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日本の軍歌、国民的音楽の歴史

辻田真佐憲 幻冬舎

辻田氏はミリタリーものの作者としては若い部類に入る。1984年生まれなので、現時点で30代前半ということになる。ミリタリーものといっても、氏の場合は専ら軍歌が調査対象の全てであるようだが・・・。
本書は明治期から大正、昭和期にかけて、日本における軍歌の発展と変遷、そして衰退から滅亡までを描いている。本書の中で、筆者は軍歌と現在で言う所の「エンタメ」(エンターテイメント=娯楽)として捉え、政府、企業、国民の利害が一致した結果としての存在としている。そこには、所謂「軍歌=軍部の押しつけ」といったイメージとは異なる軍歌の姿が見えてくる。そういえば、戦争映画によく見る登場人物達が軍歌を口ずさんでいる風景は、まさに「軍歌=エンタメ」という筆者の主張を裏付けるかのようにも思える。
戦前における文化史の1つとして読んでみても面白い作品だ。

お奨め度★★★