鋭意作成中の空母戦ゲーム「海空戦、南太平洋1942」(以下、本ゲーム)だが、初めて本格的なシナリオにチャレンジしてみた。
テーマは珊瑚海海戦。言わずと知れた史上初の空母対空母の戦いである。

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空母「レキシントン」撃破

イメージ 6イメージ 7距離7ヘクス(210海里)まで近づいた日本機動部隊に対して米機動部隊が反撃の矢を放った。SBD艦爆18機。奇襲狙いの小規模攻撃隊だ。この攻撃隊は零戦の迎撃によって半数を失なったが、残りが果敢に急降下爆撃を敢行し、軽空母「祥鳳」に直撃弾2を与えた。「祥鳳」は艦上で待機していた零戦の誘爆も誘って大破し、その航空運用能力を完全に失った。

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第2波攻撃隊はやはり艦爆18機。今度も零戦の迎撃によって半数の艦爆が撃墜されてしまう。残り半数は「瑞鶴」を狙って必死の急降下爆撃を敢行したが、「瑞鶴」はギリギリの所で被弾を免れた。

イメージ 5さあ反撃だ。索敵機によって米機動部隊の位置を確認した日本機動部隊は、僅かに残った空母「瑞鶴」から攻撃隊を編成する。その数は零戦1中隊、艦爆1中隊に過ぎなかった。しかし彼らは向かってくるグラマンの迎撃を突破。対空砲火もものともせず敵艦に殺到する。「レキシントン」に爆弾1発が命中し、同艦は中破した。しかしまだ沈没の気配はない。

夕方になった。米軍は空母決戦を諦め、生き残った空母「レキシントン」に駆逐艦2隻の護衛をつけて盤外へ離脱させる。残った決戦兵力は水上部隊のみ。重巡5隻、軽巡1隻、駆逐艦4隻からなるクレース少将の重巡部隊は、空母部隊と離れて高速でポートモレスピーへ向かった。

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5月9日

イメージ 8高木少将麾下の艦砲射撃部隊(重巡4、駆逐艦3)が未明にポートモレスピー近海に接近し、艦砲射撃を実施した。しかし夜明け前の砲撃なので効果は薄い。発進準備中だったP-39数機が撃破されたが、滑走路の被害は軽微で、夜明けとともに修理されてしまう。

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ヘンダーソン飛行場に対する「金剛」「榛名」の艦砲射撃が有名なので、本邦では水上艦艇による飛行場に対する艦砲射撃能力を過大評価する向きがあるが、実際の所、陸地の飛行場に対して艦砲射撃を実施しても、その効果はたかが知れている。例えば観測用の航空機なしの場合、着弾観測できない対地射撃で地上に対して有効弾を期待するのは「まぐれ当たり」しかない。観測用の航空機を飛ばせる場合は少しマシになるが、敵飛行場上空に低速の着弾観測機を飛ばすのは自殺行為に近い。夜間ならもっと条件は悪く、艦上観測での目標照準は絶望的になる。
ヘンダーソン基地の事例は、日本側の地上観測者が飛行場付近で着弾観測を実施するという特殊な条件があったために効果を発揮したが、それにしても事前の調整を必要とした作戦であり、即興的に実施した訳ではない。その他、タラワのように狭いサンゴ礁の島なら艦上観測による対地射撃も効果を期待できるが、ポートモレスピーのセブンマイル飛行場(海岸から7マイル=約10km)のように海岸から離れた場所にある飛行場に対する正確な砲撃が困難なことは容易に想像できよう。さらに敵地付近には機雷の危険もある。
「海空戦、南太平洋1942」では、対地艦砲射撃は選択ルール扱いになっているが、その威力は夜間に重巡1隻で撃ちまくっても陸攻1ユニット(9機)による中高度水平爆撃に及ばないようなレーティングになっている(昼間ならその2倍)。そしてヘンダーソン飛行場に対する砲撃のようなケースは、シナリオ特別ルール扱いとしている。

夜明けとともに両軍の索敵機が敵を求めて飛び立っていく。日本軍の索敵機が報じた報告は以下の通り。

「0826,敵艦隊」

えっ、たったこれだけ?。
実の所、日本索敵機が発見したのはクレース少将の水上部隊であった。その位置は「瑞鶴」から8ヘクス(240海里)で攻撃圏内である。ソロプレイだからマスターである筆者には筒抜けだが、日本軍プレイヤーは疑心暗鬼に囚われるだろう。これは敵の空母なのか?。あるいは囮なのか?。囮だとしたら敵の空母は一体どこに行ったんだ?。戦場を離脱したのか?・・・。こういった疑惑はブラインドサーチ方式空母戦ゲームならではの楽しみだし、興味深い点と言えよう。

ここで日本軍プレイヤーたる私は、索敵隊の第2報を待つことにした。これが致命傷になるかどうかはいずれわかる。

「祥鳳」撃沈

一方、米軍の索敵については、「瑞鶴」を中心とする機動部隊は幸い発見を免れたが、珊瑚海を北に向かって離脱中の軽空母「祥鳳」が発見されることとなった。

「2025、空母を含む2隻」

これが損傷空母であることは報告から見て明らかだが、処分しない手はない。オーストラリア北東部ケアンズ基地からB-17 2個中隊がこれを撃沈すべく飛び立った。

一方日本軍の索敵隊は、先に発見したクレース隊について、より詳しい報告を発してきた。

「敵の兵力は10隻以上」

イメージ 9日本軍はこれを敵の本隊と見て、攻撃隊を発進させた。99艦爆2個中隊。護衛はない。恐らく水上部隊であろう。「瑞鶴」攻撃隊は目標を発見。予想通り水上部隊だ。上空にはケアンズ基地を発進したP-39 1個中隊が警戒していたが、幸いCAPの誘導に失敗したので99艦爆は無傷のままクレース艦隊上空に到達した。
激しい対空砲火が「瑞鶴」艦爆隊を迎え撃つ。数機が火達磨になって撃墜された。それでも艦爆隊は250kg爆弾1発を重巡「ミネアポリス」に命中させた。しかしその一弾は「ミネアポリス」の主装甲板に跳ね返されてしまい、「ミネアポリス」に実質的な損害を与えるには至らなかった。

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イメージ 10ケアンズを発進したB-17 2個中隊は「祥鳳」を発見した。護衛は駆逐艦1隻のみ。B-17は微弱な対空砲火を無視して低高度爆撃を敢行。「祥鳳」に数発の命中弾を与えてこれを撃沈した。

ラバウルを発進した日本の攻撃隊(零戦2個中隊、96陸攻2個中隊)がポートモレスピー上空に到達した。上空警戒にあたっていたCAPのP-39は多勢に無勢なので迎撃は見合わせる。対空砲火で数機の陸攻が撃墜されたが、日本機の爆撃によって発進準備中のP-39とB-26数機が炎上してしまう。

イメージ 11イメージ 12「瑞鶴」からの第2波攻撃は零戦1個中隊と魚雷装備の97艦攻1個中隊だ。P-39の迎撃で零戦数機が撃墜されたが、艦攻隊は無傷で雷撃を敢行する。重巡「アストリア」に魚雷1本が命中。「アストリア」は中破する。クレース部隊は制空権ない状態での水上艦隊の突撃は危険と判断し、針路をケアンズに向けた。

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