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[前回紹介したVicypry GamesのPacific War。その中でキャンペーンシナリオを除けば最大規模のシナリオが、今回紹介する戦役シナリオ6「ビスマルク海防衛ラインを突破せよ」だ。このシナリオは1942年8月の米軍によるガダルカナル上陸から始まり、1944年5月における米軍による西部ニューギニア進攻までを扱っている。

今回、このシナリオを対人戦でプレイする機会を得た。プレイ時間の関係上、最終Turnまでのプレイはとても無理なので、最小限1942年8月~翌年1月までも6ヵ月間までに挑戦することにした。

下名は日本軍を担当する。


1942年12月

イメージ 5これまで比較的平穏であったニューギニア戦線。しかしCPが潤沢な連合軍は同方面からの攻勢を企図してきた。まずポートモレスピーを基地とする米豪連合の航空部隊がブナに対して激しい空襲を仕掛けてきた。ブナを守る零戦隊は僅かに15機(1Step)。零戦隊は鎧袖一触の元に撃破され、連合軍は東部ニューギニア一帯の制空権を握った。

またヌーメアを出港した米艦隊がガダルカナルへ向けて接近してきている。新たな攻撃の始まりか・・・?。

対する日本軍。ガダルカナル方面では潜水艦による防御に徹する一方、ニューギニア方面での連合軍の策動が活発化しつつあったので、増援で登場した熊本第6師団(6-1-12)を緊急輸送によってラバウルからブナに向けて急送した。これによりブナの守備隊は、従来の1個連隊から、一挙に4倍増の1個師団+1個連隊に膨れ上がった。

一方のガダルカナルでは、日本潜水艦の出撃に警戒感を強めた米艦隊がガ島水域への進入を諦めて撤退したため、これ以上の戦いはなかった。

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1943年1月

イメージ 645CPという大量のCPを得た連合軍は、大規模攻勢を発動。先月に航空攻撃でブナの日本軍機を壊滅させたため、ポートモレスピーへの戦略輸送が可能となった。そのため戦略輸送によって3個師団もの地上兵力がポートモレスピーに登場。ココダ回廊を抜けてブナ正面に攻め込んできた。
先月の輸送でブナに到着していた日本陸軍第6師団は、連合軍3個師団の攻撃に対して果敢に抵抗。見事にこれを撃退した。

イメージ 7一方のガダルカナルでは、航空兵力に勝る米軍が激しい航空攻撃を現地の日本軍(第2師団その他)に対して実施してきた。高い士気を誇る日本軍はその攻撃に対して果敢に立ち向かったが、度重なる空襲で次々とモラル崩壊を起こした。
頃合いよし、として地上から攻勢を仕掛けてきた米第1海兵師団は、日本軍守備隊を同島の一角に圧迫し、遂にそれを壊滅に追い込んだ。その過程で海兵隊も多大な損害を被り、すぐには次の作戦へは投入できないような状況ではあったが・・・・。

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結果

このあたりで時間切れとなったのでお開きにした。
このシナリオはゲームの長さに応じた勝利条件が設定されており、1943年1月までの段階ではガダルカナルとブナの支配、それに両軍の主力艦の沈没隻数比較によって勝敗が判定される。

ガダルカナルに日本軍がおらず、米軍が同地の飛行場を支配している場合、原則として米軍の勝利となるが、勝利レベルは主力艦の損失数比較によって判定される。主力艦の損失数で言えば、日本側がゼロ、米側が戦艦2、正規空母1を失っているので、米軍が3隻多く失っている。その結果、米軍の勝利は引き分けに修正される。

個人的には上記の戦果に加えて正規空母2隻を大破せしめ、さらにニューギニアの要域ブナも守り切ったので、個人的には勝利を宣言したい所だ。ガダルカナルでの「玉砕」があったとしても、ミッドウェーの仇討ちを話した我が聯合艦隊の戦果を、恐らく国民は喜んでくれることであろう。

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感想

プレイ時間はセットアップも含めて約10時間であった。しかし途中で少しダラダラした所があったので、もう少しペースアップは可能だったかもしれない。取りあえず本ゲームでは最大規模と言って良いキャンペーンシナリオに触れることができたので、個人的には満足している。

イメージ 8太平洋戦争キャンペーンゲームということで、我々としては内容が気になる所だが、まず気に入った部分から触れてみたい。
まず空母艦載機の扱いだが、HJ/SSGのPacific Fleet(以下PF)よりも本作の方が良いと思う。PFでは、運用に関係なく艦載機の練度が時期によって一律に決められている。従って1943年以降なら日本空母部隊は殆ど米機動部隊相手に無力に近い存在となる。しかし本作の場合、運用如何によっては高練度部隊を戦争中盤以降まで保持できる可能性がある。無論、戦争後半になれば米機動部隊の対空砲火がシャレにならないぐらい強化されるので、航空攻撃は殆ど封じられてしまうのは変わらないが、艦隊防空戦闘なら十分に使える。いわんや1943年の段階では、十分に決戦兵力足り得る。従って史実で言う所のZ作戦を試してみることができるのは嬉しい。

戦艦、空母が個艦単位で登場するのも良い。やはり「CV-6撃沈」よりも「エンタープライズ撃沈」の方が気分が良い。

イメージ 9一見変な感じのする艦船移動システムだが、暦日の経過を本当の意味での暦日とは考えず、艦艇の燃料消費として考えると合点がいく。つまり戦闘海域で高速移動する艦艇は燃料消費が多くなるので暦日の進み(=燃料の残量)が早くなり、戦闘地域までの移動は低速移動になるので燃料消費が少なく暦日の進みも遅くなる。接触フェイズで潜水艦と水上戦闘艦が同じスピードなのに、戦闘サイクルでは水上艦が倍のスピードで動けるのも、巡航速度と戦闘速度の違いと考えれば、なるほどと思える。

地上戦も結構雰囲気が出ている。ジャングルに籠る日本兵に対して砲爆撃を繰り返し、相手が参った所で掃討戦を行うのも島嶼戦っぽいし、逆に海兵隊が日本軍の砲爆撃に耐えて陣地を死守する感じも良く出ている。一部に「米海兵隊が強すぎる」という意見もあるし、日本軍をプレイしてみるとそう感じることもあったが、米海兵隊が強いのも確かなので、許される誇張の範囲だと思う。なんといっても米軍側から見た日本陸軍各師団のレーティングは、見ているだけで楽しくなる。

次にちょっと変だよと思う点について。
暦日ルールとも関係あるのだが、一度出撃した日本空母が決してトラックに帰らず、ラバウルを母港とした方が効率が良いというのは如何なものかと思う。

潜水艦が強すぎるのも如何なものか。

指揮ポイントが少なすぎて史実通りの編制を組むと指揮ポイントが破綻する。勢い「空母4、駆逐艦1」的な変則艦隊ばかりとなる。重巡、軽巡は殆ど使い道がない。高速艦、低速艦の区分がない。

あとシナリオに関していえば、指揮ポイントが月単位で決まっているので、プレイヤーの判断でメリハリをつけ難い。史実で攻勢が行われた時期に史実通り攻勢を行う、というパターンに陥りがちだ。さらに言えば、1943年以降の日本軍は指揮ポイントが本当に雀の涙になるので、ゲリラ的な抵抗しかできなくなる。折角空母や戦艦を生き残らせ、高練度艦載機部隊を残しておいても、指揮ポイントの関係から1943年以降は使い道がない。なんだかなぁ・・・。

とまあ色々と書いてきたが、キャンペーンクラス、しかも戦艦、空母が1隻単位で太平洋戦争を再現できる本作は貴重である。対戦相手氏に言わせれば「面倒すぎる」とのことであったが、私にとっては許容範囲であった。このルールで太平洋戦争全域を再現するのは確かに凄まじい労力が必要だが、それでもこのスケールで太平洋戦争全域をなんとかプレイできるというのは貴重であり、他に類を見ない。
またフルキャンペーンとは言わなくても、1942年までを扱ったショートキャンペーンや今回プレイした戦役シナリオなら、十分にプレイ可能な範囲だと思う。

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