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スペースシャトルの落日

松浦晋也 ちくま文庫

スペースシャトルが必ずしも成功した宇宙往還機ではなかったことは、現在はほぼ定説になっている。しかし1981年にコロンビアがケネディ宇宙センターの発射台を離れて宇宙に飛び立った時、我々は新しい宇宙時代の幕開けを感じた。そしてチャレンジャーが爆発するその日まで、あるいはコロンビアが空中分解を起こすまで、スペースシャトルが新しい時代の宇宙往還機であると信じた。しかしスペースシャトルは、安全性の面でもコストの面でも使い捨て型のロケットに及ばなかった。極論すればスペースシャトルは欠陥機だった。
本書ではスペースシャトルのどういった点に欠陥があったのかを技術面から明らかにした上で、なぜそのような欠陥が生じたかを多角的な視点で明らかにしている。またその欠陥によって宇宙開発計画がどのような不利益を被ったかについても記した上で、将来の宇宙開発計画がどうあるべきかについて触れている。
常識的な内容の著作であり、読みやすいので、宇宙や宇宙開発に興味のある向きには、読んでみて損のない著作といえる。

お奨め度★★★