イメージ 25

Normandy'44は2010年に米GMT社が出版したシミュレーションゲームである。テーマはタイトル通りノルマンディ上陸作戦で、1944年6月6日から1週間(拡張ゲームでは3週間)における米英連合軍とドイツ軍の死闘を描く。1Turn=1日、1Hex=3.8km、1ユニット=大隊~連隊規模の地上部隊を表す。デザイナーは、マーク・シモニッチ氏。
システムは、同氏が手掛けたArdennes'44をベースとしたもので、基本的には移動・戦闘の繰り返しだが、戦闘結果や事前の指定によって特定ユニットを予備モードに指定することで予備移動、予備戦闘が可能になる。戦闘はオーソドックスな戦闘比だが、戦車の性能差や練度差によってコラムシフトするルールがあり、戦術戦闘の色合いも添えてある。

今回プレイする第2版は2015年にGMTが出版した改訂版で、基本的にはマイナーな改定が主である。概ねドイツ軍を利するような形で改定がなされているが、第1版がややドイツ軍が不利に感じられる内容だっただけに今回の改定意図は首肯できる。

今回はその改定版を3人でプレイした。ドイツ軍、英軍、米軍である。下名は(一番楽そうな)米軍を担当した。

イメージ 15


1Turn(6月6日)

天候:曇天2
イメージ 16このゲームは連合軍による空挺進攻から開始される。第82空挺師団の3個連隊は、降下の際に計4ステップを失うという大損害を被った。第101空挺師団は1ステップを失った。ある程度は覚悟していたとはいえ、あまりの損害の大きさに慄然とする。

イメージ 1


イメージ 17続いて上陸侵攻である。オマハ海岸では米第1歩兵師団「ビッグレッドワン」、第29歩兵師団「ブルー&グレー」の先鋒部隊が上陸を敢行する。さらに第2レンジャー大隊(2-3-5)はオック岬(Point du Hoc 2818)に上陸する。損害はオマハで歩兵2ステップと戦車1ステップ、オック岬で歩兵1ステップ、ユタで歩兵1ステップであった。思いの外損害が軽微だったのでほっと一息。特にオマハビーチは出目が悪いと上陸部隊が海に追い落とされる可能性もあるのでまずは順調な出だしである。

イメージ 2


イメージ 16続いてドイツ軍。オマハ戦線では防衛ラインを構築し、ユタでは部分的な反撃に転じてきた。サンメールエグリーズ(Ste-Mere-Eglise 2811)の西部に降下した米第82空挺師団「オールアメリカン」所属の第507空挺連隊に対して、ドイツ第91歩兵師団所属の歩兵部隊が反撃してきたのである。2-1攻撃で結果はEX。敵の攻撃を撃退することには成功したものの、貴重な空挺部隊が基幹部隊と化してしまった。

イメージ 3


イメージ 18連合軍Turn。ユタ方面では後続波部隊がドイツ第709歩兵師団所属のオスト大隊を撃破。サンメールエグリーズとユタ海岸が連結した。
オマハ海岸では、米第1歩兵師団と第29歩兵師団が、海軍の砲撃支援を受けてドイツ第352歩兵師団の防衛ラインを攻撃。これを撃破して橋頭保を拡張した。

イメージ 4



2Turn(6月7日)

天候:曇天3
イメージ 19ドイツ軍は早くも反撃に転じてきた。オマハ海岸ではオック岬を守っていた米第2レンジャー連隊が壊滅した。またユタ方面では先ほど攻撃を受けていた米第82空挺師団の第507空挺連隊が再び攻撃を受けて壊滅していた。
米軍もまた反撃を実施。ユタ海岸ではサンメールエグリーズの対岸を再び占領。オマハ方面では、バイユー(Bayeux 2322)の西側を抜けて要地サンロー(St-Lo 1815)を伺う姿勢を見せる。
ユタ海岸に米第9歩兵師団「オールド・リライアブルズ」が上陸。戦列に加わる。

イメージ 5



3Turn(6月8日)

天候:晴天4
天候のためか、ドイツ軍の反撃はない。
イメージ 20ユタ海岸では、米第101空挺師団と第9歩兵師団がコタンタン半島の海岸沿いに北へ向けて前進。高比率攻撃で海岸沿いの砲兵陣地とドイツ軍部隊を撃破しつつ、国道13号線に布陣するドイツ第91歩兵師団の1個連隊(4-3)を包囲下においた。

イメージ 6


4Turn(6月9日)

天候:晴天4
イメージ 21晴天が続く。オマハ海岸に精鋭米第2歩兵師団「インディアン・ヘッド」が上陸する。これでノルマンディ海岸に展開する米軍は、歩兵5個師団、空挺2個師団、その他となった。そしてオマハ地区ではサンローに向けて前進を試みる。が、しかしドイツ軍88mm高射砲部隊の奮戦によって前進をストップさせられた。
一方のコタンタン半島では米軍の快進撃が続き、海岸地帯のドイツ軍砲兵陣地を一掃した後、その先鋒は要域ヴァローニュ(Valognes 3209)に接敵した。

イメージ 7


5Turn(6月10日)

天候:晴天5
3日連続で晴天が続いた。ドイツ軍としては辛い所だろう。しかしこのTurn、高比率攻撃での突破挺進を図ったが、出目が振るわず前進が捗らない。

6Turn(6月11日)

天候:曇天2
イメージ 22ノルマンディの空に雲が低く垂れこめている。久しぶりの曇天だ。昨日まで空を覆っていた米英の航空機もこの天気では飛べない。ドイツ軍がこのチャンスを利用して反撃してきた。国道13号線沿いに包囲されていたドイツ軍第91歩兵師団の連隊は、ドイツ軍第6降下猟兵師団等の反撃によって包囲が解囲されて補給線が回復した。

イメージ 8


しかし米軍もコタンタン半島で反撃に転じる。第9師団と第101空挺師団はシェルブールに向けて前進を継続。このTurn、要域ヴァローニュ(Valognes 3209)を占領した。また先に補給線を回復したドイツ軍歩兵部隊も、米第82空挺師団の攻撃を受けて壊滅した。

イメージ 9


7Turn(6月12日)

天候:曇天3
相変わらず曇天が続いている。しかし良いこともある。このTurnからマルベリーが稼働を開始した。これにより連合軍の使える補給ポイントがこれまでの米英各1ポイントから、米英各2ポイントと2倍になる。補給ポイントは砲兵支援を提供するために使用される。連合軍の砲兵支援は2シフトを提供する強力なものなので(ドイツ軍は1シフト)、この意味は大きい。

イメージ 23ドイツ軍は増強の第17SS装甲擲弾兵師団「ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン」をサンロー付近に振り向けてきた。さすがに精鋭部隊のSS部隊である。これを突破するのは困難と判断した米軍は、攻撃の軸をサンロー方面からその南のカランタン(Carentan 2512)方面に向けてきた。カランタンを占領することで、オマハ海岸とユタ海岸の米軍が相互連結可能となる。

イメージ 10

イメージ 11


オマハ方面からは第29歩兵師団、ユタ方面からは第82空挺師団がそれぞれカランタンを目指して進撃を開始する。強化された砲兵支援によって高比率に持っていた両者による攻撃はいずれもグッドロールに恵まれて突破挺進に成功した。一挙にカランタンに肉薄する米軍部隊。カランタンを守るのは、戦略移動によって登場してきた第3降下猟兵師団の1個連隊(4-3)。戦略移動直後であるため地形によるDCB(防御戦闘ボーナス)が使えず、さらに攻撃に有利なコラムシフトが適用されるという苦しい状況。予備移動で接敵した米軍2個師団が必勝の信念で攻撃を仕掛けたが・・・。ステップロスした独軍部隊が決死の防御に成功し、カランタンを死守した。

イメージ 12


今回は時間の関係でこの時点でお開きとした。勝利得点計算はしなかったが、英軍がどうやらオルヌ川の東岸地区で大突破に成功したらしい。連合軍の勝利ということで今回は終了した。

イメージ 13


感想

イメージ 24第2版ということで初版との違いが気になる所だが、プレイ感覚に大きな違いはなさそうだ。ユニットについても米軍の駆逐戦車大隊の一部が軽戦車大隊に変更になっているとか、第12SS装甲師団の擲弾兵連隊が戦力強化されているとか細かい点で差異はあるものの、プレイに大きな影響が出るレベルではないと思われる。

ルール面ではZOC内への後退時にステップロスすることがなくなった。これはドイツ軍にとって有利なルールだろう。またボカージュ地形では1ヘクス後退のみでOKというルールは健在なので、ドイツ軍をして粘り強い抵抗を可能としている。
今回のプレイでは連合軍の勝利となったが、双方とも久しぶりのプレイであったためにミスが多かった。結果的にそれが連合軍に利する形になったのだろう。テーマ的にドイツ軍が苦しいゲームであることは確かだが、バランス云々するのはまだ早計だと思われる。

イメージ 14