GMT社のPanzerは、WW2期における戦車戦を扱った戦術級ゲームだ。1ヘクス=100m、1Turn=15秒~15分、1ユニット=1両、1門、1機、1個分隊/班である。今回、拡張キット#1に含まれている「シレジアの黄昏、1945」(Twilight: Silesia, 1945)をVASSALでソロプレイしてみることにした。

ここまで歩兵分隊の善戦によって戦線を支えてきたドイツ軍に待望の増援部隊が登場する。重戦車等8両の先頭車両からなる戦車中隊。通称「黒騎士中隊」だ。黒騎士中隊は期待に応えてソ連戦車部隊相手に優勢な戦いを繰り広げている。

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15Turn

イメージ 6最早半身不随のソ連軍だったが、ここで主導権を取り返し、意地を見せる。
先のTurn、ヤークトパンターを撃破した殊勲のT-34/85はさらにヘッツァー1両を仕留めた。このヘッツァーは先にT-34/85 1両を葬っていたので、見事に仇討ちを果たしたことになる。そのT-34/85も、直後に500mの距離から放たれたティーガー重戦車の88mm徹甲弾を浴び、遂に息の根を止められる。
パンター1両にはSU-100の100mm高速徹甲弾が命中。こちらは撃破こそ免れたものの、損傷状態になる。そのSU-100にも別のパンターが放った75mm高速徹甲弾が命中。車体を撃ち抜いて内部で爆発。最後のSU-100が擱坐した。
この一連の戦闘によってSU-100駆逐戦車とT-34/85中戦車隊は全滅。ソ連軍の残るはIS-2m重戦車2両だけとなった。

そしてラスボス。IS-2mの生き残りがいよいよ戦場に姿を現したのである。

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16Turn

イメージ 7ラスボスに対するドイツ軍の回答は間接射撃だった。盤外砲兵から放たれた榴弾の雨がIS-2m重戦車の周りに降り注ぐ。撃破は望むべくもないが、せめて制圧の結果でも得られれば、との期待を込めた砲撃は、残念ながらスカに終わった。しかし弾幕射撃によって引き起こされた砂塵によってソ連戦車の照準は著しく阻害されることになる。そのためか1両のソ連戦車は射撃に失敗する。しかしもう1両は確実に目標のパンター戦車を捉えた。それは間接射撃を誘導していた中隊長の戦車だった。122mm徹甲弾はパンターの砲塔正面を貫いて内部で爆発。そのパンターを擱坐させた。
すぐ横にいたパンター戦車がIS-2mに報復の射弾を浴びせかけた。75mm高速徹甲弾は見事にIS-2mの正面に命中したが、IS-2mの重装甲は何事もなかったように平然としていた。

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17Turn

イメージ 5「猛獣は猛獣で」
ドイツの誇る猛獣=ケーニヒスティーガーがIS-2mを撃破すべく前進してきた。距離1400mから放たれた88mm高速徹甲弾はIS-2mの砲塔前面に命中した。車体装甲に比べてやや薄いIS-2mの砲塔は、長砲身の88mm砲から放たれた徹甲弾を阻止できなかった。内部爆発によりまずIS-2mが1両撃破された。残りは1両。そのIS-2mは後退してケーニヒスティーガーの視界外に逃れたが、所詮一時凌ぎであった。
同じ頃、Lorendorf村におけるドイツ軍の抵抗も終わりを迎えようとしていた。圧倒的兵力のソ連歩兵部隊相手に一歩も引かない戦いを繰り広げたドイツの少年たち3個分隊は、ソ連軍の白兵突撃によって文字通り壊滅したのである。
しかしここに至るまでソ連軍も既に司令部分隊を含めて歩兵部隊の約2/3を失っており、突撃を継続する力は既に残されていなかった。

この時点でソ連軍の攻勢継続能力が失われたと判断。ゲーム終了とした。

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結果

両軍の損害(完全撃破のみ)

ソ連軍
IS-2m重戦車:1両(106VP)
SU-100駆逐戦車:3両(222VP)
T-34/85中戦車:7両(570VP)
M2ハーフトラック:1両(26VP)
歩兵分隊:5個(126VP)

ドイツ軍
V号駆逐戦車:1両(133VP)
V号中戦車:2両(316VP)
ヘッツァー駆逐戦車3両(168VP)
75mm対戦車砲:2門(58VP)
歩兵分隊:4個(39VP)
HMG班:1個(8VP)

VP

ソ連軍:722VP
ドイツ軍:1790VP

ドイツ軍の勝利

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感想

戦車同士が花形となるこのシナリオだが、多分皆さんが予想されている通り、このシナリオの主役は歩兵、中でも最弱のドイツ国民擲弾兵の歩兵たちだ。彼らがどれだけの期間戦場を支えられるかでシナリオの勝敗は決すると言って良い。

このシナリオを最初プレイした時には、ソ連軍歩兵の「人海戦術」に圧倒されて、「一体どないせぇちゅうねん?」という感想を頂いた。歩兵にスタック制限はなく、白兵戦になったら攻撃側は好き放題兵力を集中できる。射撃で阻止しようとしても直接射撃はユニット単位で行われるので、スタックで来られたら如何ともし難い。

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歩兵の守り方のカギは、まず「見つからないこと」だ。このゲーム、敵から見つからないことは、攻撃されないことと同義である。そして地形に拠り物陰に隠れている敵歩兵を見つけるためには隣接するしかない。隣接してきた敵歩兵に対しては臨機射撃や間接射撃で痛めつけることでかなり弱体化を図れる。そして今回ドイツ軍が多用したように「死なば諸共」とばかり、間接射撃を直近に迫った敵歩兵に見舞う手もある。この方法では間接射撃によって友軍相撃になる可能性大だが、
「陛下の赤子を陛下の砲で撃つことはできません」
などという戯言を言う者はいない。
国民擲弾兵の子供たちには気の毒だが、コミュニスト共を抹殺するための生贄になってもらおう。これをやられたらソ連軍はかなり苦しくなる。例えばSU-152のような車両がいたら、もう少し楽できるかもね(すぐ弾切れになるケド)。

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このようにPanzerは戦車が主役のゲームながらも、砲兵や歩兵の重要性がさり気なく表現されている好ゲームである。別のシナリオも(例えば独ソ戦初期)機会を見つけてプレイしてみたい。

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