平ヶ岳。標高2141mの山塊で、日本百名山の1つである。日本百名山の中でも最も難易度の高い山と言われているが、その理由は登山口からのアプローチが長いこと(コースタイム約13時間)。しかも山小屋・避難小屋の類はなく、山中でのテント泊も禁止されていることである。そんな平ヶ岳に登ってみた。
新潟県魚沼市大湯温泉の温泉宿から出発したのは早朝の3:45。シルバーラインと呼ばれるトンネルコースを抜けて銀山平に出て、そこからは国道352号線を鷹ノ巣登山口に向かう。大湯温泉からの距離は50km弱、所要時間1時間強で鷹ノ巣の登山口に到着する。登山口で準備を整えて出発したのは0520頃。コースタイム13時間の長丁場の始まりである。
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最初は緩やかな林道歩き。水場を過ぎて少し歩くと、いよいよ本格的な登山になる。少し歩いて痩せ尾根の稜線歩きになる。少し歩いて見晴らしの良い所で最初の休憩を取った。時計を見ると0550頃。約30分歩いて来たことになる。ここで重大なミスに気付いた。今回の山旅では約2リットルの水分を用意していたのだが、その半分を車に置き忘れてきたのだ。今回用意した水分は、冷えたお茶500ml、凍らせたアクエリアス500ml、予備の水が1000mlであるが、予備の水以外を車に置いてきてしまった。水が少ないのは今回のような長時間歩行では致命傷になりかねない。1リットルの水だけだと頂上まで行って戻ってくると足りない可能性がある。水場で補充する手もあるが、水場がないと辛いことになる。まあ雨が多かったので水場が枯れていることはないと思うが・・・。

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少し迷ったが、車に戻ってお茶とアクエリアスを収容すると1時間ほどのロスタイム。今日のような長丁場では1時間のロスは痛い。また体力面でも辛い。水場での補給に期待してこのまま前進することにした。
最初から痩せ尾根のキツイ登りが続く。ロープを使わないと辛いような登りもある。途中で木々が茂っているコンモリした丘がある。そこで草叢からガサガサって音がすると「蛇か?」と思ってビビッてしまう。ガサガサの主を詳しく調べたら蛇が見つかったかもしれない。が、コワイからそちらはできるだけ見ないようにした。
「蛇の巣」と勝手に名付けた丘を越えると再びキツイ登りが始まる。振り返ると今まで登ってきた稜線が見えてくる。良くここまで登ってきたもんだ、満足感に浸る。

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キツイ稜線歩きを超えて西台倉山山頂に着いたのは0732であった。登り始めてから約2時間である。南の方角には尾瀬を代表する山である燧ケ岳が見えている。急坂はここまで。ここから先は緩やかなアップダウンが続いている。次のチェックポイントである台倉山には0829に到着。ここまでのコースタイム3:50に対し、私の所要時間は3:09であった。比較的良いペースだ。遥か彼方に平ヶ岳が見えているが、まだまだ遠い。

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ここから少し下って台倉清水の水場に出る。ここに道標が立ってあり、平ヶ岳までの距離が4.9kmとあった。ちなみに登山口までは5.6kmとあったので、距離的には半分は過ぎたことになる。ここから次のチェックポイントである白沢清水までは林の中を歩く。途中で何か所も木が倒れていて行く手を塞いでいる。単調な山歩きに飽きてきたので、歩数を数えながら歩くことにした。これによって少しペースアップできた。

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白沢清水からは池ノ岳に向けた登りになる。ここも結構距離がある上、標高差もあるのでキツイ登りが続く。途中で1回やや大きめの休憩して、それから池ノ岳山頂の姫池に着いたのは1049であった。登山口からの所要時間は5.5時間、コースタイムは6.5時間なので約1時間早い。小雨が降ってきたが、水に不安がある状況下では炎天下よりもむしろ有り難い。この日姫池からは木道が平ヶ岳まで続いている。コースタイムによれば所要時間40分だ。しかも嬉しいことに姫池近くに綺麗な水場があるらしい。丁度飲み水が切れかかっているので水を補充できる。

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木道を歩くこと30分。平ヶ岳山頂に着いたのが1118であった。登山口からの所要時間は丁度6時間。コースタイム7:10なので、1時間以上短い。平ヶ岳の山頂は三角点があるだけで、あっけない程アッサリしていた。
山頂付近の高層湿原を堪能する。ホテルでもらってきたおにぎり2個を取り出して食べる。が、食欲がないので1個だけ食べて残りはザックに戻す。

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名残惜しいが平ヶ岳山頂を後にしたのが1135。姫池に戻る途中、水場に立ち寄って飲料水を補給する。冷たい山の水が美味しい。これで飲料水の不安がなくなったことも大きかった。
姫池に戻ったのが1205。少し休憩して下山開始。急な斜面を降りて木々の間に入ると、そこからはアップダウンの少ない林道歩きになる。退屈しないように歩数を数えながら歩く。白沢清水で休憩している時にチクりと痛みを感じたので、どうやら蜂に刺されたらしい。

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台倉山に戻ってきたのが1345頃。ここでほぼ中間点だ。
台倉山から下台倉山までは緩やかな下り。1時間弱で下台倉山に到着する。下台倉山を出発したのが1437。ここからが最後の下りになる。痩せ尾根を慎重に降りていくが、足が疲れているので踏ん張りが効かない。とにかく滑落だけはしないように慎重に降りていく。それにしても登山の最後の最後にこんな急な下りを用意するなんて、平ヶ岳はなんて嫌味な山なんだろう。

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1時間以上かけて下り道を降り、お茶を忘れたことに気づいた場所を通過すると急な下りも終わりである。林道に出てしばらく歩くと、朝見た水場があった。丁度飲料水が無くなっていたので、ここで補充。再び山の水の旨さを堪能する。駐車場に戻ってきたのは1618。往復の所要時間は約11時間。下りは4:45であった。ちなみに下りのコースタイムは5:45である。
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平ヶ岳登山の感想だが、予想通り厳しい山であった。単に所要時間が長いということもあるが、最初と最後に通過する痩せ尾根もかなり厳しい。注意して歩けば特に危険はないのだが、疲れた足で滑落の危険がある個所を通過するのは辛い所もある。百名山の1つだから足を踏み入れたが、そうでなければ登る機会のない山であったと思う。
これで私の百名山制覇は98箇所目。残り2ヵ所。いよいよゴールが見えてきた。