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鋭意制作中の空母戦ゲーム「決戦、南太平洋1942」。
引き続いて空戦システムを取り入れた空対艦攻撃を試してみる。
テストの題材として選んだのは、これまでも取り上げて来た珊瑚海海戦の一場面。これまでは日本軍による航空攻撃ばかりを取り上げて来たので、今回初めて米軍による攻撃を取り上げてみたい。

選んだのは決戦当日5月8日における米空母艦載機による日本機動部隊攻撃である。史実では、合計73機という日本側を上回る攻撃隊を発進させた米機動部隊であったが、航法の不手際等もあって日本艦隊を襲ったのは計51機に過ぎなかった。彼らは空母「翔鶴」に直撃弾3発を与えたものの、これを仕留めることはできなっかった。

イメージ 7今回は史実とほぼ同じ状況を再現してみることにした。
まず守る日本艦隊の戦力だが、最新鋭空母である「瑞鶴」「翔鶴」を中心とし、重巡4隻、駆逐艦5隻が直衛についている。実際、この時期の日本艦隊はまだ輪形陣の発想が弱く、空母を守る陣形も確立されていなかった。従ってこの海戦でも2隻の空母の周辺には殆ど護衛艦が存在していない状況で、さらに空母2隻も大きく離れていた。このような布陣では、空母同士、あるいは空母と護衛艦艇の相互連携など望むべくもなく、各艦は自艦の対空火力と回避運動だけで自らを守るしかなかった。

今回の実験では、日本側の連携の悪さを再現するルールはない。従って日本側も米艦隊と同様に輪形陣を組んで空母を守ることができるようにした。とはいっても各艦の対空火力は米軍のそれよりも弱体であり、かつ空母を守る護衛艦もやや手薄なのだが・・・・

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日本空母を守る迎撃機は零戦2ユニット(計18機)。「翔鶴」「瑞鶴」から各1中隊だ。

イメージ 8対する米軍は2波に分かれて攻撃する。第1波は「ヨークタウン」から発進した戦爆連合39機で、F4Fx1ユニット、SBDx2.5ユニット、TBDx1ユニットの計4.5ユニットとした。また第2波は「レキシントン」から発進した計21機で、ゲーム上はF4Fx1ユニット、SBDx0.5ユニット、TBDx1ユニットの計2.5ユニットとした。

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それでは攻撃を実施してみよう。波状攻撃の場合、攻撃の解決は波毎に実施される。この場合、まず「ヨークタウン」隊による攻撃を解決した後、「レキシントン」隊による攻撃を解決することになる。では「ヨークタウン」隊による攻撃を解決しよう。

戦闘機によって守られている艦隊は、まず戦闘機による迎撃を試みることができる。
下の表を見て頂きたい。この表が戦闘機による迎撃の成否を判定する表になっている。表の横軸は攻撃側のユニット数(ステップロスしたユニットも1ユニットとしてカウントする)、縦軸はダイス目だ。"S"と書かれている場合は「奇襲」となり、それ以外の場合は戦闘機による迎撃が成功となる。ただしこの判定は1回の攻撃に1度だけ実施するのではなく、攻撃隊の高度域別に個別に実施する。

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具体的な手順に話を進めよう。
航空攻撃が開始される際、まず攻撃側は自軍の攻撃機を低高度、中高度、高高度に秘密裏に配置する。なお急降下爆撃を行う場合は中高度、雷撃を行う場合は低高度に配置しなければならない。合わせて護衛戦闘機も各高度に配分する。
今回、「ヨークタウン」隊は護衛戦闘機1ユニットしかない。従ってより重要度の高い急降下爆撃機に護衛戦闘機をつけて、雷撃機は裸で突入させることにした。なおこの段階では攻撃隊の具体的な配分を日本軍プレイヤーに開示する必要はない。

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イメージ 9次に日本側が奇襲判定と迎撃機の配分を高度別に行う。まず米軍プレイヤーが攻撃隊の規模(ユニット数)を告げる。ここでは「5ユニット」と宣言する。これは先に示した迎撃表で使用できるコラムを決定するためだ。次に日本軍プレイヤーは低空域に対して奇襲判定を行う。ここで奇襲が出れば米軍プレイヤーは低空にいるユニット数を告げる必要はない。しかし奇襲に失敗したら低空域のユニット数(ここでは1ユニット)を告げる必要がある。
日本軍プレイヤーの振ったダイス目は"7"であった。この出目にGCIレベルによる修正が加わる。今まで触れなかったが、このシナリオにおける日本軍のGCIレベルは-2である。従って修正後のダイス目は"5"になる。
迎撃表で出目"5"と攻撃隊ユニット数"5"(あくまでも攻撃隊全体でのユニット数で判定する点に注意)を交差照合すると、結果は"0"となった。これはアラートレベル"0"を意味する。奇襲に失敗したので米軍プレイヤーは低空域のユニット数を"1"とづける。アラートレベル"0"の場合、攻撃側にユニット数と同数まで迎撃戦闘機を割りつけることができる。日本軍は零戦1ユニットを割りつけることにした。

次に中高度について奇襲判定を行う。中高度ではGCIレベル-2に加えて、日本側にまだレーダーがないのでさらに-2の修正が加わる。合計DRM-4となる。日本軍プレイヤーの出目は再び"7"だった。これにDRMを適用して"3"。迎撃表によるとアラートレベル-1となる。米軍プレイヤーは中高度のユニット数を"4"と告げる。アラートレベル-1の場合、攻撃側ユニット数から1ユニット少ない戦闘機を割りつけることができる。従って日本側は3ユニットまでの戦闘機を割りつけることができるのだが、元々2ユニットしか戦闘機がなかった上、1ユニットを低高度に割りつけてしまったため、残りは1ユニットしかない。その虎の子1ユニットを中高度に割りつけた。
最後に高高度だが、ここには米軍は攻撃機がいないし、フェイントをかける意味もないので、奇襲チェックは省略する。

ここでのポイントは低空から順番にチェックする点と中高度以上ならレーダーがない場合に奇襲される危険がより増すようになっていること。従って日本軍としては囮と判っていても低空侵攻してくるTBD雷撃機を無視し難いようになっている点である(雷撃機を無視して急降下爆撃機に奇襲食らったら踏んだり蹴ったりだ)。

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イメージ 10これで迎撃機の割り当ては完了したので、次に空中戦を解決する。
空中戦は高度域別に解決され、どのような順番で解決しても同じなのだが、ここは説明の都合上、中高度から解決しよう。中高度では、零戦1ユニットとF4Fx1ユニット、SBDx2.5ユニットが対峙している。他の空母戦ゲームの例に洩れず、迎撃機は護衛戦闘機を突破しなければ、爆撃機に襲いかかることはできない。また護衛戦闘機1ユニットは最大2ユニットの迎撃戦闘機と渡り合うことができる(かなり不利だが)。従って迎撃側は護衛戦闘機の2倍を超えるユニット数を投入した場合のみ、敵爆撃機を攻撃できる。
こう書くとあたかも護衛戦闘機が無敵のように思えるが、ただしこのルールには裏があり、護衛戦闘機との対決に勝利した迎撃戦闘機はそのまま爆撃機攻撃に加われる。従って迎撃機の方が護衛機よりも少ない場合であっても、迎撃機が精強であれば、護衛スクリーンを突破して爆撃機を襲撃出来る場合がある。先に書いた「2倍の迎撃機を阻止できる」というのも、2倍の敵戦闘機の攻撃に耐えられればという条件つき。逆に2倍の敵によって瞬殺されれば、護衛の意味はなくなる。

具体的な戦闘解決に進もう。まず迎撃機と護衛機が空戦する。この場合、両方がお互いに射撃を行うことで空戦を解決するが、戦闘結果は常に迎撃側が先に適用する。従って迎撃側の射撃で護衛側が瞬殺されると、護衛側は反撃の機会のないまま護衛スクリーンは突破されてしまう。戦闘機同士の空戦は戦力差システムで解決し、攻撃側-防御側でコラムを探して射撃を実施する。また航空機の性能は以下の航空機性能表にまとめられている。

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イメージ 10イメージ 9零戦の空戦力は"7"、F4Fの空戦力は"6"である。零戦がやや有利だが、これはガダルカナル上空での戦歴に基づいて算出したレーティングであり、決して「無敵零戦」を再現するルールではない。今では広く知られているが、ガダルカナル上空での零戦とF4Fの戦いは、キルレシオで言えば互角がややF4Fが有利(対爆撃機の戦果もカウントしての話)であった。しかし逆に言えば、長距離侵攻、敵地上空、爆撃機護衛という不利な条件にも関わらず零戦はF4F相手に互角に近い戦歴を残したということになる。本作でもそのことを考慮し、空戦力自体はやや零戦が有利なレーティングとした。そして史実と同様、侵攻側は迎撃側に比べて不利になるようにルール化することで、史実と同様の結果が再現されることを狙っている。

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(つづく)