Persian Gulf(以下、PG)は、GDW社がThe Third World Warシリーズの第4作目のゲームとして1986年に発表したシミュレーションゲームだ。テーマはペルシャ湾岸地域における米ソの激突である。PGの大きな特徴は「外交ルール」で、米ソ両陣営による中東諸国に対する外交活動を再現する。毎Turn最初の外交フェイズに両プレイヤーは外交カードを1枚ずつプレイし合う。その結果、中東諸国の政治的な動向が変化する。
今回、PGを対人戦でプレイすることになった。下名はWPを担当する。
前回までの展開-->こちら
10Turn





11Turn
外交フェイズ。両軍とも最後に残った1枚の外交カードを使用する。「総動員」。先のTurn、ソ連軍と米軍が戦場で激突したため、漸くその条件を満たしたのだ。これにより次のTurn、第3次世界大戦が始まる。


12Turn(戦争第1Turn)

ペルシャ湾方面では、ソ連軍の機械化部隊がイラク西部を大きく迂回し、米軍の側面を突くべく機動反撃を実施する。史実における湾岸戦争の際に多国籍軍が通ったルートを逆方向に向かって移動していくような形だ。クウェートを奪回した米軍の最後尾を守っていた米第7軽歩兵師団(3-4-7)をソ連軍を主力とする機械化師団4個以上が攻撃した。比率7-1での攻撃は、残念ながら米軽歩兵師団を壊滅させるには至らなかったが、これに大損害を与えて一時的に使用不能とした。

13Turn(戦争第2Turn)

米軍はシャットゥルアラブ川背後のアバダン(Abadan J1920)を守るイラク軍2個師団に対し、米軍2個師団を主力とする攻撃部隊が猛攻を実施した。2度に渡る攻撃によってイラク軍を完全に撃破することに成功したものの、戦闘結果によって米第9軽自動車化師団(8-9-7)が壊滅した。
軽自動車化師団の壊滅によって戦意を喪失したNATO側は休戦を申し入れ、ここにゲームは終了した。

感想


このゲーム、WPの機動力が非常に効果的である。NATO側のユニット数が足りないので、戦線を構築できない。勢いNATO側は補給源を中心とした集中防御に頼ることになる。そこで敵の側面を容易に突けるWP軍は、実質的に12移動力で2インパルス移動・戦闘できることになる。逆にNATO側は予備移動をほぼ確実に封じられるので、実質的には6移動力で2インパルスだ。史実の湾岸戦争では大機動戦を展開した西側諸国であったが、本作では逆にWPの機動戦に翻弄されることになる。
プレイ時間はセットアップを含めて7~8時間。外交フェイズのみの期間はサクサク進むが(カードを選んで出すだけなので)、戦争が始めるとそれなりに時間を要する。特に第3次世界大戦が始まると、湾岸戦線とトルコ戦線が発生するので、より時間がかかるようになる。
ゲームとしては面白い。外交戦はシナリオの一種として考えるとゲーム展開にバリエーションを与えてくれる。また戦争が始まった後の展開は、「数のWP」「質のNATO」という形で明確に色分けされており、どちらの陣営も十分に楽しめる。PGを対人戦でプレイするのは今回初めてだが、TTWWシリーズの中では単品ゲームとしての面白さは随一といって良いのではないか。
ゲームとしては面白い。外交戦はシナリオの一種として考えるとゲーム展開にバリエーションを与えてくれる。また戦争が始まった後の展開は、「数のWP」「質のNATO」という形で明確に色分けされており、どちらの陣営も十分に楽しめる。PGを対人戦でプレイするのは今回初めてだが、TTWWシリーズの中では単品ゲームとしての面白さは随一といって良いのではないか。
古いゲームなのでコンポーネントには工夫の余地がある。例えば機動クラスは兵科マークではなく移動力のカラーコードで識別するとか、WP軍の所属軍も数値表記ではなくカラーバーにする等で格段にプレイアビリティが向上すると思われる。国際通信社で再販を望みたい作品であるが、何故か国通はGDWに冷淡なので(被害妄想?)、再販は難しいかもしれない。
でも、期待して待ちたい。
