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Torpedo Junction: U-Boat War Off America's East Coast,1942

Homer H.Hickam,Jr. BlueJacket Books

Paukenschlag作戦、あるいはドラムビート作戦と呼ばれるUボートによる1942年初期の米本土東岸地区での通商破壊戦と、それに対する米海軍、沿岸警備隊の戦いを描いたノンフィクションである。正直な所、英語で書かれた細かい部分全てを追いかけることはできなかった。それよりも大きなストーリの中でのUボートと米海軍/コーストガードの戦いに着目した。当時、米本土沿岸の対潜哨戒を担当していたのは、WW1型の旧式駆逐艦を除けば、少数の航空兵力と沿岸警備隊の大型カッター、そして駆潜艇や雑役船といった小型艦船だけであった。そんな中で沿岸警備隊のカッターは、対Uボート戦の主力として苦闘を続けることになる。1942年1月から8月までの期間でUボートが撃沈した艦船の数は約250隻に及ぶ。トン数は不明だが、凡そ50~100万トンが犠牲になったと考えて良い。一方でUボートの損失は7隻。その内訳は、航空機によるものが3隻、沿岸警備隊のカッターによるものが2隻、海軍の駆逐艦によるものが1隻、その他複合が1隻となっている。沿岸警備隊の奮戦が数字からもわかるが、実際の所Uボートを制圧したのは航空機であった。レーダー装備のA-29「ハドソン」、B-18「ボロ」等が昼夜を問わず哨戒飛行を行うに及び、Uボートの威力は激減していったのである。1943年7月以降、Uボートによる戦果は急激に減少し、9月以降は事実上米本土沿岸でのUボートによる交通破壊戦は中止するに至った。
Uボート戦や潜水艦戦について興味のある方は、読んでみて損のない著作に思える。

お奨め度★★★