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MBT(GMT)シナリオ3:The Gap


MBTは1987年に発生した可能性のあった欧州正面におけるNATO軍とワルシャワ条約機構軍(WPact)の通常戦争を扱ったシミュレーションゲームである。今回、VASSALを使ったソロプレイでプレイしてみた。プレイするシナリオ3「The Gap:GDR Western Border,27 September 1987」。フルダギャップに侵攻するソ連第79親衛戦車師団に対し、米第11機甲騎兵連隊(ACR)が遅退戦術を展開するというもの。上級ルールは全採用とし、選択ルールも一部を除いて全採用した。

前回までの展開-->こちら

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5Turn

先手は米軍。履帯命中を受けていたT-80BVが、至近距離からM1IPエイブラムスの徹甲弾を食らって爆発炎上した。別のT-80BVは、ブラッドレーの発射したTOW-2が履帯に命中。行動の自由を失う。ソ連軍も反撃してM1IPエイブラムス2両に計3発の125mmAPFSDS弾とAT-5スパンドレル対戦車ミサイルを命中させたが、いずれもエイブラムスの分厚い砲塔前面装甲に阻まれて有効打にはならなかった。

このTurn終了時点でソ連軍は戦車4両、その他3両を失い、他に戦車3両が何らかの損傷を被っていた。対する米軍は戦車1両とその他2両を失っている。

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6Turn

イメージ 1M1IPエイブラムスの105mmAPFSDS弾が2両のT-80BVを葬った。いずれも行進間射撃。100mの至近距離と700~800mのミドルレンジからの戦果である。
M3A1ブラッドレーは、2両のBMP-2に対して900~1100mの距離からTow-2対戦車ミサイルを発射したが、車高の低いBMP-2に対して2発とも外れてしまう。BMP-2の反撃によってAT-5スパンドレル対戦車ミサイルが1両のブラッドレーに命中。不発弾であったもののクルーが命中弾に驚いて車両を放棄してしまう。さらにエイブラムスの車体正面にもAT-5が命中したが、こちらはチョバム装甲によって何とか耐えた。

このTurn終了時点でソ連軍は戦車6両、その他3両を失い、他に戦車2両が何らかの損傷を被っていた。対する米軍は戦車1両とその他3両を失っている。

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7Turn

イメージ 2米戦車の猛射は続く。1両のT-80BVと1両のBMP-2が損傷する。他に1両のT-80BVが直撃弾を受けた。弾は不発であったが、その衝撃によってクルーが戦車を放棄して脱出してしまう。移動中のT-80BVの側面後方からTow2対戦車ミサイルが命中。薄い車体後面装甲を貫いたTow2は、この戦車を擱坐させた。
ソ連側も反撃する。ハルダウン状態のM3A1ブラッドレーに対して、1300mの距離からT-80BVが榴弾射撃を行う。榴弾が有効打となってブラッドレーは擱坐する。一部のソ連軍歩兵戦闘車と兵員輸送車は米軍の防衛線を抜けて戦線後方を伺うが、果たして・・・。

このTurn終了時点でソ連軍は戦車8両、その他3両を失い、他に戦車2両、その他1両が何らかの損傷を被っていた。対する米軍は戦車1両とその他4両を失っている。

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8Turn

劣勢のソ連軍は主導権に全ての期待をかけるが、その期待も空しくこのTurnも米軍が主導権を握った。先手を取ったエイブラムスの射撃がまたもやソ連戦車部隊を引き裂く。1両のT-80BVは600mの距離から放たれた105mmAPFSDS弾の直撃を受けて炎上した。もう1両は2両のエイブラムスから集中砲火を浴び、距離800mから放たれた105mm徹甲弾がT-80BVの車体正面装甲を貫通。このT-80BVも炎上する。
ソ連軍歩兵が米軍機械化歩兵に対して白兵戦を実施。兵力にモノを言わせてこれを排除した。

本作の場合、接近戦では歩兵がかなり強い。特にスタックしている場合は尚更だ。ASLのようなゲームでは歩兵の密集隊形は自殺行為だが、本作の場合はそうでもない。歩兵の密集隊形を阻止できるのは間接射撃だけであり、そういった意味でも砲兵が重要な意味を持っている。

この段階でソ連戦車の損害は10両に達し、さらにその他の車両も4両を失っている。損傷したのは戦車2両とその他2両。対する米軍の損害は、戦車1両、歩兵戦闘車3両、自走迫撃砲1両の計5両である。既にソ連軍の損害は限界を超えているが、とにかく可能な限り盤端突破を目指すことにする。

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9Turn

イメージ 4またもや米軍が主導権を取った。3両のエイブラムスからの集中砲火を浴びてT-80BVがまた1両炎上する。BMP-2がエイブラムスの砲塔側面に9M113対戦車ミサイル(NATOコードネーム:AT-5スパンドレル)1発が命中したが、エイブラムスの複合装甲はなんとか耐えた。
他に1両のM3A1ブラッドレーと3両のBMP-2が100mの至近距離で対峙する。1両のBMP-2の車体に25mm機関砲弾が命中。25mm機関砲弾は脆弱なBMP-2の車体装甲を難なく貫通したのだが、破壊力不足で撃破するには至らなかった。一方のBMP-2は30mm機関砲弾による榴弾射撃でブラッドレーを制圧射撃し、これを制圧状態にした。

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米軍の歩兵戦闘車/兵員輸送車は全般的に装甲が厚く、20~30mmクラスの機関砲ならば十分に耐えることができる。一方、ソ連軍の同種車両は装甲が薄い。20~30mmクラスは言うに及ばず、12.7mmクラスの機銃ですら貫通されてしまう。従って接近戦ではブラッドレーの25mm速射砲は十分な脅威となる。

このTurn、漸くソ連軍の一部が戦線突破に成功。T-80BV戦車1両とBTR-70兵員輸送車2両が盤外に出た。

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10Turn

米軍のM3A1ブラッドレーに4台目の損失が出た。至近距離から放ったソ連軍歩兵の73mm対戦車ロケットRPG22がブラッドレーの砲塔正面に命中した。機関砲クラスの直撃なら十分に耐えられるブラッドレーの正面装甲だが、対戦車ロケットの直撃には耐えられない。内部で爆発した対戦車ロケット弾がブラッドレーを引き裂く。
またこのTurn、BMP-2歩兵戦闘車3両が歩兵分隊2個を積載して盤外突破に成功した。これによって計6両の車両と2個分隊が盤外突破に成功したことになる。

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11Turn

イメージ 13BMP-2歩兵戦闘車2両が対戦車ミサイルで側面を晒したエイブラムスを狙う。そこへ3両のエイブラムスが集中砲火を浴びせてきた。2両のBMP-2は爆発炎上する。
その一方でソ連軍歩兵分隊4個との白兵戦に巻き込まれた米歩兵分隊1個が数の暴力に屈して壊滅する。またエイブラムスに対戦車ミサイル2発が発射され、その1発がエイブラムスの履帯に命中。その機動力を奪った。

12Turn

イメージ 3初めてソ連軍が主導権を握った。先手を取ったソ連軍が、一度に2両のエイブラムスを撃破するという快挙を成し遂げる。
1両のエイブラムスは距離1200mから放たれたT-80BVの125mm徹甲弾がエイブラムスの砲塔側面に命中。装甲を貫通した徹甲弾が内部で爆発。別のエイブラムスにはBMP-2が放った9M113対戦車ミサイルが車体側面に命中。「ここ以外なら貫けなかったものを・・・」と悔やんでも後の祭り。
また2S1自走砲3両が盤外突破に成功した。

エイブラムスの装甲は強力だが、それでも側面から命中弾を受けた場合は耐えられない可能性がある。今回、いずれも敵砲弾やミサイルがエイブラムスの弱点部に命中するという不運もあったが、射界確保を優先して左右から撃たれる場所に布陣した米軍側にもミスがあった。

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13~15Turn

米軍の戦車は2両まで減少したので、これ以上の損害を避けるために後退を開始した。一方のソ連軍は可能な限り突破を目指すため、BMP-2の1両がさらに盤外突破に成功する。結局最終Turnまでに突破に成功したソ連軍兵力は、戦車1両、歩兵戦闘車/兵員輸送車6両、自走砲3両、歩兵4個分隊であった。

結果

ソ連軍のVP

・盤外突破によるもの:993VP(戦車1両、歩兵戦闘車/兵員輸送車6両、自走砲3両、歩兵4個分隊)
・敵撃破によるもの:1962VP(M1IP 3両、M3A1 4両、M106A2 1両、歩兵分隊4個)
  合計:2955VP

米軍のVP

・盤外突破阻止によるもの:3544VP

勝敗

米軍の辛勝

損害分析

今回完全撃破又は走行不能となったのは、ソ連側が戦車12両、歩兵戦闘車4両、米軍は戦車3両、歩兵戦闘車4両である。その原因内訳を以下に記す。

ソ連軍

T-80BV 12両:105mm弾による9両、対戦車ミサイルによる3両
BMP-2 4両:105mm弾による3両、対戦車ミサイルによる1両

米軍

M1IP 3両:125mm弾による2両、対戦車ミサイルによる1両
M3A1 4両:125mm弾による1両、対戦車ミサイルによる2両、歩兵による1両

両軍とも戦車砲が戦果の中心である。それでも米軍が戦果の75%が戦車砲による戦果なのに対し、ソ連軍の場合は半分以下であった。

感想

序盤は米軍の楽勝ペースであったが、終盤にM1IPエイブラムスが2両がまとめて撃破されたことによって米軍もかなり苦しい展開となった。今回はソロプレイということで米軍にかなり肩入れしてプレイしていたことは確かだ。それでもギリギリの勝利だったので、まともにプレイすれば米軍が勝利するのはかなり難しいのではないかと思われる。

後日このシナリオを対人戦でソ連軍を担当してプレイする機会があった。その時は結果的には勝利したのだが、その過程でかなりヒヤヒヤしたのを覚えている。そう考えると、このシナリオは確かにソ連側有利だけど、米軍側に全く勝機がないということではなさそうである。

それにしてもMBTは面白い。細かいルールが多いのでプレイ時間は必要だが、現在戦車の性能や現在戦における諸兵科連合効果等が上手く表現されている。

次はもう少し大きめのシナリオに挑戦したいと思う。

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