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Heavy Cruisers of the Admiral Hipper class

Gerhard Koop & Kraus-Peter schmolke Seaforth Publishing

以前から疑問に思っていたのだが、ナチス・ドイツ海軍は何故ポケット戦艦の後にヒッパー級の重巡を整備したのか?。どう考えても通商破壊艦としてはポケット戦艦の方が有効。水上艦としてみた場合も、ヒッパー級の重巡は中途半端な存在である。個艦としても特に優秀とは言えないヒッパー級は、数に勝る英巡洋艦相手に苦戦を強いられること必定。事実、バレンツ海では砲力に劣る筈の英大型軽巡相手に不甲斐ない戦を演じている。
本書はそのヒッパー級の諸艦について、技術面及び戦歴面から記述した著作である。しかし説明内容は概要レベルに留まっており、詳細な記載はあまりない。そして読者にとっては殆ど興味がないであろう艦名の由来となった人物についての解説(ヒッパー提督やブリュッヒャー将軍の説明を読みたいとは少なくとも私は思わない)について数ページを割いている点には理解に苦しむ。本邦ではドイツ艦に関する著作があまり多くないので洋書にトライしてみたものの、本書については期待外れの結果に終わった。
冒頭にあげた疑問については、本書を読むことである程度答えを掴むことができたと思う。本書によれば、ヒッパー級5隻を建造するリソースを使えば、8隻のポケット戦艦か125隻のVII型Uボートが建造できたという。果たしてヒッパー級の価値が8隻のポケット戦艦や125隻のUボートに匹敵するかどうかは、自ずと明らかだ。

お奨め度★★