もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2006年01月

昨日から携帯電話を充電しないで使っていた。
昨日はバッテリー表示が3個中1個にまで減ってしまった。
「これはまずい」
と思って昨日の午後から携帯を殆ど使わないようにした。
そうすると今晩になってバッテリー表示が3個中3個に戻っていた。
充電した訳でもないのになぜだろ?。
(まあ、どうでもいい話です)

ATS BG2、このルールが良く分からない

 Jコマンド#66の付録ゲームATS BASIC GAME 2(以下、BG2)」をプレイしました。ルールを読んでいたり、プレイしたりして生じた疑問を適当に書き連ねたいと思います。
「それは違う」とか
「その解釈は明らかに間違っている」とかいったご意見があれば、お寄せ下さい。
(あくまでも礼儀を守った範囲でね。無礼なコメントはお断りだよお・・・)

1.困ったルールたち

12.5.11.1 致命的命中
「AP弾を使用した攻撃では"00"を出すと致命的命中となる」とのこと。
(1) こういったルールは忘れやすい(チャートに書くとかして欲しい)
(2) AP弾のみということだが、APCR等では発生しないのか?。(多分するんだろうな)

12.10.1.1 迫撃砲に対するAFVの装甲
「AFVのUHかTRのAFが4以上ならば、F2表で1Lシフト」って、
これは多分忘れるな・・・。

12.11.6.21 AFVのTRに対する損害
「AFVが蹂躙によって重火器を破壊した場合、D10で"1"ならM-Killとなる」
これは多分忘れるな・・・。

12.12.6.1
車両に対する白兵戦の最後に「e)生き残ったユニット間でGF基準とした白兵戦を解決する」とあるが、これってどういうこと?。だって敵兵員のいるヘクスでは車両に対する白兵戦はできないんでしょ?。

2.やや不明確な項目

 以下にプレイを進める上でやや不明確だった項目をいくつかピックアップしました。Qがその内容、Aが私なりの解釈です。これは国際通信社オフィシャルの解釈ではなく、あくまでも私なりに判断した結果であることをお断りしておきます。

火器の操作班

 Q 個々の操作班ユニットは、すべての中火器や重火器を何のペナルティもなく使用することができるのか?。すなわちその火器がたとえ自分が最初から持っていたものは全然違っていても、何のペナルティもなく使用することができるのか?。
 A 特に何も書かれていないので可。

火器の携帯

 Q 軽火器や中火器は、歩兵ユニットに携行されている場合、常に所有者を明確にしておかなければならないのか?。例えばあるヘクスに軽火器が落ちていて、歩兵がそのヘクスに侵入しても、ルール11.3.3に従って火器を「拾う」ことをしない限りその火器は使用できないのか?。
 A 多分上記の通りだと思う。

浸透移動

 Q 浸透移動で敵の存在しないヘクスに移動することは可能か?。
 A BG2のルールブックに明確な記述はないが、親ゲームの「アドバンスド・トブルク」(以下、ATS)のルールブックに「敵ユニットが存在しないヘクスに対しても浸透移動可」と明記されているので、そのように解釈してプレイしている。

 注 どうしてこのような疑問を持ったかと言うと、CMJ#66のリプレイを読む限り、白兵戦以外の目的で浸透移動を使っている形跡がないのです。ルールブックを読んでみてもどちらとも取れる書き方をしています。もし浸透移動を自由にすると、と少し変なことになるのですね。つまり攻撃側は浸透移動を利用するコトによって敵からの機会射撃を全く浴びることなく火点を確保することができます。そして次のターンに先攻を取れれば敵に先んじて射撃できます。
「それがどうしたの?。それでもいいじゃん」
という解釈も可能ですが、どうも私的にはしっくり来ません。

小火器による重火器に対する攻撃

 Q 小火器で歩兵と重火器が混在するヘクスを射撃する場合、結果はどのように適用するのか?。例えば"C1"という結果を得た場合、この"C1"を歩兵と重火器にそれぞれ分配するのか?。
 A ルール12.5.7.41を読む限りは「分配される」とある。しかしその一方でルール12.5.1(f)に
「重火器の操作員は、通常通り攻撃を受ける。重火器の操作員ということでは、小火器の攻撃に対していかなる罰則も恩恵も受けません」
と書かれている。どちらを重視するかという話だが、私はルール全体の整合性を考えると、ルール12.5.1(f)項の解釈を優先すべきであると考える。すなわち"C1"という結果は、操作員を含めたすべての兵員ユニットに対してまとめて適用すると考える。

小火器による重火器に対する攻撃

 Q 小火器の攻撃を受けた重火器はどのようにして損害を判定するのか?。
 A BG2のルールブックには「適切なC表を使って損害を判定する」(ルール12.5.7.41)とある。しかしBG2のC表(C1~C4)のいずれにも「小火器による重火器に対する攻撃」を解決する表はない。仕方がないのでATSのルールを見ると、「小火器の攻撃で"C8"以上の結果を得ると、目標の重火器はF-Kill状態になる。」となっている。従ってここでもそのルールを適用する。

火砲による重火器に対する攻撃

 Q 火砲(直射火器)で重火器を攻撃する方法は?。
 A 車両目標と同様に命中判定を行う。命中弾を得たらルール12.9.2に従って損害判定を行う。もし火砲が破壊されたら、同火砲の操作班もHE弾による攻撃を受ける。
 注 上記の解釈で疑問なのは、AP弾で攻撃した場合とHE弾で攻撃した場合で損害判定方法に違いがないこと。BG2ではAP弾しか撃てない戦車は登場しないのでルールを簡略化しただけだと思うが・・・。ATSのルールを使えば問題は解消するのかな?。

火砲による重火器に対する攻撃

 Q 重火器と歩兵が混在するヘクスに対して火砲(直射火器)で攻撃する場合、目標を重火器にするか、それとも歩兵群にするか区別しなければならないのか?。
 A 多分Yes。歩兵を目標にする場合は重火器は損害を受けない。ただし重火器の操作班は損害の適用対象となる

以下、次号

イメージ 1

(写真)ATS BG2シナリオ:シナリオ1「パブロフの家」の1場面

ATS Basic Game 2 シナリオ1「パブロフの家」


ATS Basic Game2(以下BG2)のシナリオをようやくプレイする機会を得ました。シナリオは#1「パブロフの家」。およそ1個中隊相当の独ソ歩兵部隊同士が戦う市街戦です。

セットアップ

赤軍

先に配置するのはソ連軍。基本的にはCMJのリプレイ記事にあるように南側の建物に兵力を集中し、北側は足止め部隊を配置します。
北側建造物
任務:独軍に対する遅延行動
兵力:指揮官x1,2-3-8操作班x3,支援火器
南側建造物
任務:建造物の死守
兵力:指揮官x1,政治委員x1,6-4-8歩兵x2,2-3-8操作班x5,45mm対戦車砲,82mm迫撃砲x2,支援火器

独軍

以下の通り北方と南方に部隊を2分することにします。
A.北方部隊
任務:北部重要拠点群の奪取
兵力:4号戦車x2,指揮官x2,6-5-6歩兵x6,支援火器

B.南方部隊
任務:南部重要拠点群に対する射撃火点の確保
兵力:4号戦車x2,指揮官x1,6-5-6歩兵x4,2-3-8操作班x1,支援火器

ここで少し困ったことが・・・。CMJの記事には、赤軍の2-3-8操作員が10駒描かれているのですが、シナリオシートのセットアップを見る限り赤軍2-3-8操作員はどう考えても9駒にしかならないのです。

 ・シナリオシートに書かれた4枚
 ・中/重火器に付属する操作員5枚(45mm対戦車砲x1,中機関銃x2、82mm迫撃砲x2)

だよなあ・・・。どこかルールを見落としたのかな?。

第1ターン

射撃&移動セグメント。独軍戦車2台が前進。それに対して赤軍82mm迫撃砲が機会射撃を行うも外れ。本来、迫撃砲のような曲射兵器は装甲車両にとっては脅威とならないはずだが、このゲームでは違う。一度命中したら迫撃砲といえでもかなりの確率で戦車を傷モノにすることができる。
前進してきた独軍戦車は距離100ヤードから突撃射撃を敢行。"1"のみ命中という厳しい条件にも関わらず主砲弾は見事に目標を捉えた。"C3"の損害を与えて機関銃陣地は一瞬で粉砕された。
独軍北方部隊が前進を開始する。突撃移動により赤軍陣地に面した建物へ侵入してきた独軍歩兵小隊に対して赤軍軽機関銃が火を噴く。損害は"C1"。比較的軽微ではあったが、6-5-6歩兵1個がモラル崩壊を起こしてしまう。しかし残った独軍部隊は突撃射撃を敢行。拠点に陣取る赤軍ATRチームを一撃でミンチにした。
南方では独軍部隊はじりじりと前進する。一気に赤軍前面に躍り出るのは敵の守備兵力の大きさを考えると危険である。火点予定地の1ヘクス手前まで前進し、浸透移動で火点を構築するのが得策だろう。
近接突撃セグメント。独軍部隊は浸透移動を利用して火点を構築し、道路を挟んで赤軍と対峙する。赤軍は先ほどの戦闘で壊滅した対戦車ライフルチームの穴埋めとして、別の対戦車ライフルチームを北側の建物に派遣し独軍戦車を狙う。

第2ターン

射撃&移動セグメント。先攻は赤軍。1-1-8指揮官率いる26火力の大火力チームを構成し、独軍歩兵小隊のスタックを狙う。しかし結果は"C1"と奮わず、独軍6-5-6分隊1個が軽傷、1個が士気阻喪した。
赤軍82mm迫撃砲が4号戦車を攻撃。命中。移動不能。根性なしの戦車兵共はあたふたと脱出していった。
独軍南方部隊が30火力の大火力チームを構成して「愛国者の巣」(政治委員に率いられた陣地)に十字砲火を浴びせる。赤軍操作班壊滅。6-5-8歩兵分隊も半壊した。
近接突撃セグメント。先攻は赤軍。匍匐前進で前進してきた独軍歩兵1個小隊が、北側建物に篭る赤軍操作班に対して白兵戦を敢行する。独軍3個分隊中2個分隊が士気チェックに失敗するという苦しい状況であったが、残った1個分隊が赤軍操作班を排除し、北側建物の一角を独軍が占領した。

第3ターン

射撃&移動セグメント。先攻は赤軍。82mm迫撃砲が北側建造物に篭る独軍歩兵小隊を射撃。命中弾を与えたが損害は軽微。
独軍は南側建物群で1-1-8指揮官に率いられた36火力の射撃チームを編成。ヘクスG14を攻撃。"C7"の結果を出し、1-1-8指揮官、操作班2個を瞬時に消滅させた。さらにROFを利用した2次攻撃で6-5-8歩兵分隊を壊滅させて、南部建築物の赤軍部隊はほぼ壊滅した。
近接突撃セグメント。独軍歩兵1個小隊が赤軍2-3-8操作班に対して白兵戦を挑む。しかしなんたることか。3個歩兵分隊がすべて士気チェックに失敗。独軍歩兵1個小隊が丸々壊滅した。CMJの解説記事に「白兵戦はリスキーである」と書かれてあったが、まさにそのようになってしまった。

第4ターン

射撃&移動セグメント。南部建造物では独軍の十字砲火が再び炸裂。6-5-8歩兵分隊、2-3-8操作班が次々に壊滅。政治委員も戦死。残ったのは残り1ステップになった歩兵分隊1個だけだった。
近接突撃セグメント。独軍歩兵1個小隊が南部建造物に突入。建物の一角を占領した。

第5ターン

大勢はほぼ決した感がある。赤軍で抵抗を続けるのはわずかな歩兵部隊のみ。対する独軍は3個歩兵小隊がほぼ健在。戦車も1台残っている。射撃&移動セグメントで独軍は残った赤軍部隊に打撃を与える。そして近接突撃セグメントに南部建造物に残っていた最後の赤軍歩兵を殲滅。ここに南部建造物を完全制圧を実現した。

第6ターン

北側建造物に残った最後の赤軍操作班を機銃掃射で殲滅し、無人になった北側建造物を独軍が占領。勝利条件を満たした独軍勝利でシナリオ終了。

まとめ

 シナリオ自体はシンプルです。ユニット数も少なくマップも狭いので、慣れれば2時間ほどでプレイできると思います。
 1回プレイしただけで断言するのは危険ですが、私の感触では独軍有利だと思います。理由は単純に兵力差で、歩兵分隊数が独10:赤2と隔絶しています。赤軍には豊富な支援火器があり、火力面ではかなり優遇されていますが、主力が2ステップの操作班なので撃たれた場合の耐久力に弱点があります。
 確かに赤軍の配置にも問題があったのでしょう。迫撃砲や対戦車砲といった強力な火器の使い方にも改善の余地があるようにも思います。それにしてもこの兵力差では独軍有利は動かないように思うのですが、いかがでしょうか?。

 ルール概要は「スコードリーダー」(SL)に似ています。しかし実際のゲームの雰囲気はSLとは随分異なります。例えば射撃戦。SLの場合、射撃の解決はヘクス単位で行われ、損害は全滅又は全ユニットの士気チェックという形で与えられます。従ってSLで「スタックの山」を築くという行為は、敵からの射撃で1スタック丸々壊滅する可能性ある、ということでリスクの大きい行為です。しかしBG2は違います。BG2では、損害は兵員ユニットのステップロスという方法で適用されるため、「沢山集まったら一撃で全滅」という危険性は大幅に軽減されています。さらに友軍が密集していると士気チェックで有利な修正が得られます。これらの理由によりBG2では、SLよりも密集隊形が多用される傾向があるように思います。
 別に書くつもりですが、このBG2はルールの不明点が多いです。実際プレイしていても「あれっ、このルールどうなっているんだっけ?」という時にルールブックを頻繁にひっくり返さなければならない機会がとても多いのです。基本システムはそれほど難しいものではないのですが、細かいルールが多いので一々確認しながらプレイしなければなりません。もちろん最初はそれもある程度は仕方がないです。しかしルールブックをひっくり返した挙句、結局該当ルールが見つからなかった(何件かそういったルールもあります)という場合が悲しいですね。その場合、仕方がないから親ゲーム「アドバンスド・トブルク」(ATS)のルールブックから該当する箇所を引っ張り出して来る事になります。

 褒めるべき点は、意外とプレイがスムーズに流れることです。両軍同時移動なのでターンの進攻が早いです。今の私程度の技量ならルールブックを毎回毎回ひっくり返しながらの作業なのでなかなかペースが上がりませんが、慣れたプレイヤー同士ならサクサクとプレイを進めることが可能であると思います。

 現時点でのこのBG2に対する評価ですが、

「見るべき点はないわけではないが、全般的には荒削りの感が強く完成度は今ひとつである」

と感じました。
 ただATSに対する「導入部」としての役割は、BG2がATSと比較してルール量が少ないこともあって、それなりに果たしているかと思います。しかし、本命のATS自体、例えば電脳ゲーム"Steel Panther"に比べると、プレイアビリティ、ディテールの両面で優れた点は見当たらず、全体的な評価も劣っていると思います。もちろんもう少しこのゲーム(BG2及びATS)に慣れてきたら現在の評価も変わるかもしれません。
 いずれにしてもATSシリーズがかなりの力作ゲームであることは間違いないので、結論を急がずにもう少しじっくりと取り組んでみようと思います。



ブログを1つ紹介します。
私の盟友わにみさんのブログです。

OCS(Operational Combat Series Games = 米ゲーマーズ社出版の本格的作戦級ゲームシリーズ)に関する話題が中心です。OCSに興味がある方、これからOCSをプレイしてみたいと思っていらっしゃる方には必見です。
PFBのことも(ちょこっと)紹介されています。

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

(写真1)1976年版GIANTS
(写真2)1985年版TIGERS
(写真3)1995年版BLUEWAVE

 やや「内輪」ネタになりつつあるPFB
 ここで、PFBについて知らない皆様に、「PFBとはどんなゲームか」という点について解説させて下さい。

PFBの世界にようこそ

 PFBの世界へようこそ!!
 このゲームは、今まで我が国で発売されてきたプロ野球ゲームの中でも最高級のリアリティを有するシミュレーションゲームです。あなたは、このゲームをプレイすることによって、実際のプロ野球チームの監督達が直面する様々な局面を追体験することができるのです。ランナーを進めるためにはバントか、エンドランか、盗塁か。投手を代えるべきか否か。さらにはこの試合に勝ちに行くべきか、あるいは・・・。
 しかしこのゲームをプレイすることは決して困難なことではありません。確かに普通のゲームに比べるとルールが多いのは確かですが、一度ルールに慣れてしまえば(覚える必要はありません)実にシステマティックにルールが組み立てられていることに気付くはずです。それにこのゲームの素晴らしい点は、そのプレイ時間にあります。慣れてしまえば1試合の所要時間は20分を切るでしょう。ということは3連戦を僅か1時間でプレイできることを意味しています。この数字がいかに素晴らしいものであるかは、他の野球ゲームをプレイしたことのある方ならおわかり頂けるでしょう。

PFBラインナップ

 現在までカード化されているのは、以下の通りです。
  1976年版(オールドファンにお奨め。王や田淵が大活躍!)
  1985年版~2003年版
  2005年版~2007年版
 2004年が欠落していますが、これは単に私のモチベーションが続かなかったということ。もし希望が多ければ、欠落した年度のデータを埋めることになるかも知れません。

PFBが生まれた経緯

1.「熱闘12球団ペナントレース」の話

 「熱闘12球団ペナントレース」
 野球ゲームに興味のある方なら、おそらくその名前ぐらいは聞いたことがあるでしょう。HJ社が1984年~1990年まで販売していた野球ゲームです。私も1985年にこのゲームに初めて接したときから、すっかり虜になってしまいました。以来毎年「熱闘・・」が発売される度に、数カ月間の期間をかけて130試合ペナントレースを繰り返してきました。

2.「熱闘12球団ペナントレース」の改造と新ゲームの作成

 「熱闘・・・」は確かにいいゲームでした。しかし欠点を多く内在していることもまた事実でした。異常打者や異常投手。貧弱なローテーション・ルール。バント等の細かい作戦を立てるのが馬鹿らしくなるほど強力なホームラン攻勢。便利なエンドラン攻勢。ゲームの味付けとしての意味しかない投手力。等、等、・・。
 もちろん我々は様々な特殊ルールを考案し、なんとかリアリティを高めるよう努力しました。新ローテーション・ルール、新エンドランルール、ホームラン阻止ルール、左対左ルール等。これらの改修により欠点のいくつかは解消したと思います。しかしシステムの根幹に関わるような欠陥を解消することはできませんでした。
 「新しい野球ゲームを作るべきだ」
 こんな声が挙がったのは、丁度1988年のはじめ頃だったと思います。実際にゲームを作ったこともあります。しかし完成度の点で「熱闘・・」を越えるゲームを生み出すには至りませんでした。

3.「ビック野球」か「熱闘12球団ペナントレース」か

 時は流れ、私は就職しました。学生時代に比べると社会人は自由時間が急激に減ります。必然的に野球ゲームをプレイする機会もなくなりました。時を同じくしてHJ社も「熱闘12球団ペナントレース」の発売をやめて、代わりに「ビック野球」の発売を開始していました。
 とあるゴールデンウィーク。我々は再び集まる機会を得ました。野球ゲームによる130試合ペナントレースを5泊6日の集中合宿形式(我々はそれを「野球合宿」と呼びます)で敢行するためです。選ばれたゲームは「ビック野球」。HJ社が満を持して発売した新システムの野球ゲーム第2弾、そしてHJ社が発売した最後の野球ゲームです。新システムによる野球合宿に我々の期待は膨らみました。
 しかし、このキャンペーンは惨めな失敗に終わりました。
 「横浜大洋優勝」という結果に終わったこのキャンペーンで明らかになった「ビック野球」の欠点は、スイッチヒッターの異常なまでの有利さやカモに過ぎない左投手、有利すぎる俊足チーム等でした。
 このキャンペーンは、我々が「ビック野球」をプレイした最初で最後の機会になりました。HJ社がこの年を最後に「ビック野球」の新しい版を出さなかったこともその理由の一つですが、むしろ我々が「ビック野球」のシステムに幻滅を抱いてしまったことが主要な要因でしょう。(誤解がないように申し添えておきますが、私は「ビック野球」の基本システムはアイディアとしては極めて優れたものだと思います。惜しむらくは、デヴェロップとデータ解析の詰めが甘かったことでしょう。)
 代わって我々が選んだ道は、「熱闘・・」のデータ構造を解析し、「熱闘・・」の選手カードを自作することでした。そして選手カードを自作し、それを元にして130試合ペナントレースの野球合宿を開催し、そこそこの成功を収めました。

4.「新野球」への道

 しかし私はある一つの疑問を拭い去ることはできませんでした。
 それは、「わざわざ自作カードを作成する労力をかけてまで「熱闘・・」をプレイする価値はあるのか。自作カードを作る手間を掛けるのだったら、いっそうのことルールも自分たちで作りなおした方が良いのではないか・・」というものでした。
 事実、野球合宿が終わった車中での話題の一部は、常に新しい野球ゲームのことでした。そうです。我々は「熱闘・・」に代わる新しいシステマティックな野球ゲームを欲していたのです。
 私が当時「新野球」と呼ばれていたPFBの作成に本格的に着手したのは、1995年5月のことでした。それから約1ヶ月でルール・ブックとデータ・カードをまとめあげ、PFB94(第1案)を完成させました。
 PFB94が初めて私以外の人間の前にその全貌を現したのは、1995年初夏のことでした。日曜日の夜に大阪某所に集合した我々は、一晩かけてPFB94によるミニキャンペーンをプレイしたのです。このプレイでPFB94の欠点のいくつかが明らかになり、改良を加えたPFB94は、やがてPFB95に発展しました。
 そして1996年1月、PFB95による130試合野球合宿が開催されました。諸般の事情で全試合を完遂するには至りませんでしたが、PFB95がプレイしやすく、またスリリングで、かつシステマティックな野球ゲームであることは確認されたのです。

PFBの製作コンセプト

 次にPFBの製作コンセプトを申し上げましょう。
  (1) 日本的野球の再現
  (2) ゲーム時間の短縮
  (3) 新しい手法による選手能力の解析
 以上3点です。

1.日本的野球の再現

 これは、特に攻撃面での送りバント重視を再現しようとしました。
 PFBの場合、ヒット1本で2塁走者が生還率できる確率はかなり高く、鈍足ランナーや強肩外野手を以てしても、50%以上の確率で2塁走者が生還するようになっています。また、同時に走者が1塁にいる場合の併殺率もかなり高めに設定してあります。従って1塁にランナーがいる状況で攻撃側監督は、得点率アップを図るため、また併殺を避けるために送りバントを多用せざるを得ないでしょう。さらに左対左、ヒットエンドラン、小刻みな投手起用等、日本的野球を再現する様々なルールが、あらかじめ基本システムに組み込まれています。

2.ゲーム時間の短縮

 PFBを製作するにあたって、一番の難問は「いかにしてゲーム時間を短縮するか」でした。この問題を解決するための方法はただ一つしかありません。
 それは、「ダイスを振る回数を徹底的に減らすこと」。これだけです。
 従ってPFBの場合、製作当初から「熱闘・・」と同じように1回のダイス振りで1打席を解決するように決めていました(もちろん例外はあります)。他のゲームの中には、投手側が1回ダイスを振り、次に打者側がダイスを振るものもあります(そちらの方が投手の能力をゲームに反映させやすく、また多様な状況を自然に再現できるというメリットがあります)。しかし、プレイ時間短縮を最優先させたPFBの場合、1回のダイスで1打席を解決するようにし、プレイ中に発生する様々な事例は、「汎用打撃結果表」や「打球方向表」を使用して解決するようにしたのです。従ってこのゲームをプレイする際にはこれらの表を毎回毎回参照する必要があり、慣れないうちはむしろプレイ時間がかかってしまうかも知れません。しかし一度覚えてしまえば、あとは楽です。テンポ良くスイスイとプレイすることができるでしょう。

3.新しい手法による選手データの解析

 実在の選手を使って野球ゲームを製作する場合、出場機会の少ない選手のデータをどう評価するか、というのは難しい問題です。そのままデータ化してあとはプレイヤーの良識に任せるというのも一つの考え方ですし(「熱闘・・」はこの方法ですがちょっと無責任な気がします)、足切りラインを設けて異常に能力の高い選手が出てこないようにする方法もあります。
 PFBの場合、この問題を以下の方法で解決しました。
  (1) 出場機会の多い選手は、実績=能力とします。
  (2) 出場機会の少ない選手は、1年前のデータで穴埋めします。
  (3) それでも足らない選手は、何らかの平均値で穴埋めします。
 この方法を採用することによって、異常選手の発生を抑制すると共に、異常に能力の低い選手の発生を防ぐことができました。

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