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自作空母戦ゲーム「海空戦、南太平洋1942」(以下、本作)。今回は、6本目の作戦シナリオである南太平洋海戦に挑戦する。実際にプレイを開始する前に、こちらで提唱した「ブレスト的バグ検出法」(勝手に名前をつけてみた)に従って机上でバグを探してみた。すると、意外や意外、バグがどんどん見つかるではないか・・・。

南太平洋海戦シナリオの概要は-->こちらを参照されたい

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「海空戦!南太平洋1942」は自作の空母戦ゲームです。
作品についての詳しくは-->こちらを参照して下さい。
入手方法は-->こちらを参照して下さい。
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前回まで-->第1回 第2回

ブレスト的に考えよう(承前)

さらにブレスト的に考えよう。
イメージ 1米戦艦で日本機の攻撃を吸収するというのはどうだろう?。例えば新戦艦2、防空軽巡4、駆逐艦8でTFを編成。日本機の攻撃を吸収するのだ。敵空母だと思って攻撃してみたら、防空艦隊だった、というのは洒落にならない。例えば対空母攻撃用に編成された日本の攻撃隊は、艦戦3、艦爆3、艦攻2(いずれもユニット数)ぐらいになる。この攻撃隊は先に書いた戦艦部隊を攻撃すると、果たしてどうなるか。
日本機全機が新戦艦に向かったとすると、その対空火力は60火力に達する。コラムシフトの結果、艦攻隊は60%、艦爆隊は50%が撃墜される。平均すると5~6ステップの損害を強いられる。ただし補充で帰ってくる分があるので、実質的な損害は4ステップほどだ。それでも出撃機の40%にも達する大損害だ。
一方、戦果の方は艦攻隊は55%、艦爆隊は70%が対空砲火を突破できる計算になる。攻撃力を艦爆16、艦攻12とすると、米戦艦に対する平均的な戦果は、艦爆隊が0.5打撃、艦攻隊が0.8打撃になる。戦艦に対して1打撃が関の山。戦艦1隻小破と引き換えに正規空母0.5隻分の攻撃力を失う・・・・。
これは不味い。下手をすると「必勝法」になってしまう。
この場合、日本軍としては戦艦攻撃に執着せず、防空軽巡を狙うという方法がある。この場合、米軍の対空火力は50火力にダウンする。1コラムダウンによって艦攻隊は50%、艦爆隊は45%の損害率になる。突破率は艦攻隊が70%、艦爆隊は90%で、防空軽巡に重大な被害を与える事が可能だ。VP的には日本軍が4VP、連合軍は最大7VP失うことになる。これなら何とか許容範囲か・・・。
また日本軍としては戦艦撃沈を狙う手もある。攻撃隊の編制を雷撃機中心とし、艦爆3、艦攻5で攻撃隊を編制し、戦艦のみを狙う。60火力の対空火力を浴びるが、それでも艦攻の70%、艦爆の85%が弾幕を突破して攻撃を敢行できる。雷撃隊の戦果は平均2打撃、艦爆隊は0.5打撃で、新戦艦1隻を中破できる。日本軍の損害は艦爆2~3ステップ、艦攻5ステップが平均で、補充分を加味すると5~6ステップの損害になる。戦艦中破と引き換えに正規空母0.5隻分の攻撃力を失う・・・。VP的には連合軍は5~6VP獲得が期待できるのに対し、日本軍は6~12VPを得られる・・・。
正直なところ、この戦法を思いついた瞬間「ヤバイ」と思った。米軍にしてみれば、かなり楽に勝てる方法になる可能性があったからだ。しかし先にも書いたとおり、VP的には何とか日本側に分がある上、日本側が索敵を慎重に行うことで回避可能である。従って必勝法とはいえない。
ただし、余りに敵艦隊の対空火力が強力な場合に「攻撃したくない」というウィルが攻撃側に起こってくることは十分に予想される。その場合、攻撃中止が可能か否かがルールブックに明記されていなかった。現実的に考えれば、「攻撃せずに引き上げる」はあり得ないと思うので、攻撃は必須であることを明記する。

--> バグ1件見つけた

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さらにブレスト的に考えよう。
イメージ 3潜水艦はどうだろうか。潜水艦による攻撃に徹して空母撃沈を狙う手がある。この戦術については、潜水艦対空母の交換比を考慮する必要がある。
日本潜水艦で米空母を狙うケースを考える。首尾よく日本潜水艦が米空母機動部隊に接敵できたとしよう。米機動部隊のASWスクリーンは駆逐艦6隻程度、護衛対象は空母を含めて6隻と考える。対潜CAPあり、TF速度は3とする。
細かい計算を省いて結果だけを書くと、日本潜水艦(伊19型)が米空母に損害を与える可能性は6.3%、撃沈できる可能性は2.1%だ。一方、ASWスクリーンの反撃によって日本潜水艦は30~60%で撃沈される。VPの期待値は日本軍は1VP、連合軍は1.8~3.6VPだ。空母艦載機の損害も含めるとややビミョーな所だが、必勝法というには弱い気がする。
逆に米潜水艦(Wahoo)が日本空母を狙う場面を考える。シチュエーションは米軍の場合と同じとしよう。細かい計算抜きで結果を書くと、米潜水艦が日本空母(翔鶴型)に損害を与える可能性は6.3%、撃沈できる可能性は2.1%だ。一方、ASWスクリーンの反撃のよって18~36%で米潜水艦は撃沈される。VPの期待値は連合軍約1VP、日本軍のVPは1~2VPだ。こちらも日本潜水艦よりは有利だが、必勝法というには弱過ぎる。

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さらにブレスト的に考えよう。
今までは「味方空母を危険に晒すことなく敵空母を攻撃できるか」という命題を前提に考えてきた。しかしもう少し思考範囲を広げてみよう。要は仕掛けた側が仕掛けられた側よりも確実に多くのVPを獲得でき、その期待値がVPラインを越えていれば必勝法足り得る。
イメージ 5例えばB17による高高度爆撃はどうだろうか。ポートモレスピーに配備されているB17 2ユニットについては、ラバウル攻撃の有力な戦力として期待される。それが昼の日中にラバウルを襲ったらどうなるのか。
B17 2ユニットによる高高度爆撃は、攻撃力が12になる。打撃値の期待値は1.2だ。仮に飛行場に飛行機がいた場合、平均1.2ステップが炎上する。ただし航空補充ポイントの関係で2/3が戻ってくるので、実際には0.4ステップが平均値だ。
対するB17側の損害だが、迎撃戦闘機の話は面倒なので簡単に話すと、零戦とB17が1対1で高高度空戦を戦うと、損害期待値は零戦の方が多い。従って零戦にとって「損な」戦いとなる。
対空砲火については、ラバウルの対空砲火は10火力。その2倍の火力で撃てるから、20火力。ただし高高度爆撃とユニット数で6コラムダウン。結局5火力のコラムになる。このコラムなら"A"の結果はあるが、撃墜はない。かくしてB17によるラバウル攻撃は「無敵」の戦術となった?
しかしここに盲点がある。それは空中戦だ。確かにB17と零戦が高高度で1対1で戦えばB17がキルレシオで優位に立つ。しかし迎撃側が2倍の戦闘機を投入したらどうなるか。キルレシオは逆に零戦が有利となる。しかも敵地上空による空中戦を加味すれば、B17はかなり苦しい。長距離飛行を強いられるB17は、ステップロスしても航空補充ポイントを入手できないが、零戦は撃墜されても2ポイントの航空補充ポイントが得られる。従ってラバウル上空の空中戦は、ステップロスだけを見ればB17が有利なように思えてくるが、敵地上空の不利を考慮に入れれば、B17によるラバウル攻撃は決して「美味しいだけ」の仕事ではない。
ちなみにポートモレスピーには2ユニットしかいないB17が、何故だかガダルカナル方面には4ユニットもある。こちらの方がより脅威度が大きい筈だが、ヘンダーソン基地に対しては日本側が手当て可能なので、必勝法とはならない。
結論として、B17による対基地攻撃は必勝法ではない。

まだまだあるけど

ブレスト的に考えれば、まだまだ裏技は出てくるかもしれない。しかしひとまずこの辺りで考察をいったん打ち切ろう。そろそろシナリオのテストに移って行きたい。

それにしてもこの「ブレスト的バグ検出法」は予想以上に効果的なことがわかった。3時間程の1人ブレストでバグが3件も見つかったのだから。他のシナリオでもこの方法で再度検討してみたい。