イメージ 12

珊瑚海海戦は主に日米の空母部隊同士が戦った海戦であったが、日本側の基地航空部隊も戦闘に参加している。それが第4航空隊、元山航空隊連合の陸攻隊による連合軍水上部隊に対する航空攻撃だ。
日本側の兵力は魚雷及び爆弾を装備した陸攻計31機(他に護衛の零戦12機が参加)。対する連合軍は重巡2、軽巡1、駆逐艦3の兵力である。

陸攻隊がエアーカバーを持たない水上部隊を攻撃するのは、開戦劈頭のマレー沖海戦を彷彿させるが、マレー沖海戦とは違ってここでは水上部隊側に軍配が上がった。日本側は陸攻隊4機を失い、他に2機が不時着、戦死31名に及んだ。それに対して連合軍水上部隊に与えた命中弾、命中魚雷は皆無であった。

今回、開発中の「決戦!、南太平洋海戦1942」(以下、本作)の海空戦システムを用いて、珊瑚海海戦の一場面を再現したいと思う。

セットアップ

イメージ 7上にも書いた通り、連合軍の兵力は米豪連合の重巡2、軽巡1、駆逐艦3からなるクレース少将率いる水上部隊である。なお、クレース少将は3ヵ月後の第1次ソロモン海戦で米豪連合艦隊を率いて日本海軍に大敗した海将だ。クレース部隊の配置は以下ようにした。

イメージ 1


次に攻撃兵力だ。史実では第4航空隊の1式陸攻12機が魚雷を搭載して攻撃。元山航空隊の96陸攻19機は水平爆撃を任じていた。本作の航空ユニットは8~10機で1ユニットなので、日本側の兵力を雷装した1式陸攻1.5ユニット(0.5ユニットはステップロスした1ユニット)、爆装した96陸攻2ユニットとした。

対空射撃

イメージ 8それでは早速シナリオを開始しよう。セットアップの要領や対空射撃の実施方法については、以前の記事で紹介済みなので省略する。クレース部隊の配置も既に説明した。
日本側の攻撃隊は最有力艦である米重巡「シカゴ」を集中攻撃することにした。

イメージ 2


対空火力を計算する。「シカゴ」自身が4火力の対空火力を有しているので、2倍の"8"。周囲の艦は駆逐艦「ファラガット」を除く全艦が「シカゴ」に隣接しているので、その火力"11"を加えて計19。惜しいかな、"20"火力には届かなかった。

コラムシフトは、日本側の攻撃ユニット数が4なのでL2、雷撃を行う陸攻に対してはR1、水平爆撃を行う陸攻に対してはL2。合計すると雷撃機に対してはL1、水平爆撃機に対してはL4で、雷撃機に対しては12火力のコラム、水平爆撃機に対しては6火力のコラムを使う。連合軍の立場から言えば、脅威度の低い水平爆撃機は無視し、全ての対空火力を雷撃機阻止に回したい所だが、ルールでそのような火力分散は認められていない。この水平爆撃機と雷撃機の対空射撃ルールは、簡単なルールで雷爆同時攻撃の意義を再現できるという意味で気に入っている。

イメージ 6


対空射撃の結果は、ステップロスしていた1式陸攻がさらにステップロスして壊滅したもの、これは投弾後の撃墜とみなすので、雷撃自体は実施した。かくして日本海軍の陸攻隊は、米豪連合艦隊に向けて殺到する。

攻撃

イメージ 9まず雷撃隊。命中率は前回同様8である。8以下が出れば命中だが、出目によっては8以下でも「ハズレ」はある。攻撃力は1ユニットにつき8。ただしステップロスしている場合は半減なので4。「シカゴ」の防御力は4なので、2-1と1-1で各1回攻撃する。

イメージ 3


出目は9,7。本命の2-1攻撃がまさかのハズレ。1-1攻撃は命中して"特殊損傷"の結果を得た。
ここで特殊損傷の解決方法を説明しよう。特殊損傷の解決には特殊損傷表を使う。D10で表に示された結果が艦に与える損害だ。この時、もし貫通力が装甲値を下回っていた場合、その差分が+DRMになる。例えば装甲値22の「大和」に貫通力10の米航空魚雷が命中した場合、特殊損傷表のDRMは+12になる。今回は「シカゴ」の装甲値が4で航空魚雷の貫通力が10なので、貫通力>装甲値となり、DRMは適用しない。なお、特殊損傷に関する解決方法は、爆撃の場合もほぼ同じ。唯一の違いは、爆撃の場合の貫通力が機材と爆撃方法によって異なることである。

ダイスを振った。出目は5であった。結果は"2Hs"。"s"は航空攻撃の場合はあまり関係ないので、2Hを「シカゴ」に適用する。

続いて水平爆撃機による攻撃を行う。中高度水平爆撃の命中率は"5"。5以下で命中する。爆撃力は6なので、オッズは3:2になる。

イメージ 4


ダイスを振った。出目は1,3。両方命中である。しかし出目3はCRTの何もない所だったので外れ。1によって"C"(特殊損傷)の結果を得た。解決方法は雷撃の場合と同じ。また中高度水平爆撃の貫通力は8で、「シカゴ」の装甲値4以上なのでDRMもない。出目は"7"で爆撃の特殊損傷表(雷撃の場合とは異なる表を使う)を見ると1H。「シカゴ」の損害は3Hに達して大破。沈没寸前の状況である。

イメージ 5


陸攻隊の損害は1ステップ(約4.5機)であった。

感想

イメージ 10史実に比べると日本側がかなり上手くやっている。
まず陸攻隊の損害だが、史実の6機(不時着含む)に対し、こちらは4~5機。ほぼ同等といえる。ちなみに後で計算してみると、日本側の平均損害は1.2ステップ。今回は日本側にとってやや出目が良かったと考えるべきだろう。
次に攻撃についてだが、対空砲火によるアボートがないと仮定すると、重巡クラスを攻撃した時、雷撃による平均ヒット数は1.62、水平爆撃は0.8である。合計2.42。普通に攻撃すれば、重巡クラスは中破以上、上手くいけば大破又は沈没になる可能性もある。今回の検証がそうだったように・・・。

史実と比較するとやや陸攻隊の攻撃力が過大な気もするが、さてさてどうしたものか・・・。
「双発機が運動性が鈍いので当てにくい」
とか何とか言って、陸攻の雷撃攻撃力を小さくする手もあるが、あまりに見え透いているので、ちょっとやり難い。

一番無難なのは、対空砲火の威力を少し増やすこと。特に陸攻機の雷撃に対しては、さらに右へ1シフト付ける手もある。もう少し色々な場面をテストしてみて、最終的なレーティングやDRMを決定しよう。

イメージ 11