こんな面白いものがタダで読めるのか、と思って防衛研究所の戦史研究年報をチマチマ読んでいます(旅先でもiPadで読めるのが良い・・・)。

今回紹介するのはその第15号。太平洋戦争関連の記事が面白かった。

一番有益だったのは「太平洋戦争における戦争指導-アメリカ側から見た研究史」。これは戦後から現代に至る米国における太平洋戦争研究について紹介した内容となっている。米国における太平洋戦争研究書の一挙大公開といった内容で、定番の「モリソンの太平洋海戦史」やニミッツ・ポーター共著の「ニミッツの太平洋海戦史」の他、近年評価の高いジョン・ランドストロムの「The First Team」シリーズやジョナサン・パーシャル/アンソニー・タリーの「Shattered Sword」等もキッチリ紹介されている。太平洋戦争に関する洋書の索引として使えるのが良い。

あるいはに「太平洋戦争における航空運用の実相-運用理論と実際の運用との差異について-」では、日本陸海軍における航空運用理論の変遷と実戦での適用状況について分析した後、それぞれの特徴や問題点について触れている。その中で日本海軍の航空運用について「艦隊決戦と言う枠組みから脱することができず、航空戦の実情に適合できていなかった」という批判については、手厳しいが鋭い。

もう1つ「現代史の中の戦史」についても触れておかねばならない。計8ページの小論文だが、産業革命以降の国家や戦争の位置づけについて論じた内容である。この論文の中で筆者は1960年代を一つの境とし、国家や戦争に対する考え方がその前後で変貌し始めたと論じている。内容的にはやや理想主義に走っている感もあり個人的に全てについて首肯できる訳ではないが、このような軍事専門誌で所謂「反戦的な」内容の論文が発表されていることは興味深い。

タダで読めるので、皆さんもどうそ。

お奨め度★★★★★