前回は熊野古道中辺路ルートのうち、滝尻王子-近露王子間を紹介した。そこで今回は近露王子-発心門王子間を紹介する。なお発心門-本宮大社間はこちらで紹介済みなので参照されたい。なお、今回も経路の関係上通常ルートとは逆の発心門王子-->近露王子という経路で歩いた。

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宿が提供する無料のマイクロバスに乗って発心門王子についたのは0830頃。発心門王子で写真を少し撮った後、出発したのは0840頃だった。最初から山道になるが、緩やかな下り坂を降り切った所に船玉神社がある。ここは休憩所になっており、トイレも整備されている。

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船玉神社からは、道川の渓流に沿って山道が続く。渓流と新緑のコラボレーションが美しい。渓流沿いに標高を稼いで行き、登りつめた所にあるのが三越峠である。そこには綺麗な休憩所とバイオトイレがあった。ここまでの所要時間は約1.5時間。

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ここから一旦高度を下げて湯川王子、そして湯川川(変な名前だ)を渡った所に蛇形(じゃがた)地蔵がある。蛇形地蔵からは未舗装の車道に出て高度を稼いでいく。途中岩神王子経由のルートが閉鎖になっているため、迂回路へ向かうように指示される。その迂回路がこの未舗装の車道だ。時計を見ると早くも11時。あれ、いつの間にこんな時間に・・・

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車道の途中で熊野古道は山の中に入っていく。再びの山道。暫く歩くと熊瀬川渓谷を眼下に見る景勝地に辿りつく。周囲の山々が一望できる景勝地。しかも天気がサイコー。熊野古道の魅力が凝縮された場所である。

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山道沿いに標高を一気に200~300mほど下げる。目の前に熊瀬側の清流が見え、そこを渡って暫く歩くと、迂回路は終了。本道と合流する。時計を見ると12時を既に回っていた。
そこから山道を少し歩いて小高い峠になった所が小広峠。小腹が空いたのでここで昼食をとる。それにしても熊野古道は兎に角トカゲが多い。横の草むらが「カサカサ」といったと思ったら、トカゲが走り回っている。蛇じゃないだけまだマシだが(そういえば昨日のルートでは小さな蛇を見た)、トカゲもあまり気持ち良いものではない。食事中にトカゲが飛び込んできたら、と、思うとゾッとする。

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小広峠を降りてしばらく歩くと広い休憩所に出る。久しぶりのトイレだったので、ここで済ませておく。そこからさらに歩いて車道に出た所が小広王子。ここまでの所要時間は約4時間、全18kmの行程のうち、ようやく半分強を終えた所。近露王子発のバスの時刻が16時なので、あと3時間ほどしかないが、果たして大丈夫なのか・・・。
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ここから熊野古道は山道を終えて車道歩きになる。つづら折りになっている車道をのんびりと下っていく。アスファルト道なので歩きやすいが、山道に比べると少し味気ない。しかし道路から見える紀伊山地の山々の景観は素晴らしい。
綺麗な休憩所とトイレがあり、その向こうに立派な新高尾トンネル。それを横目にしばらく歩くと、道路が二手に分かれて熊野古道は高い方の道へ上がっていく。秀衡桜を過ぎて継桜王子。ここは立派な階段があったので、立ち寄って見た。

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時計を見ると13:45頃だ。近露王子発のバスは16:05なのでこの分では余裕である。こうなるとコースタイムが気がかりだ。何とか6時間以内としたいと思い、ここから少しペースを上げた。アスファルトの道を下るだけなのでペースは速い。結局残り約4kmを40分ほどで走破し、14:40頃に近露王子に到着した。所要時間は約6時間。コースタイムを少しだけ下回った。

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バスの時間まで1時間以上あったので、近露王子の公園で少しノンビリした後、周りを歩いてみた。「なかへじ美術館」という設備があったので入って見ようかとも思ったが、入場料を取られるのが嫌だったので止めにした。我ながらケチだねぇ。野長瀬一族の墓というのにも立ち寄って見た。南北朝時代に南朝方について戦った武士の一族らしい。思ったよりも立派だったので感心した。

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熊野古道の感想だが、普通の登山に比べると設備が整っているので歩きやすいし、体力的なロスは小さいと思う。しかし一度山に入ると結構本格的な登山路であり、特に滝尻~近露王子、小広峠~発心門王子は登山道と考えた方が良い。その分景観も本格的で登山に近い景観を楽しめる。その一方でアスファルト道歩きでは、ハイキングの趣きもある。登山とハイキングの組み合わさった愉しみが熊野古道の魅力だと思う。

熊野古道には今回歩いた中辺路ルート以外にも様々なルートがあるようなので、機会があれば挑戦してみたい。