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丁字戦法の理論と実際-日本海海戦詳細研究1

出光英哉 ブックコム

在野の研究家が入手可能な史資料を駆使して調べ上げた日本海海戦研究本。本書の記述内容は衝撃的である。曰く、日本海海海戦で丁字戦法は殆ど効果がなかった。曰く、東郷ターンは丁字戦法の前段ではなかった。曰く、日本海海戦における秋山真之の影響力は殆どなかった。曰く、連合艦隊戦闘報告附図に記載されている航跡図は実際とは異なる等々。筆者は数々の史資料を駆使しながらこれらの論理を導いていく。そのプロセスは圧倒的な説得力があり、類書の追随を許さない。
本書に記載されていることは、これまで語られてきた「日本海海戦の常識」に対する挑戦であり、衝撃的な内容といえる。従って今すぐ本書の内容が定説化することはないかもしれない。しかし本書の記述が正しいか間違っているかではなく、歴史のダイナミズムを見るのは楽しいし、今後「日本海海戦」についてより一層研究が進むことを期待したい。
日露戦争や日本海海戦に興味がある方であれば必読の著作である。

お奨め度★★★★★