もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2007年02月

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日本軽巡戦史 木俣滋郎 図書出版社

木俣滋郎氏は「日本空母戦史」「日本戦艦戦史」といった日本海軍モノを初め、「極北の海戦」「欧州海戦記」といったヨーロッパ海戦モノ、「日本戦車戦史」「ジェット空中戦」といった戦車戦や空中戦モノといった幅広い戦史を手がけている戦史研究者です。その木俣氏を代表する作品が、「日本空母戦史」に始まる「日本戦艦戦史」「日本水雷戦史」「日本軽巡戦史」という日本艦艇戦史4部作です。
今回紹介する「日本軽巡戦史」は、氏の日本艦艇戦史の最後に位置する作品です。日本の軽巡といえば、太平洋戦争当時は旧式艦が多く、同じ水上戦闘艦でも世界有数の実力を誇った重巡部隊や新鋭艦揃いの駆逐艦戦隊に比べるとどうしても地味なのは否めません。水雷戦隊を率いた一部の軽巡はそれなりに活躍を見せていますが、本書では水雷戦隊旗艦については一切取り扱わない原則になっています(何故なら前作「日本水雷戦隊」で既に書いたから)。従って本書で登場する軽巡たちは、船団護衛や通商破壊戦といった地味な戦いに終始し、相手も連合軍の潜水艦や飛行機ばかりという状態です。本書ではそんな軽巡たちの「孤独な戦い」を延々500ページにも渡って記載しています。今日はどこどこへ陸兵輸送、明日はどこどこからの船団を護衛する。そんな記述が延々と続くわけです。決して読んでいて面白い本ではありません。
ただ今まで我々が余り目にしなかった戦史に触れることができる、という点では一読の価値があるかも知れません。例えば戦争初期に「球磨」がフィリピン近海で米魚雷艇隊と交戦した話や、「天龍」「龍田」によるミルン湾上陸作戦、オーストラリア北西方面での軽巡戦隊の戦い等、珍しい話の宝庫です。そういった意味から見れば読んでみて損はないかも知れません。
なお本書では正式な軽巡以外に、商船を改造した特設巡洋艦や、中国海軍の軽巡を捕獲した軽巡なども紹介されています。特設巡洋艦についての記述は、今まであまり知られていなかったものなので、興味深く読むことができました。
日本海軍の戦史について興味のある方であれば、一読する価値があるかもしれません。ただし・・・・、完全に読破するにはかなり根気が必要です(私は3ヶ月ほどかかりました)。

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本文の一部。平坦な図版と文字文字文字の本文。まるで戦史叢書

お奨め度★★★

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今年もまた青春18切符の季節がやってきました。
青春18切符とは、知る人ぞ知る、JR線乗り放題の切符です。
とはいっても新幹線や特急列車はダメ。
鈍行や快速、新快速はOKです。
交通網の発達した大都市周辺部(首都圏や名古屋、京阪神地区)では、1枚でかなりの距離を稼ぐことができます。

値段は1枚あたり\11,500。1枚で計5日間乗り放題できるので、1日あたりは\2,300です。これを安いと思うか、高いと感じるか・・・・。

ちなみに今年は「JR発足20周年記念」とかいうことで、1枚当たりの値段が\8,000となっています。つまり1日あたり\1,600。これはかなりお買い得かも・・・・。

この切符、難しいのは限られた期間内に5回分乗車しなければならないこと(乗らなくても良いけど当然お金は戻ってこない)。今回の切符は3月1日~4月10日が有効期間なのですが、その間で5日間も「電車に乗り放題」するのは普通の人にとっては結構難しいです。だってその間土日と休日合わせてたったの13日しかないんですよ。13日の休みのうち、5日間も「電車男」になるのは、ちっと骨が折れますね。

とかなんとか言いつつ、私は毎シーズン買ってしまうのですが・・・・。

ちなみに余った18切符を金券屋に売ったり、ネットオークションに出したりする人もいるそうです。

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「BattleFiled Europe」(GDW)ソロプレイ

シナリオ7「Read Guard」

「BattleFiled Europe」(GDW)で新たなシナリオに挑戦しました。シナリオ7「Rear Gurad」です。このシナリオは(どういう理由かはわかりませんが)、ベルギー軍とフランス軍が西ヨーロッパのどこかの田園地帯で激突するというシナリオです。フランス軍は最新鋭戦車ルクレールを装備する戦車中隊と機械化歩兵中隊からなる大隊規模の戦闘グループを有し、ベルギー軍の防衛線を突破して電撃的侵攻を図ります。対するベルギー軍は機甲偵察中隊で遅延戦闘を行います。フランス軍はルクレール戦車x13両とやや旧式なAMX-30戦車x3両を装備。それに対してベルギー軍が有する対戦車戦闘力は、新鋭レオパルドⅡ戦車がたったの2両、それにTOW対戦車ミサイル装備のM150対戦車車両が2両だけです。あとベルギー軍にとって役に立ちそうなのはシミター偵察戦闘車両が2両(一応30mm機関砲を装備しているので歩兵戦闘車クラスなら撃破可能)、まず役に立たないスパルタン歩兵戦闘車両(7.7mm機銃でどないせえっちゅうねん)、さらに役に立たない軽歩兵ちゃん。他に役に立ちそうなのは、地雷原が6個、盤外砲兵が1大隊、そしてF-16戦闘爆撃機が2機です。

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シミター騎兵戦闘車。英国製の偵察車両で米製のM3A2と同様の性格を持つ車両だが、対戦車ミサイルを装備しないのが特徴。このゲーム(Battlefield Europe)をプレイしてみると、対戦車ミサイルを搭載しないという選択もそれなりに合理的なものに思えてくる。だって新型戦車相手の場合、対戦車ミサイルって全然役に立たないんだもん。


注:「BattleFiled Europe」は米国GDW社が1990年に出版した非電脳型シミュレーション・ウォーゲームです。1990年代における戦術レベルの地上戦闘をテーマとしており、ヨーロッパ諸国が当時保有していた主要な陸戦兵器が登場してきます。'

「BattleFiled Europe」の紹介記事はこちら

リプレイ

セットアップ

下図がベルギー軍のセットアップです。仏軍が戦線右翼を狙ってきたら地雷原で大損害。戦線左翼の突破を図れば主力部隊で迎撃するという布陣です。

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制空戦闘

今回は両軍に航空兵力が登場します。フランス軍はミラージュF-1Cが2機、ベルギー軍はF-16が2機です。プレイヤーは麾下の航空機を空対空装備又は空対地装備のいずれかを搭載します。空対空装備の機体はシナリオに先立つ制空戦闘時に敵航空機を攻撃することができます。両軍はそれぞれ1機の空対空装備、1機を空対地装備にしました。

空中戦の結果はベルギー軍のF-16が大活躍。最初の長距離ミサイル戦で護衛のミラージュをアボートさせ、さらに近接格闘戦で爆装のミラージュを撃退しました。F-16側の損害は皆無です。

今回は両軍とも上記のような装備としましたが、機体性能に劣るフランス軍の場合、2機とも制空任務に投入するのが正解だったかも知れません。どうせ地上兵力では圧倒的に有利なのだし、空軍は邪魔な敵機の妨害から味方地上部隊を守ることに徹した方が良かったでしょう。

第1ターン

フランス軍の侵攻経路はダイスで決めた。その結果、フランス軍の主攻撃軸は中央の丘を突破、助攻は左翼の道路沿いに前進することになった。計画に従ってフランス軍は盤内に侵入してきた。このターン、両軍の接触はない。

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第1ターン終了時の状況

第2ターン

フランス軍はAMX-10P歩兵戦闘車を先頭に丘を越えていった。貴重なルクレール戦車はまだ前に出さない。フランス軍の歩兵戦闘車はベルギー軍の前哨陣地に接触した。前哨陣地を守るベルギー軍軽歩兵が臨機射撃を行う。さらに後方のベルギー軍砲兵陣地からは激しい援護射撃が降り注ぐ。一連の攻撃でフランス軍歩兵戦闘車4両が損傷を負った。

第3ターン

緩攻では損害ばかりが増えると判断したフランス軍は方針を変更。強行と電撃的侵攻により一挙にベルギー軍主抵抗線を突破することにした。部隊の先頭をフランス軍偵察ジープが走る。それに対して街に潜んでいたベルギー軍のスパルタン歩兵戦闘車が距離400mから防御射撃。仏軍ジープは撃破された。

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ジープに対して防御射撃を行うスパルタン歩兵戦闘車(青の[2]2/1-L-8T)

ジープに代わって前進してきたのはAMX-10P歩兵戦闘車である。1両の歩兵戦闘車はTOWミサイルの直撃を受けて爆発、炎上した。しかし生き残った他の1両が街に隣接。ついにベルギー軍の虎の子=レオパルドⅡ戦車x2両を発見した。

「戦車隊、前へ」

フランス陸軍が誇るルクレール戦車1個中隊が山を越えて前進する。その後からAMX-10P歩兵戦闘車が続く。隠れていたベルギー軍のレオパルドⅡ戦車の120mm滑空砲が火を噴いた。仏軍歩兵戦闘車が爆発する。ルクレール1両が爆発する。ルクレール1両が被弾して中破する。しかし圧倒的な兵力のフランス軍戦車部隊は続々と前進してきた。後方の対戦車車両から発射されたTOWミサイル2発が立て続けにルクレール戦車に命中したが、ルクレール戦車の複合装甲はそれを苦もなく跳ね返した。

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ベルギー軍主力を包囲するフランス軍戦車部隊

射撃地点を占めたルクレール戦車は至近距離から砲撃を開始した。レオパルドⅡx1両が撃破された。シミター偵察戦闘車も1両がやられた。残ったレオパルドⅡx1両は煙幕を展開しながら後退を開始する。しかしルクレールは最新の熱線暗視装置を搭載している。丘の上から狙っていたレクレールが煙幕越しに1200mの距離からレオパルドⅡを狙った。命中。レオパルドⅡは撃破こそ免れたものの、甚大な損傷を被って森の中に逃げ込んだ。

第4ターン

主抵抗線を突破したフランス軍は、ベルギー軍第二防衛線に対する攻撃を開始した。対戦車ミサイルを搭載したM150対戦車車両が撃破された。大胆に前進する仏軍部隊はベルギー軍第二防衛線を次々と撃破していった。
その頃ようやくベルギー空軍のF-16戦闘機が戦場上空に飛来した。F-16は機銃掃射でルクレール戦車x2両に甚大な損傷を与えたが、最早焼け石に水であった。

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第4ターン終了時の状況

第5ターン

F-16は再び飛来。今度はAMX-10P歩兵戦闘車に損傷を与えたが、対空砲火によって損傷を被り、戦場を離れていった。この時点でベルギー軍の抵抗力は事実上壊滅。フランス軍の勝利に終わった。

最後にベルギー軍のF-16が戦果を上げましたが、ここで1機しか投入しなかったのは失敗でした。当初はルールを誤解していて「制空任務の機体は対地攻撃に投入できない」と思っていたのですが、制空任務の機体でも機銃掃射は実行可能なようです。ここでF-16x2機で対地攻撃を行っていればシナリオの行方はわからなかったのに・・・・。

感想

プレイ直後の感想は、「これでどうやってベルギー軍が勝てるの?」と思いました。だって戦車性能は互角以下。対戦車戦闘可能なのは戦車2両と対戦車車両2両のみ(しかもTOWミサイルは複合装甲装備のルクレール戦車相手に悲しいほど無力)。
ただ発想を変えればベルギー軍にも勝ち目はありそうです。例えば第一線はダミー中心を配置して時間を稼ぎ、その後方に主力を配置。F-16の到来を待って抵抗すれば、ベルギー軍もかなり抵抗できそうです。

うーん、このシナリオ、結構奥が深いですね。もう1回試してみようかな?・

今月に入ってから体調不良が続いています。
症状としては、

・激しく咳き込む
・階段を登ったり、少し長い距離を歩くと息が切れる
・黄色い痰が出る

加えて今朝は食欲もなし、少し頭痛がする、とまあ最悪です。

先週は会社を1日休んで静養(単なる風邪かな、と思ったので)、さらにこの前の土日は殆ど家に篭りっきりで大人しくしていたのですが、症状は一向に回復せず。
さすがに心配になってきたので今朝、病院で診て貰いました。

診察の結果は「鼻炎」の一種だそうです。専門的には急性副鼻腔炎というそうで、それほど心配することはないとのこと。取りあえず1ヶ月分の薬を出してもらいました。今日の昼飯後に早速服用してみたのですが、気のせいか少し楽になった気がします。

それにしてもここ数年医者の世話になる機会がめっきり増えました。
30代前半までは、医者にかかるなんてそれこそ「10年に1度」の大イベントだったのに、最近は年に数回医者へ行きます。だんだん医者や病院が身近な存在になってきました(^^;。それこそ昔は風邪で寝込んでも2~3日寝てればまず快癒したのに、最近は自然治癒自体が難しくなってきました。これも年齢の影響でしょうか。

健康ってやっぱりありがたいですね。

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海上護衛戦 大井篤

太平洋戦争終戦直後、当時の東久邇宮内閣は、太平洋戦争の敗因のうち最も根本的なものは船舶の喪失と激減にあった、ことを明らかにしました。また米国戦略爆撃調査団はその報告書の中で「日本の経済及び陸海軍力の補給を破壊した諸要素のうち、単一のものとしては、船舶に対する攻撃が、恐らく、最も決定的なものであった」としています。奇しくも日米双方が太平洋戦争における日本商船隊の壊滅が戦局を左右する最も重要な要素であったことを認めた形になったのです。
本書は太平洋戦争時における日本商船隊の戦いを綴った著作です。筆者の大井氏は戦争後期に海上護衛総司令部参謀を務めた人物で、戦後派GHQ戦史課に勤務していました。本書は筆者の豊富な経験と調査に裏付けられた著作で、海上護衛戦というものを語る際になくてはならない1作だと言えましょう。これほどの名著が戦後僅か8年(本書の初版は昭和28年)で出版されたということは驚くべきことです。
本書を読めば、海上護衛戦における日本海軍の失敗が、単に国力の違いや技術力の差に留まらないものがあったことを気づかせてくれます。例えば日本海軍において海上護衛を専門とする部隊が編成されたのは昭和17年のことですが、その兵力は旧式駆逐艦、水雷艇、特設砲艦等計24隻に過ぎません。また日本海軍が輸送船団方式を採用したのは実に昭和19年トラック空襲の後であり、それ以前は商船は単独航行を行うか、あるいはせいぜい数隻の輸送船に護衛の海防艦がたった1隻という状態で運行していたのです。これでは国力がどうとか、テクノロジーがどうとかいった以前の問題でしょう。

それにしても当時の日本海軍のなんと愚かなことか・・・・、

台湾沖航空戦での大勝利に浮かれる聯合艦隊は、海上護衛隊の海防艦に対して米機動部隊に対する「追撃戦」を命じたという。狂気の沙汰である

大和の沖縄特攻に使われた数千トンの燃料は、海上護衛隊のストックから捻出されたものだった。この数千トンの燃料があれば、本土近海の対潜戦にどれほど役に立ったかわからない、と筆者は慨歎する。

太平洋戦争を考える際、一度は読んでおきたい著作だと思います。

お奨め度★★★★★

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