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Persian Gulf(以下、PG)は、GDW社がThe Third World Warシリーズの第4作目のゲームとして1986年に発表したシミュレーションゲームだ。テーマはペルシャ湾岸地域における米ソの激突である。PGの大きな特徴は「外交ルール」で、米ソ両陣営による中東諸国に対する外交活動を再現する。毎Turn最初の外交フェイズに両プレイヤーは外交カードを1枚ずつプレイし合う。その結果、中東諸国の政治的な動向が変化する。

今回、PGを対人戦でプレイすることになった。下名はWPを担当する。

方針

[@@ 事前のソロプレイ]の結果では、イラン軍は恐るるに足らずという感触を得ていた。従ってイスラム共和国政府は味方にせずともイラン侵攻を強行しても良い。特に対イラン戦の第1Turnには米軍が介入してこない可能性が大なので、航空優勢を獲得できる。イランを電撃的に占領し、少なくともイラン北半分は押さえたい。ただしイラン左派のトゥーデ党とイラン共産党は味方にしておきたいし、ムジャーヒディーンは中立を維持したい。イラクについてはできれば味方にしたいが、多分無理なので、最小限中立を維持するようにしたい。
また対イラク開戦のタイミングは、「南方軍管区の動員」を実施した3Turn後。このタイミングで「侵攻/介入」を発動すると、M6Turnの増援をトルコ戦線に投入できる。逆にこれがないと対トルコ戦線が崩壊する危険がある。
米軍が展開した後は、イラン南部のペルシャ湾岸油田地帯を巡る戦いになるだろう。決戦は第3次世界大戦が始まった後を想定し、第3戦争Turnの増援を得て数的優越により米軍を撃破する。ただし米航空兵力の威力が未知数であり、中でも対地爆撃力"10"を誇るB-52の威力が恐ろしい。

1Turn

イメージ 8外交フェイズ。WPは捨て札で様子を見る。NATOは「中央党政権承認」を実施。その結果、イラク国内の左派勢力であるトゥーデ党はWP側の傘下に入った。

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2Turn

外交フェイズ。WPは「イスラエル批判」を行い、シリア、イラクの機嫌を取る。対するNATOは「イラン陸軍高官への秘密援助」。明らかにイラン国内の右派勢力に狙いを絞ったNATOの外交戦術である。その結果、シリアがWPの傘下に入り、イスラエル、イラン陸軍、イラン中央党がNATOの傘下に入った。「中東の危機」勃発である。

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3Turn

外交フェイズ。WPはすかさず「南方軍管区の動員」を発動。中東への軍事介入に備えて準備に入った。一方のNATOは「サウジ外交」を実施。その結果、ヨルダン、サウジアラビアがNATOの傘下に入った。今、中立のまま残っているのは、イラン共産党、イスラム共和国政府、イラク、ムジャーヒディーン、そしてクルドである。

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4Turn

外交フェイズ。NATOは「イラクへの武器援助」を実施した。NATOはイスラム共和国政府に見切りをつけ、イラクとの関係構築を求めているように見える。しかし外交関係に変化なし。

5Turn

特になし。

6Turn

イメージ 10外交フェイズ。WPは「侵攻/介入」を選択した。その結果、ソ連軍とイラン軍は交戦状態となった。国境線を突破したソ連軍は、イラン領内で侵攻する。イスラム共和国政府は直ちにソ連に対して宣戦を布告。イランは挙国一致でソ連軍を迎え撃つ。ただし一部の例外を除いて・・・。
イラン共産党はソ連軍の侵攻に諸手を挙げて歓迎。同じくツデー党もソ連軍と共にイスラム共和国政府に敵対する。ムジャヒデーンは現時点で中立を維持。米ソいずれかに与することも明らかにしていない。

イメージ 9多数の機械化兵力を持つソ連軍の進撃は目覚ましかった。カスピ海西部の西アジア地区からソ連第76親衛軍、第45軍等が侵攻。カスピ海南部の港湾(Baudar-e- Anzaii H1420)と隣接するラシュト(Rasht H1321)を占領。返す刀でイラン北西部の大都市タブリーズ(TABRIZ H1515)を占領した。

一方、カスピ海東岸から侵攻を開始したソ連第40軍はカスピ海南東部からイランの首都テヘラン(TEHRAN H1024)に侵攻する。第1インパルスにテヘランは陥落。続く第2インパルスにはイラン中部の大都市エスファハーン(ESFAHAN H0226)を包囲した。しかしエスファハーンに対する総攻撃は不首尾な結果に終わり、エスファハーンは何とか持ちこたえている。

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7Turn

外交フェイズ。遅まきながらNATOは「RDF展開」を選択。遅れていた緊急展開軍の中東配備を開始する。しかしRDFの先遣部隊が漸くオマーンに到着しつつあったが、未だ米大統領からイランへの介入許可が下りないので、イラン国内を破竹の勢いで南下するソ連軍に対して打つ手がない。

イメージ 11このTurn、エスファハーンに対する攻撃を途中で切り上げたソ連軍機械化部隊は、一気に南下してペルシャ湾岸の油田地帯に殺到する。油田地帯外郭を守る外堀のようなイラン軍守備隊を撃破した後、ペルシャ湾岸における石油の積み出し港。つまりはバンダル・ホメイニ(Bandar Khomeyni I1922)、アバダン(Abadan J1920)といった港湾群である。前線における兵力不足も関わらず、ソ連軍機械化部隊は油田地帯を守るイラク軍を一掃。油田地帯一帯を制圧下においた。

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8Turn

イメージ 12外交フェイズ。米軍が「侵攻/介入」を決意。イスラム共和国政府の要請を受けた形でイラン戦争に介入することになった。しかしこれに怒ったのが隣国イラク。イラクのサダム・フセイン政権と、ホメイニのイスラム共和国政府は不倶戴天の敵同士。そのためイラク政府はWP側の傘下でこの戦争に介入することを決意した。

イラク領内を通過できるようになったソ連軍は、バンダル・ホメイニ等からイラク領経由で隣国クウェートに進入する。ソ連軍にイラク軍も加わった攻撃によってクウェートの首都アル・クウェート(Al Kuwayt J1619)は陥落。クウェートは早くも戦線から離脱した。

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9Turn

イメージ 13米軍のB-52が戦場に姿を現した。イラク軍3個師団のスタックに爆弾の雨を降り注ぐ。天候が悪天候で爆撃力が半減していたのでイラク軍は壊滅を免れたが、もし全火力で爆撃を受けたら、イラク軍は壊滅していたかもしれない。

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イメージ 14ソ連軍はイラク西方に進出してきたヨルダン軍の虎の子2個師団を包囲した。練度に優るヨルダン軍は奮戦するも、圧倒的兵力を有するソ連軍の包囲攻撃により遇えなく壊滅する。

ヨルダン軍を単独で突出させたのは、NATO側にとってはミスだったと言わざるを得ない。如何に練度に優れるヨルダン軍とはいえ、ゲームシステム上は未開地形での機動力はWP側の方が上なのだから、NATO側としては包囲されないように気を配って機動させるべきであったと思われる。


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