかった。まず高高度から進入してきたB-17Eは、対空砲火の威力圏外を悠々と飛行し、次々と爆弾を投下する。命中率は低かったが、搭載量が多いので爆弾が輸送船に命中。日本軍の大型輸送船が沈没する。続いて進入してきたオランダ空軍の旧式双発爆撃機は、超低空から進入。対空砲火を掻い潜って爆弾を投下し2発を日本の大型輸送船に命中させた。これもまた撃沈する。
夜に入ってバリクパパン沖で上陸作戦を開始した日本軍船団をオランダ潜水艦2隻が襲いかかった。大型輸送船1隻が魚雷を受けて沈没。さらに護衛にあたっていた駆逐艦「初風」も魚雷1本を受けて沈没する。

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1月23日

イメージ 10バリクパパン侵攻中の日本船団はオランダ潜水艦の跳梁に手を焼いたのか、バリクパパン沖から引き上げを始めた。それを追うオランダ潜水艦は、さらに旧式駆逐艦1隻(「菱」?)を撃沈した。
一方セレベス島のケンダリー(Kendari BE32))では、日本軍による侵攻作戦が順調に推移し、その日の昼までにケンダリーの飛行場を日本軍が占領した。早速第3航空隊の零戦隊がケンダリーに進出する。その日本船団を米アジア艦隊の潜水艦が襲ったが、日本側対潜網によって返り討ちに合い、1隻を失った。

1月24日

イメージ 11ポートダーウィン(Darwin BY35)に増援のP-40E 2個中隊が登場する。早速増槽を装備してジャワ島に進出する。
一方セレベス島では、日本軍が占領したばかりのケンダリー飛行場をB-17 1個中隊が爆撃する。しかしそれを第3航空隊の零戦2個中隊が迎撃する。日本機の激しい攻撃に危うく撃墜されそうになるB-17だったが、重装甲に助けられて被害なし。ふー、あぶない、あぶない。
その日の夕刻、セレベスからその東方海域の天候が急変し、哨戒任務中の日本母艦機、水上機、飛行艇に大損害が出た。大航続距離を誇る97式大型飛行艇1ステップを含む計4ステップ(約24機)が事故により失われた。

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1月25日

イメージ 12日本の空母機動部隊がいよいよ戦場に姿を現した。3隻の重巡(「那智」「羽黒」「利根」)がアンボン(Ambonia BJ40)沖合に姿を現し、激しい艦砲射撃を浴びせかけてきた。さらに2隻の空母(「蒼龍」「飛龍」)を発進した攻撃隊がアンボンに空襲を加える。しかし砲撃も爆撃も目立った戦果を挙げられない。FLAT TOP等とは違い、SWWaSシリーズでは砲爆撃による対地攻撃の威力はかなり低く見積もられているのだ。

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1月26日

イメージ 13日本軍の大規模な上陸部隊がアンボンに接近してきた。それに対して米アジア艦隊の艦隊型潜水艦4隻がそれを追う。日本軍の水上機による対潜哨戒によって米潜水艦1隻が撃沈されてしまう。
夜になってアンボンで上陸作戦を開始した日本軍。それに対して夜陰に紛れて対潜網を突破した米潜水艦の1隻が特設水上機母艦「讃岐丸」に魚雷を命中させ、これを撃沈した。

1月27日

イメージ 11日本軍のアンボン上陸作戦は成功した。アンボンは日本軍の支配する所となったのだ。上陸を終えて島を離れる日本軍侵攻船団をB-17Eフライングフォートレス12機が襲う。僅か1個中隊しかない「空の要塞」だが、この戦いでは「空の要塞」の名に恥じぬ戦いを演じていた。高高度から投下された爆弾のうち3発が特設水上機母艦「山陽丸」に命中した。「山陽丸」は爆発して沈没していく。

1月28日

イメージ 14マカッサル海峡からジャワ海にかけて天候が急速に悪化してきた。この天候では航空機の活動は難しい。悪化する天候の中、日本のバリクパパン侵攻船団がマカッサル海峡を南下する。海峡の入口で待ち伏せしていたオランダ潜水艦2隻が日本船団を襲う。艦隊型駆逐艦「夏雲」に魚雷が命中。真っ二つに折れた「夏雲」はマカッサル海峡にその姿を没した。さらに夕刻になって今度は駆逐艦「涼風」に魚雷が命中し、「涼風」はバリクパパン近海にその姿を没した。

結果

この時点でゲーム終了。日本軍はケンダリー、アンボンの2ヶ所を占領し、米潜水艦2隻を撃沈した。日本軍の損害は、水上機母艦2隻、一等駆逐艦3隻、二等駆逐艦1隻、大型輸送船3隻の損失である。日本軍の損害が大きかったため、シナリオ上の勝利者は連合軍となった。

感想

潜水艦が怖い。特に揚陸作業中に襲われたらきわめて脆い。潜水艦に対抗するには駆逐艦や護衛駆逐艦で対潜スクリーンを張るか、対潜哨戒機で空から追い詰めるかのいずれかになるが、夜に飛行機は飛べない。あとはハンターキラーで敵潜水艦を積極的に狩っていくしかないが、その成功率は低い。
またB-17がこれほど頼もしく見える海戦ゲームも珍しい。B-17といえば、海戦ゲームでは哨戒とか対地攻撃にはそこそこ使えるものの、対艦攻撃機としては役立たずであった。しかし本作では、他の飛行機があまりにヘボいので(マーチンB-10の輸出型やハドソン爆撃機ではお話にならない)、B-17が最も「使える」機体になっている。まあたまにはこういう評価のゲームも良いのではないかと思う。

次回は日本軍を担当することになっているが、潜水艦対策とB-17対策を考えておかないと・・・。

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