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Victory Roadは、1944年7月から1945年5月にかけて戦われた東部戦線末期の戦いを描いたシミュレーションゲームである。フルマップ2枚+αのマップには、ロシア西部及び東ヨーロッパ一帯が描かれており、1ヘクスのスケールは25km。東はスモレンスク、西はベルリン、北はバルト三国、南は黒海沿岸からブカレスト辺りまで含まれている。1Turnは実際の10~15日、1ユニットは1個師団、軍団を表わす。

システムは西部戦線を扱った同社のLiberty Roadとほぼ同じシステムを採用しており、補給遮断のみに有効なZOC、戦闘結果によって得られる二次移動・戦闘、支援チットで表わされる航空支援や砲兵支援等は共通のシステムである。

Victory Roadの特徴的ルールは、TOマーカーの存在と中立国の動向がある。TOマーカーとは、Theater of Operation(作戦地域)の略称で、兵站中心を示す概念である。ソ連側のみに適用されるルールで、TOマーカーの範囲内にいる限り、ソ連軍の歩兵軍団は恐るべき存在となる。ところが一旦TOマーカーの影響範囲を離れると、ソ連歩兵軍団は強制的にステップロス扱いとなり、殆ど攻撃時には使えない存在となる。また支援チットによる支援も受け付けなくなり、ソ連軍の攻撃衝力が著しく低下する。そのためソ連軍特有の波状攻撃(一旦大攻勢を発行すると、その後しばらくは兵站前進期間となって前進が停滞し、その後再び大規模攻勢をかける)が上手く再現されている。
中小国としては、ルーマニアとハンガリーが登場するが、いずれも一定条件で枢軸側陣営から共産陣営に鞍替えする可能性がある。ルーマニアについては殆ど予定調和的に裏切りが発生するが、ハンガリーはなかなか裏切らない。このあたりは史実通りである。

今回、Victroy Roadをマスターするために、ショートシナリオの1つである「バグラジオン作戦」をプレイしてみた。このシナリオは、フルマップ1枚弱、全4Turnという小型シナリオながら、初級ルール、上級ルールほぼすべてを導入するという内容である。従ってキャンペーンに向けたステップアップには最適のシナリオだと言えよう。

今回下名はソ連軍を担当した。このシナリオ、ソ連軍には定石のようなものがある。それはドイツ軍戦線に存在する2箇所の弱点(1ステップ部隊で守っている場所)を突く作戦である。弱点部分に対して支援チット「奇襲攻撃」を使って先制攻撃を実行。そこに突破口を穿ち、そこから突破部隊を扇状に展開させてドイツ軍中央軍集団を包囲するというものだ。ダイスの神様に見捨てられられなければ、要域ミンスク(MINSK 5426)が第1Turnに陥落する上、ドイツ軍中央軍集団の大半も補給を断たれて孤立するという。

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定石に従って試してみた所、予定通りミンスクは陥落。他にモギレブ(MOGUILEV 6726)、ヴィテブスク(VITBESK 6120)を陥落させ、ドイツ軍中央軍集団を包囲する事に成功した。しかしその後はボブルイスク(BOBROUISK 5930)攻略に手間取り、その間にドイツ軍の過半が「総統の御意志に背いた撤退」を行って包囲輪から離脱していった。
最終的にはミンスク、モギレブ、ヴィテブスク、ボブルイスク、ポロトスク(POLOTSK 5719)の5箇所を占領して6VP獲得(ミンスク=2VP、その他各1VP)。さらにドイツ軍が「総統の御意志に背いた撤退」を2度実施したためにヒトラー総統の機嫌を損ねてさらに2VP獲得。計8VPで辛くもシナリオ上は勝利を得た。しかしドイツ軍の多くが包囲輪を突破して後退に成功したため、仮にキャンペーンであればその後の苦戦を予想させるような展開となった。

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今回ルールミスがいくつかあった。一番大きいのは、大攻勢時に任意で支援チット1枚を選択的に得られること。これがあれば、第1Turnにボブルイスクを落すこともそれほど困難ではなかったかもしれない。他にはステップロス適用時の適用ミス(ステップロスしているユニットから適用しても問題ない)、補給切れの司令部はそのまま消えてしまう等、細かい点ではルールミスが多かった。

今回は練習戦だったのでかなりヘボなプレイであったが、大攻勢のタイミングや支援チットの使い方を工夫すれば、ドイツ軍中央軍集団を攻め殺すこともできそうだ。ルールも理解すればそれほど難しいものではないので、まずはバグラチオン作戦で腕を磨いた上で、機会をみつけてキャンペーンシナリオにも挑戦してみたい。