もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2006年04月

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失敗の本質 戸部良一他5名 中公文庫

 原作は今から20年以上も前に書かれた本です。発売当時は随分話題になった本でもあります。先日改めて読み返してみると、今更ながら新しい発見がありました。
 まず本書の構成を。
 第1章「失敗の事例研究」では、日本軍が敗北を喫した6つ作戦、ノモンハン戦、ミッドウェー海戦、ガダルカナル戦、インパール作戦、レイテ海戦そして沖縄決戦を取り上げ、その中で見られた日本軍の「弱さ」を抽出しています。
 続いて第2章では「失敗の本質」というタイトルで、上記6つの作戦に共通して見られた日本軍の組織としての弱さをを分析しています。日本軍の戦略面での弱さとしては「あいまいな戦略目標」「狭くて進化のない戦略オプション」「アンバランスな兵器体系」を、また組織面の弱さとしては「強い属人性」「学習に対する軽視」等を取り上げています。
 第3章「失敗の教訓」は、全体のまとめ的な位置づけになり、組織の環境適応理論を用いて、日本軍の環境適応能力を分析しています。

 「組織がうまく環境に適応するためには、組織は直面する機会や脅威に対して組織の戦略、資源、組織特性を一貫性をもってフィットさせなければならない」

 この一文を読んだ時、思わず「うーん」と唸ってしまいました。この時私は冷戦構造崩壊後に米軍が行った大規模な構造改革を思い出しました。冷戦終結という環境変化に対し、米軍はそのドクトリンや兵器体系を一変させました。我々素人から見れば「そこまでやらずとも」と思う程の大規模な改革であるように思われるのですが、この本を読んだときその意味が少し理解できたように思います。
 話を戻すと筆者らは日本軍を「環境に適応しすぎて変化に対応できなくなった組織」としています。その評価はやや辛辣過ぎるかも知れません。しかし例えばWW2当時や現在の米軍と比較したとき、当時の日本軍が組織として「自己変革能力」に劣っていたのは否定できない事実だと思います。そういった意味から筆者らの評価は的を得ているとも思います。
 全体的にはやや結果論的な評価もあり、また俗説を無批判に継承しているという批判も可能です。それでも旧日本軍を組織論という側面から分析するという手法は斬新で、現在でも十分通用する書籍だと思います。

評価★★★

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前回まで

 前回
 京都・奈良方面へ桜の写真を撮りに行きました。前回までは主に京都周辺の桜を見て回りました。色々と行きたかったのですが、黄砂の影響で天候が優れず、結局モラルダウンしてしまいました。一夜明けた今日も天気予報では「晴れ」。今日こそ抜けるような青空を背景に桜の写真を撮りたいものです。

長谷寺

 早朝に宿を出て近鉄電車に乗りました。目指すのは長谷寺。近鉄大阪線で大和八木駅からさらに5駅ほど東に入ったところです。長谷寺といえば、以前にこのブログでも紅葉を紹介したことがあったのですが、花の綺麗なお寺だそうです。前回の紅葉の時は到着が午後になってしまい少し悔しい思いをしましたが、今回は朝一番の目的地をこの長谷寺にしました。
 近鉄長谷寺駅で下車。長谷寺までは歩いて15分ほどです。朝が早いせいもあって門前町の土産物屋もこの時間はまだ開いていませんでした。それでも長谷寺に着いた0730頃にはもう大勢のカメラマンが三脚を構えて周囲の桜を撮っていました。開門は午前8時。399段という長い階段を登り、本堂に出ます。本堂から見下ろす長谷の桜は綺麗で、また右手に五重塔を囲むように見える桜も綺麗でした。残念なのは空が真っ青ではないこと。昨日は黄砂にやられましたが、今日も黄砂の影響が残っているのでしょうか。

つづく

新しいノーパソを買いました。
機種はPanasonicのCF-T4J
バッテリー駆動時間12時間というスペックに惹かれました。
立ち上げてみると、なるほど確かにバッテリーはかなり持ちそうです。
12時間というのはさすがに大げさとしても、6~7時間は軽く持ちそうです。
(12時間というのは予備バッテリーも加えての値かな?)
これなら出先でもかなりつかえそうです。

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Decision in Franceをサイバーボードで

前回お知らせしたDecision in Franceのサイバーボード版ですが、第9ターンまで進みました。
全般に連合軍の攻勢が順調で、英軍はカーンを奪取。オルヌ川南岸にも橋頭堡を築いて突破の機会を伺っています。
米軍戦線ではサンローを奪取。ボカージュ地形に苦しめられながらも徐々にドイツ軍を南方へ押し込んでいる所です。この分ではあと数ターンでノルマンディ戦線を連合軍が突破しそうな勢いです。

Cyber Boardの感想ですが、「良いところもあれば悪いところもある」ということでしょうか(当たり前じゃ)。
良い所は、どこでもゲームが出来ること(今回は移動中の列車内で数ターン分進めました)、記録を取るのが楽なこと、です。
悪い所は、マップ全体を俯瞰する能力が劣ること、スタックが密集している場合に個々のスタックの戦力を見極めるのが面倒なこと(これはボードでも同じ?)。いずれにしてもソロプレイツールとしては、そこそこ使えることがわかりました。

Decision in Franceについては、やはりルールをかなり忘れていました。今回途中まで気づかなかったことは、例えば「ドイツ軍高射砲が死んだら連合軍機甲1ステップを道連れにする」「連合軍が実施できる通常/作戦移動の回数は、現在支配している町や都市の数に依存する」「独軍支配下の町や都市を連合軍が占領する毎に独軍は第15軍投入チェックをできる」「混乱したユニットは自軍プレイヤーターン終了時に回復する」等です。

今の所は前半1/3程度が終わったところ。できればGWまでに連合軍の突破戦闘までおさらいしておきたい所ですが、さてさて時間が取れるかどうか・・・。

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(写真は講談社文庫版、僕が読んだのは角川版)

戦艦大和 吉田満 角川文庫

 非常に優れた戦争文学です。
 戦艦大和に乗り組んだ1人の学徒士官が、沖縄の海に出撃し、米軍機の集中攻撃によって乗艦を打ち沈められ、海面を漂流し、救出され、そして佐世保に帰還するまでを描いた作品です。タイトルは「戦艦大和」となっていますが、この作品の中で戦艦大和はあくまでも脇役に過ぎず、主役は(当然ながら)筆者の吉田満氏。そして彼と共に大和に乗り込んだ乗組員達でした。その中には、カリフォルニア出身の暗号兵中谷少尉、「戦闘員は強くなくてはいかん」と叫んで筆者を殴った白淵大尉、国に許嫁を残した紅顔の美声年森少尉、等々が含まれていました。以前に読んだ「黒い雨」もそうでしたが、良い戦争文学は「兵器」や「戦術」ではなく必ず「人間」が描かれています。しかもその人間が皆自分と何ら変わらない人間だということに気づかせてくれるのです。戦場という異常な状況の中で、我々と何ら変わらない普通の人々が苦しみながらも生きる目的を模索していく。そんな真摯な姿が感動を呼ぶのかもしれません。

 この作品にはあとがきとして「占領下の大和」と「一兵士の責任」という小文が掲載されています。「占領下の大和」はこの小説「戦艦大和ノ最期」(原題)が占領軍である米軍によって如何に理不尽な扱いを受けて出版停止にさせられたかが描かれています。これを読むと、必ずしも米軍が公正明大な存在ではなかったということに気づきます。また「一兵士の責任」では、この小説に寄せられた稚拙な批判(曰く「軍国主義的だ」、曰く「戦争協力だ」等々)に苦しむ筆者の姿が描かれています。この一文を読んだ時、僕はこのような余りに幼稚な批判に対して苦しまなければならない筆者に同情を感じると共に、それら批判に対して極めて真剣に自らを見つめ直し、平和について考える筆者の姿勢に感動を覚えました。そしてこうも感じました。果たして日本人は8月15日を境に突然目覚めて賢くなったのか?。否、むしろ逆ではなかったのか?。あの極限状態に生きた若者達の方が遙かに人生を真摯に考えていたのではなかったのか?。そう思ってしまいます。

 最後に、筆者が出征する際、筆者の恩師、末弘厳太郎氏の壮行の言葉を一部引用してこの紹介文を終わりとしたいと思います。
 「(前略)だが、すべては空しかった。諸君は征かねばならぬ。私としてはたた、1日も早く戦争が終わり、諸君が1人でも多く無事に帰ってきてくれることを、祈らずにはいられない。戦場に赴いた以上は、自分が兵隊である前にまず学生であることを、戦う人間である前にまず生きる人間であることを、1日として忘れないで欲しい。農村出身の兵隊が、支那大陸にいると朝に晩に故郷の田畑の苦労を想い出すように、どこにいても、大学のこと、学生生活のことを想い起こしてもらいたい。そして必ず元気で帰ってきて、再び平和がよみがえったあとの学問の世界を、諸君らの若い力でより豊かなものにしてくれることを約束して欲しい。私のはなむけの言葉は、このほかにはない」

 なおこの作品は現在「戦艦大和ノ最期」というタイトルで講談社文芸文庫から発行されています。

評価★★★★★

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