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現在鋭意作成中の空母戦ゲーム「海空戦、南太平洋1942」。これまで主に空対空、空対艦戦闘を検証してきた。そこで今回は艦対艦戦闘を検証してみたい。
空母戦での艦対艦戦闘なんてそう頻繁に起こるものではなく(そもそも起こったら逆におかしい)、そう言った意味ではプレイヤーの負荷を増やすだけのルールのようにも思える。しかしゲーマーの中には、
「どうしても砲撃でエンプラを沈めたい」
と思っている御仁がいらっしゃるかもしれない。

またガダルカナル島が戦闘の焦点である以上、飛行場に対する艦砲射撃は当然システム上考慮に入れておく必要がある。その時、両軍の水上部隊同士がガダルカナル沖合で激突するというシチュエーションは、当然ゲームでも有り得る話だ。

システムの紹介

「海空戦、南太平洋1942」で水上戦が発生した場合、戦術マップに場所を移して戦われることになる。

「あれ、戦術マップは使わないという方針だったのでは?」

と誤解する御仁もいらっしゃるかもしれない。しかし戦術マップを使わないことにしたのは、あくまでも空対艦戦闘場面についてだけである。艦対艦戦闘については、未だに戦術マップを使うつもりだ。逆に言えば、戦術マップの存在価値は、今や水上戦闘解決の為だけになってしまったということ。もし戦術マップを使わずに上手く水上戦闘を解決できるシステムを編み出せるのなら、いよいよ戦術マップの不要なゲームになるかもしれない。

さてその水上戦システムだが、これは拙作「ソロモン夜襲戦」を簡略化したようなシステムを採用している。戦術マップのスケールは、1Hex=4000m、1戦術Turn=15分で、「ソロモン夜襲戦」の約3倍のスケールとなっている。また「ソロモン夜襲戦」の特徴であった指揮ポイントシステムは、ここでは不採用となっており、簡易な指揮統制システムで代用するようになっている。当然ながら損害を紙に記録するようなことも不要だ。

それぞれの戦術Turnは8回のラウンドからなる。各ラウンド開始時に両プレイヤーはダイス(D10)を振り合う。修正後のダイス目が大きい側が主導権を取り、1アクションを実施する。アクションには移動、砲撃、雷撃の3種類があり、1戦術Turnに実施できるアクション数は、移動が2回まで、砲撃が2回まで、雷撃が1回までとなっている。従って1戦術Turnにプレイヤーは最大5アクション実施できる。ただし1戦術Turnが8ラウンドまでしかないので、主導権ダイスの目によっては一方が5アクション実施できるのに対し、もう一方が3アクションしか実施できない場合もある。

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ちなみに最初は8アクションではなく9アクションで試してみたが、指揮能力の差が出にくいという問題があり、よりハッキリと差を出すために8アクションにした。

イメージ 2移動を選んだ場合、全ユニットが移動チットに書かれたヘクス数だけ移動できる。移動力と速力は対応づけられており、例えば速力4の艦船はそれぞれの移動チットで2ヘクスずつ移動できるが、速力3の艦船は一方の移動チットで2ヘクス、もう一方の移動チットで1ヘクスしか動けない。この移動力と速力の関係は移動チットに記載されているので、一々記録したり、覚えておく必要はない。また旋回については、1回の移動で2回まで実施できる。ただし特定ヘクスで2回以上の旋回は禁止されている。

砲撃は基本的に航空爆撃と同じだ。砲撃力と防御力の比率を求め、彼我の距離によって決まる基本命中率に修正を行い、D10で基本命中率以下の目が出たらCRTに記載されている戦闘結果を目標に適用する。注意すべき点は、彼我の距離によって貫通力が変化するということ。このあたりは「ソロモン夜襲戦」の流れを汲んでいる。
「ソロモン夜襲戦」のCPに相当するものとして、本作では、「射撃可能グループ数」という概念を採用している。グループとは同一ヘクスで同一方向を向いている艦船の集団のこと。1ヘクスのスタック制限が4ユニットまで(ただし戦艦クラスは2隻、駆逐艦クラスは0.5隻扱い)となっているので、基本的には4隻単位でグループが編成されることになる。余談だが、日本の軽巡は駆逐艦と同じく0.5隻扱いとした。これで何かとお荷物な日本軽巡が少しは働き場所を得たと思う。当初はアトランタ級も0.5隻扱いにしようかと思ったこともあったが、これをやると米艦隊の対空砲火が凶悪になり過ぎるので、止めた。

話を戻す。
「射撃可能グループ数」とは、砲撃アクション1回につき射撃を実施できるグループ数をダイスで決定するというもの。普通は1~4グループという結果になるが、練度が低いとか、陣形が対空陣形のままだとか、任務の縛りがある(輸送任務とか対地砲撃任務とか)場合、0グループになってしまうこともある。この修正が厳しいので、
「ダイス勝負の糞ゲーだ」
と罵られる危険があるものの、まあ取りあえずやってみましょう。

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雷撃戦も砲撃戦と同じ。ただし当然ながら距離による威力修正はない。

第1次ソロモン海戦

イメージ 9という訳で、実際に水上戦を試してみよう。選んだのは第1次ソロモン海戦。史実では日本海軍お家芸の夜戦が炸裂し、米水上部隊が大損害を被ったという日本海軍ファンが泣いて喜ぶシチュエーションだ。今回のテストでは、兵力は史実通りとするものの、結果については必ずしも史実に拘らない方針とした。勿論日本側が負けちゃうのも拙いけど、日本側が史実並みに大勝ちしなくても良し。つまり結果が日本軍にとって「引き分け以上、史実以下」だったら概ねOKとする。練度修正は日本軍+2、連合軍0。さらに米軍は空襲を警戒して対空陣形を敷いていたという設定、さらに任務は水上打撃任務ではなく船団護衛陣形にする。主導権ダイスは日本側が+5で有利となる。まさに圧倒的だ。

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セットアップについては検討中だが、夜戦の場合はお互いに中心ヘクスから1ヘクスずつ離れたヘクスから開始とし、昼戦の場合は艦隊に含まれる艦のサイズに応じて中心から2~4ヘクスずつ離れたヘクスから開始としよう。

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第1戦術Turn

イメージ 8第1ラランドは順当に日本軍が主導権を取った。移動により2ヘクス前進し、敵の頭を押さえる。砲撃、雷撃の両方に適した布陣だ。
第2ラウンド。再び主導権を取った日本軍は隣接ヘクスから魚雷を発射する。雷撃を実施できたのは前半分の第1グループのみ。米重巡「シカゴ」と豪重巡「キャンベラ」を狙う。ベストポジションからの雷撃。8以下で命中だ。5:2の比率で出目はいずれも"6"。結果は"Hs"。「シカゴ」と「キャンベラ」はいずれも1打撃ずつ被る。さらに"s"の結果を食らったので回復するまでは砲雷撃を実施できない。
第3ラウンド。またもや主導権を握ったのは日本軍。射撃可能グループ決定のダイスを振ると、出目は"5"。練度修正によって出目が"7"に変更となり、2グループが射撃可能となった。「鳥海」と「青葉」の射撃が「キャンベラ」に命中。急所を抜かれた「キャンベラ」が轟沈する。他に「天龍」「夕凪」の砲撃を受けた駆逐艦「バークレー」が中破した。
第4ラウンド。またもや主導権を握ったのは日本側である。「鳥海」「青葉」は目標を重巡「シカゴ」に切り替える。1弾命中で累加損害によって「シカゴ」は中破する。他に「夕張」「夕凪」の射撃が米駆逐艦「パターソン」に2打撃を与えて撃沈した。

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第5ラウンド。今回も日本軍が主導権を握ったので移動を選択し、敵からの離隔を図る。
この段階で日本軍は全てのアクションを使い切ったので、残り3ラウンドは連合軍が連続3ラウンドプレイする。移動により敵の艦尾方向に移動。その後2ラウンドの砲撃を行う。「ヴィンセンス」「クインシー」の砲撃を受けて「古鷹」が大破。「アストリア」の砲撃は「夕張」に命中してこれを中破する。しかし第2ラウンドは射撃グループ数判定のダイス目が悪かったので、砲撃を実施できなかった。

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