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8月半ばに鳳凰山に登った記録です。

鳳凰三山に登る

鳳凰三山とは、南アルプス北東部に位置する3つの山塊の総称です。最高峰は標高2841mの観音岳で、他に標高2780mの薬師岳、同2764mの地蔵岳からなります。
鳳凰三山は、私にとって南アルプスの中では唯一登頂を果たしていない百名山だったので、以前から登りたいと思っていた山でした。2年前の夏にも登山を目指して双葉SAで事前車中泊する所までは行ったのですが、天候に恵まれずにリタイア。今回は2度めのチャレンジです。

前回同様、前泊は山梨県の双葉SAで車中泊です。圏央道が茅ヶ崎までつながったので中央道や関越道へのアクセスが滅茶苦茶楽になりました。自宅を出発して1.5時間後にはもう双葉SAに到着。早く着くと睡眠時間が多く取れるので、有難いです。

翌朝はアラームを仕掛け忘れて40分ほど寝坊しました。起きたのは0440頃。朝食と歯磨きを済ませて双葉SAを出発。韮崎のICで高速を降りて国道20号線を西進。途中のコンビニで食料品を買い、登山口である青木鉱泉に着いたのは0615頃でした。

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出発準備に手間取り、出発は0700頃になっていました。今回選んだ中道登山ルートは、薬師岳に至る最短ルート。しかし麓の青木鉱泉(標高1100m)から薬師岳山頂(標高2780m)まで標高差実に1680m。北アルプス三大急登なんて、このコースに比べれば何程の事もありません。
最初登山道が分からず少し右往左往。ようやく登山道らしきものを見つけましたが、それは増水した渓流を横切るコース。無論浅い川なので歩いて渡る分には何の危険もありませんが、靴を履いたまま渡ったのがいけなかった。登山靴に川水が入ってきて中がびしょびしょ。靴下を一旦脱いで絞ったものの、完全に乾くには至らず。足の中が気持ち悪いは、足首が冷えるは、で、この先の長い登山が思いやられます。

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とにもかくにも登山道を見つけたので登っていきます。最初は車も走れる砂利道を登っていくコースです。広い道を40分ほど歩いて標高を200m程稼ぐと、いよいよ中道登山道の核心部に入って来ます。

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登山道入り口に書かれている「所要時間4時間30分 --> 6時間30分」の看板にビビりつつ、登山路に入っていきます。最初は比較的歩きやすい登山道で、単調な登りが続きますが、登り難いような場所はありません。我慢しながら一歩一歩登っていきます。
しかしそれも最初の300mぐらいまでのこと。そこから草に包まれた小山のような所になるのですが、ここから登りが急にきつくなってきます。木の枝がはみ出している所、木が倒れて遮っている所、手で支えなければ登れないような急傾斜、石がゴロゴロしている歩きにくい場所等が次から次へ。ようやくそのような難所を過ぎてやや平坦な草原に出ると、そこには「薬師岳まで3時間」と書かれた看板が目に入って来ます。この段階で標高は約2100m。残すは680mなので1000m程標高を稼いだ計算になります。

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ここから先はそれまで以上の難所の連続。それこそ手で支えなければ登れないような場所、足を踏ん張って這い上がるような場所が何十か所も続きます。後から思えば「よくもまあこんな道を我慢して登ったものだ」と思いますが、登らないことにはゴールはないので、それでも我慢して上ります。

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青木鉱泉から6時間弱が経過した1245にようやく薬師岳山頂にたどり着きました。薬師岳山頂はこれまでの殺風景な登山路とは別世界のような白い石灰岩の楽園で、巨大な岩岩と白亜の石灰岩のコントラストが美しい。自然が作り出す見事な景観にただ感嘆するのみです。

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ここから歩いて5分ほどの場所にある薬師小屋に荷物を下ろし、身軽になった状態で鳳凰三山最高峰の観音岳(2841m)を目指します。標高差は約60mなので困難はなく、歩き始めて40分で観音岳山頂にたどり着きました。観音岳から見る景観は素晴らしく、向こう側には地蔵岳とオベリスクが雄大な姿を見せており、振り返ると薬師岳。そして大きな谷を挟んだ反対側には北岳、間ノ岳、農鳥岳の白峰三山がハッキリと見えています。

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山頂での優雅な時間を十分に満喫し、今日の宿、薬師小屋に下りてきたのは1600頃でした。今日は宿泊客が約20名と少なめで、寝床も余裕で使えます。混むときには畳一畳に2~3人ということもあるそうですが、今日はそんなことはありませんでした。
夕食は1730から。決して贅沢なものではありませんでしたが、山の上で暖かいご飯が食べられることは感謝です。その夜は特に何をするでもなく、持参した本(電子書籍ですが)を読みながら時間を過ごしました。

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翌日は0430頃に起床。外に出てみると霧雨のような雨が降っています。天気予報だと「曇り後雨」でしたが、未明から降っているのは少し寂しい。この分ではご来光も望み薄です。

写真:山小屋(朝)
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0530から朝食。それが終わるとトイレ等を済ませて出発しました。当初の予定では、薬師岳から観音岳、地蔵岳を経て、ドンドコ沢コースを歩く予定でした。しかし稜線に出てみると思いのほか風が強い。幸い昨日の間にピークハンティングは終わっていたので、ここは無理をすることはないと判断し、昨日と同じ中道登山路を下山することにしました。昨日登ってきたコースを下るだけなので特に語るべきことはありません。しかし下りは登りよりも数段楽だったことを伝えておきます。

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1000に青木鉱泉に到着。昨日濡れた渓流も、帰りは迂回路を使ったために無事通過しました。青木鉱泉に寄ってくるのもアリだったのですが、入浴料が高かったのでキャンセル。その代わり、勝沼まで戻って「天空の湯」と呼ばれる温泉設備で汗を流しました。

写真:下り
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感想

登りは兎に角きつかったです。危険個所は特にないのですが、急登をひたすら登るだけ。見所も特にないです。
山頂の稜線部分は石灰岩で白くなっていてとても綺麗です。また薬師岳から観音岳、地蔵岳への稜線部分の美しさも格別です。また南アルプス北部の山々を一望できる点も良いです。

まとめると、登るのは大変だけど、それだけの価値のある山です。