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現在、鋭意デザイン中の空母戦ゲーム「決戦、南太平洋1942」(以下、本作)。索敵システムや艦隊移動システム等も頭の中ではデザインを進めているが、まずは戦術戦闘部分を骨子を固めてしようとしている。私の経験上、空母戦ゲームで結構重要なのが戦術戦闘部分で、ここがダメだと、いくら索敵システムを凝っていてもダメゲーの烙印を押されてしまう。だから戦術戦闘部分で納得感の得られるシステムをデザインすることが、空母戦ゲーム成功の第1歩だと考える。

戦術戦闘部分の中でも肝になるのが、空対艦攻撃である。空母戦のクライマックスとも言うべき場面で、この場面をクリアしないとゲームが完結しない。いわば空母戦ゲームの核心部分であり、ここがヘボいとプレイヤーが興ざめしてしまう。

現時点ではまだ暫定版であるが、本作の空対艦攻撃ルールの骨子が固まってきた。そこで現時点でのシステム構想を紹介してみたい。紹介するにあたっては、練習シナリオに予定しているシナリオT1「空母レキシントンを撃沈せよ」のプレイ紹介という形を取ってみる。これは1942年5月8日珊瑚海海戦における日本海軍航空隊と米機動部隊の戦いを扱ったものだ。この戦いで日本海軍航空隊は、米海軍最大の空母である「レキシントン」を撃沈し、史上初の空母対決を日本側の戦術的勝利に導いたのである。

セットアップ

イメージ 7本作では、空対艦戦闘場面は戦術マップを使って解決する。他の多くの空母戦ゲームと同じく、戦術マップを使うとはいっても艦船や航空機がマップ上を動き回る訳ではない。単に艦隊陣形と攻撃側の攻撃目標指示の為に戦術マップを使うだけである。

本シナリオに登場する米艦隊の編成は以下の通りだ。

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兵力的には空母2、重巡5、駆逐艦8である。この海戦から後の戦いでは米空母は空母1隻毎に輪形陣を組むという布陣を採用したが、この戦いでは空母2隻の周りに護衛艦艇を配置する輪形陣を採用した。

イメージ 8序にユニットの数値についても説明しておく。上半分は艦名とシルエット。ここは説明不要だろう。下の白い部分がユニットの能力だ。恐らく概ね想像されていると思うが、左から砲撃力、対空火力、防御力、移動力である。砲撃力と防御力の右肩の小さい数値は貫通力と装甲値を表わしており、防御力の色が耐久力を表わしている。赤なら耐久力6、青=4、黒=2(又は1)で、黒以外のユニットは耐久力の減少を損害マーカーを使って表わす。例えば空母「レキシントン」は防御力の色が赤なので耐久力が6。この場合、最初の2打撃は数値マーカー(1又は2)で損害を表わし、3打撃目で裏返し、4~5打撃はさらにマーカーを配置、6打撃以上で沈没となる。

次に攻撃側の兵力だ。今回、戦闘機同士の空中戦は再現しないので、登場するのは攻撃機だけである。

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イメージ 9言うまでもないが、D3Aは99艦爆、B5Nは97艦攻である。99艦爆x4ユニット、97艦攻x2ユニットの計6ユニットが攻撃兵力の全てだ。ちなみに本作での航空機は2ステップを有しており、1ユニットあたり8~10機程度の航空機を表わしている。実際の攻撃兵力は、99艦爆33機、97艦攻18機なので、まあそんなものだろう。
ユニットの見方だが、航空機の場合は機種名、所属母艦(あれば)、機体種別である。所属母艦のCV5は「翔鶴」、CV6は「瑞鶴」である。機体種別は損耗が発生した場合の補充に関係してくるが、今は関係ない。航空機の能力はユニットには記載されておらず、別のデータカード等で管理する。これは艦船のような細かい区分がないのでチャート方式でも管理負荷はそれほど増加しないと考えたこと、また航空機の性能がシナリオや時代によって変わってくる可能性があったこと。さらには航空機の細かい性能差を表現するためにはユニットの面積だけでは足らなくなることが明らかだったこと。このような理由からユニット表記にしない方が良いと判断したためである。
ちなみに航空機の性能表は以下の通りだ。現時点では暫定版なので、今後変化する可能性はある。

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対空射撃

イメージ 10それでは早速シナリオを開始しよう。先にも書いたが空対艦攻撃は戦術マップを使って解決する。まず防御側の艦艇を戦術マップ上に配置しよう。1ヘクスに1隻ずつが原則だが、耐久力2以下の艦艇(要するに駆逐艦クラス)に限って2ユニットまでスタックできる。米艦隊の配置は以下のようにした。セオリー通り空母を中心とした輪形陣である。

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続いて日本側の攻撃隊を配置する。シナリオの勝利条件は今の所未定だが、一応以下のようなものを考えている。

 (1)米空母2隻にそれぞれ2打撃以上を与えること。
 (2)米空母2隻に与えた打撃数の合計が6以上であること。

史実では「レキシントン」撃沈、「ヨークタウン」中小破なので、史実に比べるとやや甘い勝利条件だが、私は史実がかなり日本側にとってラッキーな結果だったと考えている。
勝利条件を考えれば空母1隻に集中攻撃を加えるのは得策ではない。ここは史実通り「翔鶴」攻撃隊を「レキシントン」に、「瑞鶴」攻撃隊を「ヨークタウン」に向けた。

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イメージ 11いよいよ戦闘解決である。
まず対空射撃を行う。本作での対空射撃はファイアーパワー方式で解決する。ただし一般的なファイアーパワー方式とは異なり、スタックに対して射撃を行う場合はスタックを構成する全ユニットに対して個別に射撃を解決する(分かり易く言えば、戦術級ゲームにおける間接射撃のように解決する)点だ。その代わり、スタックの規模が大きくなると、個々の射撃で射撃側が不利になるようにコラムシフトが適用される。所謂飽和攻撃だ。多数機で単一目標を攻撃すると、攻撃側の損害量は増えることになるが、攻撃隊全体における損害率は低下する仕組みだ。
対空火力の計算は以下の方式で行う。

 (1)目標ヘクスの艦艇は、対空火力の2倍を同一ヘクスの敵機に振り向ける(強制)。
 (2)(1)以外で目標ヘクスに隣接する艦艇は、対空火力をいずれかの目標ヘクスに振り向ける(任意)。

今回は「レキシントン」に隣接するのは重巡4と駆逐艦2、「ヨークタウン」には重巡3と駆逐艦4が隣接している。さらに「ポートランド」「チェスター」の2艦は「レキシントン」「ヨークタウン」の両方に隣接しているので、対空火力をどちらか一方に向けることができる。ちなみに対空火力は、空母、重巡はいずれも4、駆逐艦は2だ。対空火力の分割に関する選択肢は以下の通りになる。

 (1) 「レキシントン」に対しては、「レキシントン」自身の火力(8=4x2)、及び「レキシントン」に隣接する重巡2、駆逐艦2が対空火力を提供する(+12火力、合計20火力)。「ヨークタウン」に対しては「チェスター」「ポートランド」を含めた重巡4、駆逐艦4と「ヨークタウン」自身が対空火力を提供する(合計28火力)。
 (2) (1)の逆で、「レキシントン」に28火力、「ヨークタウン」に20火力を振りむける。
 (3) (1)(2)の折衷案で、「ポートランド」「チェスター」はそれぞれ「レキシントン」「ヨークタウン」に対空火力を提供し、それぞれ合計対空火力を24とする。

選択肢を選ぶ前に対空射撃表を見てみよう。

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表を見れば、20火力と24火力が同じコラムであることがわかる。従って選択肢(3)は論外だ。(1)(2)ということになるが、ここは史実通り「ヨークタウン」に残ってもらおう。ということで、選択肢(1)を選択した。

対空射撃を解決するためにダイスを振る。まず「レキシントン」を狙う「翔鶴」隊3個中隊を射撃する。射撃を解決する前にコラムとDRMを確かめよう。まず基本コラムが"20"火力のコラムになる。同時に対空射撃を受けるユニットが3ユニットなので左へ2シフト。さらに急降下爆撃機に対しては左へ1シフトが適用される。従って使用する対空火力コラムは以下のようになる。

 (1)艦爆隊に対しては10火力
 (2)艦攻隊に対しては12火力

さらに日本海軍機に対する対空射撃ではDRM+1が適用される。これは「落ちやすいが帰りにくい」。つまり決死的攻撃を行いやすい。なお対空射撃でステップロス、撃墜された航空機も、損害前の攻撃力で対艦攻撃を実施できる。しかしAの結果を食らった場合は、攻撃自体が失敗になる。
ではダイスを振ってみよう。思わず力が入る場面だ。艦爆、艦爆、艦攻の順に振る。

出目は6,6,6だった。日本機DRM+1を適用して7,7,7。

なんたる幸運、日本機は全て損害を受けず、帰還もせずに「レキシントン」へ殺到する。「レディ・レックス」の運命はここに極まったか・・・。

次に「ヨークタウン」を襲う「瑞鶴」隊に対する対空射撃を解決する。詳細は省略するが、使用するコラムは艦爆に対して12火力、艦攻に対しては16火力だ。いざ、ト連送


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