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The War at Sea Vol.3-2 "The Offensive"

Stephen Roskill

The War at Seaの最終巻はノルマンディー上陸作戦から沖縄戦、日本本土攻撃といった戦争末期における英海軍の戦いを描く。概要レベルの記述だが、交換戦史並みに詳細な内容なので、資料性は高い。そのような書籍が218円(Kindle版)で入手できることが驚異だ。
圧倒的勝利の感が強い戦争末期の連合国海軍だが、本書を読めば必ずしも「楽勝」ではなかったことが伺える。例えば英国全体における人的資源の枯渇は深刻で、本書によれば戦争後期に旧式戦艦4隻、小型巡洋艦5隻、駆逐艦40隻の乗組員を他の重要なポストに振り向けざるを得なかったという。またドイツ軍の敷設する磁気機雷の脅威も深刻であり、その掃海は殆ど不可能に近い状態だったという。本書を読めば「機雷」という一見地味な兵器が、英本土周辺や北海では最も有効な兵器だったことがわかる。
他にはノルマンディー近海での英独駆逐艦同士の戦い、ドイツの新型潜水艦XXI型の出撃、知らざれる英太平洋艦隊の戦いなど、興味深い記述が多い。
コスパを考えれば、WW2の海戦に興味がある方であれば、万人にお奨めしたい作品である。

お奨め度★★★★★