5月のGW明けの日曜日。YSGAの追浜例会に参加しました。
今回は「ゲーム成仏の会」ということで、比較的短時間で終わるゲームを多数プレイしました。

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旧GJ#59「南北戦争」

2000年に旧Game Journal誌上で発表された作品です。気が付けばもう16年も前になるんですね。時が経つのは早いものです・・・。

イメージ 8このゲームは今まであまり紹介されることがなかったので、少し詳しく紹介します。
テーマはタイトル通り南北戦争です。ゲームが扱っている期間は1862年~1864年で、戦争最初の年である1861年と最終年である1865年は省略されています(1861年開始のミニシナリオはあります)。1Turnは4ヵ月で、全11Turnです。
マップはB4版2枚で、今の間隔からいくとかなり小さめ。マップ北東端がフィラデルフィア、南東端がルイジアナ州で、最近出たGMTのThe U.S. Civil Warとほぼ同じ広さを扱っています。

イメージ 7マップはポイントトゥポイントで区切られており、雰囲気的にはGMTのFor the Peopleに近い感じです。各ポイントは鉄道、道路、河川で結ばれており、河川を使って移動できるのは北軍のみです。
1ユニットは将軍1人又は戦力駒で、1戦力は実際の1万人程度と思われます。将軍はリー、グランドの両雄は勿論、ジャクソン、シャーマン、マクレラン、ミード、ジョンストン、バーンサイド、ロングストリートといった主要な人物は概ね網羅されています。

システムはチットドリブン方式で、両軍とも決まった数のチットをカップに入れて、引いてきたチットの内容に応じて部隊を活性化させていきます。北軍のチット数は決まった数になっていますが、南軍は北軍の侵攻程度に応じて使えるチットの枚数が減少していきます。

他に海上封鎖や海上進攻のルールもあり、南北戦争の主要な局面を再現できます。

今回私が担当したのは南軍。北軍の侵攻を可能な限り抑えつつ、ゲーム終了時までに一定の領域を確保すれば勝利します。

1862年

イメージ 9序盤、東部戦線で攻勢に出た南軍は、名将リー将軍(R.E.Lee 3-5★★★)(戦闘値-許容移動力-階級)指揮の元、マナサス(Manasas)から出撃。北軍バンクス将軍(Banks 0-2★★★)将軍麾下の部隊を撃破しつつウィンチェスター(Winchester)からハーパーズフェリー(Hapers Ferry)まで進出した。
対する北軍は、マクレラン将軍(McCleran 2-1★★★★)将軍。兵力では南軍を上回り、戦闘修正も決して低くはなかったが、移動力が少ないので守りに徹する。ハーパーズフェリーを奪回したい所だが、下手に動くと機動力に優れた南軍が、北軍の裏をかいて首都ワシントン(Washington DC)を直撃する可能性があるのだ。こうして東部戦線は奇妙な膠着状態となる。

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イメージ 10西部戦線では北軍の名将グラント将軍(Grant 3-4★★★)がドーヴァー(Dover)からディケーター(Decatur)に進出。テネシー州とミシシッピ州の間に楔を打ち込む。さらにグラントはミシシッピ川戦区に転進。ミシシッピ川沿いに南下し、メンフィス(Memphis)、グレナダ(Grenada)を占領していた。
また南部の要域フィリップ・ジャクソン要塞を北軍が占領。その対岸ニューオリンズ(New Orleans)にもバンクス将軍麾下の北軍が上陸し、激戦の末同地を占領した。

対する南軍は東部戦線が「石壁」ジャクソン将軍(Jackson 3-5★)を西部戦線に派遣。東西両戦線を繋ぐ「ヘソ」とも言うべきチャタヌーガ(Chattanooga)に要塞を築いて北軍を迎え撃つ態勢とした。

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1863年

イメージ 11西部戦線では遊撃隊を率いた北軍シャーマン将軍(Sherman 2-4★)がメンフィスでミシシッピ川を渡りトランス。ミシシッピ地区へ進出。その快速を利用してアーカンソー州の州都リトルロック(Little Rock)を占領した。そのためその前線に展開していた南軍ヴァンドーン将軍(Van Dorn 0-3★★)麾下の部隊が補給切れにより壊滅に追い込まれてしまう(ヴァンドーン自身は這う這うの体で撤退)。しかし南軍の騎兵将軍フォレストが騎兵隊を指揮してシャーマン軍の後方を遮断。シャーマン将軍は敵中に孤立する。そこへニューオーリンズ方面から転進してきたフッド将軍(Hood 2-4★)がリトルロックのシャーマン軍を猛攻。補給を断たれたシャーマン軍は壊滅し、シャーマン将軍自身は這う這うの体で友軍前線へ逃げ帰った(第2次リトルロック会戦)。

その間、チャタヌーガ方面でも北軍の猛攻が続けられたが、昇進した南軍ジャクソン将軍(Jackson 2-5★★)が要塞線を死守。北軍はチャタヌーガから先へは一歩も進めずにいる。

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1864年

イメージ 12シャーマン将軍が雪辱を期してトランスミシシッピに進出する。リトルロックの戦いで南軍フッド将軍を撃破し(第3次リトルロック会戦)、そのままアーカンソー州からルイジアナ州へ進出。ミシシッピ川西岸一帯を制圧した。
北軍主力を率いるグラント将軍。ミシシッピ州の北半分を占領し、さらに南下を図るが、南軍もジャクソン(Jackson)とメリディアン(Meridian)の両地点に要塞を構築し、北軍の南下を阻止する。大兵力で攻めかかる北軍部隊に対し、南軍は大消耗を強いられたが、それでもギリギリで持ちこたえて、北軍のこれ以上の南進を阻止した。

イメージ 13大西洋岸地区では、フィッシャー要塞を占領した北軍がウィルミントン(Wilmington)に侵攻した。対する南軍はチャタヌーガ付近で戦っていたジャクソン将軍麾下の部隊を急遽大西洋方面へ派遣。ウィルミントン奪回を試みる。激しい戦いの後南軍が勝利し、ウィルミントンを奪回した。

最終的な勝利得点は北軍の14VP。勝利条件は16VP以上で北軍の辛勝であり、14VPでは南軍の辛勝であった。

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感想

イメージ 14プレイ時間は2.5時間ぐらいでした。慣れればルールは簡単で悩む所は少なく、プレイし易いです。それでいて南北戦争の主要部分は網羅しており、同戦争の概要を理解するには格好のテキストになっています。GMTのThe U.S. Civil War等に比べるとやや「食い足りない」感はありますが、ニーズに応じて使い分ければ良いのであり、軽いルールを望む向きにはむしろこちらの方が優れています。今ではかなり古いゲームに属しますが、現時点でも十分プレイ可能な佳作であり、Game Journal誌で再販が望まれる作品の1つと言って良いと思います。

一言苦言を呈すると、かなり重要なエラッタがあり、事前確認が必要です。