これまで2度に渡って紹介してきたSPIの現代海戦ゲーム「Task Force」だが、この度対戦の機会を得た。そのレポートを以下に報告する。なお、Task Forceの基本的なシステム等は、こちらの記事を参照されたい。
「時に西暦1985年。世界は戦火に包まれた。貴方は今、機動部隊の指揮官になる」(箱絵より)
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シナリオ33.33 「ノルウェー海における最初の激突」
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分析

両軍の兵力を見てみる。ソ連側は3隻の潜水艦が登場し、いずれも通常動力のフォクストロット型だ。本作では原潜とディーゼル潜に本質的な違いはなく、例えばフォクストロット型とヴィクター型原潜では性能面で違いはない。従って旧式のディーゼル潜であっても十分に脅威になる。それ以外ではミサイル巡洋艦2隻、駆逐艦2隻、フリゲート艦1隻、ミサイル哨戒艇1隻の計6隻。そして輸送船が5隻登場する。対艦ミサイルの搭載数は22発だ。
対するNATO陣営は、STANAVFORLANT(大西洋常設艦隊)に所属するNATO諸国の駆逐艦3隻とフリゲート艦3隻、さらにノルウェーのオスロ級フリゲート艦3隻の計9隻だ。対艦ミサイル一斉発射数は計46発。さらに予備弾を加えると対艦ミサイル搭載数は62発に達する。潜水艦を持たないとはいえ、対艦ミサイル火力ではNATO側が圧倒的に有利だ。

展開


第3Turnにはソ連潜水艦がフェロー諸島近海にてNATO輸送船団を概略探知。第4Turnには正確な計測に成功。以後、ソ連潜水艦がNATO輸送船団に対して影のように付きまとう。NATO船団はソ連潜水艦を振り切ろうとするが、元よりこのゲーム、ディーゼルだろうが原潜だろうが、速度面で違いはない。つまりディーゼル潜水艦でも水上艦艇を全力追跡可能なのだ。どこかの日本海軍が聞いたら泣いて喜びそうな仕様である。


生き残った帝國主義者の艦隊は、対艦ミサイル16発を発射して応戦。そのうちの2発が我がミサイル巡洋艦「ドロースト」(クレスタ1型)に命中した。「ドロースト」は中破したものの、沈没を免れた。
この後練習も兼ねて砲撃戦を試してみたが、NATO側はミサイル中心の武装なので砲戦力は小さく、対するソ連側は砲戦力重視の旧式駆逐艦が混じっていたので、砲戦はソ連側有利に展開した。結果、英駆逐艦「アクティブ」が直撃弾受けて損傷した。
この段階で護衛兵力の半数以上を失ったNATO側の投了でゲーム終了となった。
感想

シナリオ33.32「マルタ島侵攻」
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ソ連黒海艦隊がエーゲ海へ出撃してきた。ソ連軍は地中海西部へ艦隊を進入させながら、一方でマルタ島を奪取するために上陸部隊を向かわせていた。米海軍とフランス海軍は西部地中海での対潜掃討戦で手一杯であり、そのためタラント港のイタリア艦隊が1隻のフランス潜水艦と共に迎撃に向かった。
分析

両軍の兵力を見ると、まずソ連側は巡洋艦3隻、駆逐艦6隻、フリゲート艦2隻、原子力潜水艦1隻というなかなか豪華な布陣。しかし内実はかなり悲しい。まず3隻の巡洋艦のうち2隻はスヴェルドロフ級の軽巡。軽巡なんて第2次大戦に戻ったような艦種だが、このスヴェルドロフ級は正に古典的な軽巡で、6インチ砲12門、4インチ両方砲12門という武装は、「どこのクリーブランド級が復活してきたのか」と言う感じである。

また駆逐艦、フリゲート艦も対艦ミサイルを装備しているのは1艦のみ。他は対空ミサイルや対潜ミサイル装備艦はあるものの、対艦ミサイルはなし。水上打撃力は甚だ心許ない感じである。

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しかし先手を取ってきたのは共産側であった。先に探知した敵原潜がイタリア艦隊を襲い、ミサイル駆逐艦「アウダーチェ」が魚雷1発を喫したのである。幸い「アウダーチェ」は沈没を免れたが、初手の損害は我が方の士気に悪影響を与えた。

ただちイタリア艦隊も反撃に転じる。クレタ島西方125海里の敵艦隊に対し、対艦ミサイル4発を発射した。ミサイルのうち2発が敵貨物船に命中したが、貨物船は意外と頑強で、2発のミサイルを喫しても沈む気配を見せない。イタリア艦隊はさらに6発の対艦ミサイルを浴びせかけて、そのうちの2発が件の貨物船に命中したが、なおも貨物船は沈まない。結局、この貨物船はイタリア海軍の潜水艦「サウロ」が雷撃で仕留めたが、たかが1隻の貨物船相手に対艦ミサイルの半数近くを消費したイタリア海軍。先が思いやられる。

その間、フランス潜水艦「アゴスタ」は哨戒任務中に敵艦隊の対潜攻撃を受けて消息を絶つ。前回とは違い、今回は敵も積極的にASW戦を展開してくる。厄介だ。

感想
例によって輸送船が登場するシナリオである。VPの関係上輸送船が登場するシナリオは輸送船側がまず必勝である。こんなのテストプレイしなくても頭の中でVPをシミュレーションすればわかりそうなものだが、全般的にデヴェロップ不足を感じる部分だ。まともなプレイするには、イタリア側に20VP程度ハンデを与えておく必要があると思った。ただしこれだけ大規模なシナリオになると考えることも多いのでそこそこ楽しい。シナリオのバランスさえ調整すれば、大化けする可能性があると思う。