もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2009年08月

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起床0400。今日は最終日である。休暇はあと2日残っているが、できれば最終日は自宅でノンビリしたい。そのためには今日は是が非でも山を降りておきたい。

今日のコースはかなり野心的である。双六岳を出発して稜線歩きで笠ヶ岳(2898m)山頂を制覇した後、笠新道を通って下山するというものである。標準コースタイムは11時間以上。朝6時に小屋を出発しても、新穂高温泉には夕方5時にようやく到着するというロングコースである。一昨年歩いた南アルプス登山の際にも最終日はかなり強行軍を強いられたが、今回はそれを上回る強行軍になりそうである。

朝食は弁当を頼んでおいたのでそれを食べて外に出る。山から見る日の出は美しい。テラスでご来光を見る。

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出発は0515。稜線を歩いて笠ヶ岳を目指す。今日も良い天気になりそうだ、が、すぐ近くに見える槍ヶ岳に少しガスがかかっている。標高2588mの弓折岳に着いたのは0635。ここから小池新道への道が分かれている。小池新道は3日前に使ったコースだ。小池新道を使えば比較的楽に下山できるのだが、今回は笠ヶ岳制覇という目的があるので、そのまま稜線を進む。

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弓折岳山頂から笠ヶ岳へ向かう登山路を見る

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同じく弓折岳山頂から見る穂高連峰

弓折岳から先はかなり危ない稜線歩きになる。登山道の整備状況もあまり良くはなく、時折危なっかしいヤセ尾根を通過する。何度歩いてもヤセ尾根歩きは怖い。これも「慣れ」かなと思いつつ、場数を踏むしかないかとも思う。それでも今日のような晴天時はまだ良いが、悪天時に稜線歩きは危ない。

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広い花畑のような秩父平に着いたのは0833。歩き始めてから約3時間が経過していた。ここまでは危なっかしい個所はあったものの、概ね標準コースタイム通りの時間配分でやってこれた。しかしここから先はそうは行かなくなる。
秩父平からは急な上り坂となる。花畑の間をS字状に歩いて稜線に出る。稜線からさらに高度を上げて行き、一番高い所が笠新道との分岐点になる。ここに荷物をデポし、笠ヶ岳山頂を目指す。笠ヶ岳までの標準コースタイムは70分。果たして・・・・。

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笠ヶ岳まではずーっと稜線歩きになる。その間アップダウンが何度かあり、いくつかの峰を越えなければならない。標準コースタイムは1時間少しになっているが、そんな楽な道だとは思えない。アップダウンを繰り返してようやく前方に笠ヶ岳の全貌が見えてきた。山頂部の右手に笠ヶ岳山荘が見える。標高差約200m。笠ヶ岳山頂に向けて最後の登りが始まる。

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ガレ場の苦しいのぼりを約30分登り、ようやくの思いで笠ヶ岳山頂に取り付く。時刻は1140。山頂はガスがかかっていて、残念ながら眺望は効かなかった。

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モタモタしている余裕はない。既に標準コースタイムから1時間近く遅れている。急いで山を降りる。帰りは元きたコースを戻ることになる。往路もアップダウンで苦しめられたが、復路もやはりアップダウンがある。しかも前方から来る登山者も多く、その度に待たなければならない。結局笠新道への分岐に戻ってきたのは1321。遅延は2時間近くに増大していた。

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ここで荷物を整理し、笠新道へ向かう。笠新道はアルプス三大急登に数えられる登山道。ハシゴや鎖場が続く難路かと思っていたが、そういうものではなかった。危険度から言えば「一つ間違えれば一巻の終わり」というような個所なく、ただ急峻な登り道が続くだけである。そういった意味では先ほど感じたような緊張感はあまりない。ただダラダラ続く下り斜面を辛抱強く降りていくことになる。景観的には素晴しく、背後には笠ヶ岳周辺の山々、周囲には花畑が広がっている。時間があれば絶好の撮影ポイントとなるが、今回は時間がないのでノンビリ写真を撮っている暇はない。

標高2400mぐらいまで降りてきた所に杓子平と呼ばれる平地がある。一面が花畑になる絶好の休憩地だ。ここから先、笠新道は木々の中に入っていく。とにかく歩きにくい。巨石を敷き詰めたような場所が多く、浮石もあって神経を使う。しかも腹立たしいことに下り斜面と言いながらなかなか標高が下がらない。登山道が上がったり下がったりでなかなか素直な下り坂になってくれない。

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悪路に苦労しながらようやく標高2000m地点まで降りてきた。その時の時刻は1600。既に笠新道に入ってから2時間以上が経過していた。しかも標高的にはようやく半分ぐらいである。しかしそこから先は比較的順調だった。眼下に左俣谷の流れが見え、その川音がだんだん近づいてくる。標高も1900、1800、1700、・・・・、と徐々に下がってくる。登山道は相変わらずの悪路だが、それでも確実に標高が下がってくるのは嬉しい。

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笠新道の入口に降りてきたのは1723。辺りは既に薄暗くなってきた。あとは新穂高温泉まで平坦な道を降りていくだけである。危険や難路は去ったが、それでもゴールまではまだ歩かなければならない。4日間の山歩きによる影響は容赦なく体を襲う。足の裏が痛い。皮がめくれかかっている。後で見たら左右両足とも水泡が出来ていた。

歩くこと1時間でようやく新穂高温泉に降りてきた。時刻は1825。実に13時間以上に及ぶ山歩きは終わった。既に観光案内所は閉まっている。自販機でジュースをぐいっと一杯。ビールでないのが残念(この後車の運転があるので)だったが、まあそれはそれで仕方がない。

駐車場に戻り荷物を整理する。出発は1845。どこか温泉に行きたい。そう思っていくつか馴染みの温泉場所を探したが、いずれも入浴できなかった。もしその時手元にパソコンがあれば温泉を見つけることもできたかもしれないが、生憎今回はパソコンを持参していなかった。準備不足を後悔しても後の祭りである。結局温泉に入る事が出来たのは、翌日の朝になってからであった。

反省

下表が4日目の行程表である。秩父平までは概ね標準コースタイム通りであったが、その先はコースタイムから大きく外れてしまった。特に笠新道分岐と笠ヶ岳間の往復の際にロスタイムが大きい。これは稜線歩きの際に慎重になってしまい、予想以上に時間がかかってしまったことを示している。稜線歩きは「一つ間違えればあの世行き」という恐怖感があり、どうしても慎重になってしまう。特に北アルプスの山々は緊張を強いるヤセ尾根が多い。自動車の運転と同じで「慣れ」が全てといえばそれまで。特に一般登山ルートでザイルワークが必要になるほどの難路がある筈もないのだが、それでも左右に支えのないヤセ尾根は「綱渡り」に等しい緊張感を強いるもの。今回の登山でまだまだ修業が足りないな、と思わずにはいられなかった。

つづく

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起床0400。外はややガスがかかっていたが、先日からの雨は上がっていた。良かった。この分では歩くことができそうだ。
朝食は0500。食事を終えて出発準備をする。出発前小屋の前で写真を撮る。眼前に見える槍ヶ岳が朝の光を浴びて美しい。

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三俣山荘の目の前に見える槍ヶ岳

出発は0540。大きな荷物は山小屋にデポし、軽装で出発する。小屋の眼前には鷲羽岳が広がっている。標高2924m。日本百名山の1座である。小屋からは標高差約400m。朝の涼しい風を受けて登り初める。かなりの急登だが荷が軽いせいもあり快調に登っていく。登り始めて約1時間で早くも鷲羽岳山頂に到着。今回の登山で最初のピークハンティングとなった。山頂からは周囲の山々が一望できる。これから向かう水晶岳や黒部五郎岳、槍ヶ岳といった近傍の山々は勿論、少し離れて笠ヶ岳や焼岳、乗鞍、御嶽山等の山々、さらには白山や剣、立山も見える。

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鷲羽岳山頂からの景観。上から黒部五郎岳、槍ヶ岳、水晶岳

鷲羽岳から水晶岳へ向けて歩き始める。ワリモ岳のややおっかない登山道を抜けて(ロープが張っているので左程怖くはない)ワリモ分岐へ降りていく。途中で高校生又は大学生のグループいくつかとすれ違う。彼らは一様に巨大な荷物を抱えていた。テント用の装備であろう。

ワリモ北分岐からなだらかな稜線歩きになる。こういう道は危険な個所もなく歩きやすい。左手には標高2926mの薬師岳が見える。地図で見る以上に存在感のある山だ。今回は行程の関係上登れなかったが、機会を見つけて登ってみたい山である。

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薬師岳の勇姿

水晶小屋には0820に到着。水晶小屋は北アルプス最深部に位置する小さな山小屋だ。周囲は遮るものがなくロケーションは最高。その分人気も高い小屋で、昨晩は定員20名の所へ50名詰め込んだらしい。

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水晶小屋

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水晶小屋眼下に見える登山路。通称「裏銀座コース」。この道を真っ直ぐ歩くと野口五郎岳を経由して高瀬ダムへ降りていくことができる。

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水晶岳から見た鷲羽岳と黒部の山々。正面が鷲羽岳、右側奥の高い山が笠ヶ岳、鷲羽岳の後方が乗鞍、御嶽山である

水晶小屋から水晶岳までは片道40分の行程である。片道40分といえば近いようで意外と遠い。しかもコースの終盤はかなり危ない個所もある。無論昨年登った剣岳塩見岳に比べればささやかなものだが、それでも「一つ間違えれば一巻の終わり」という状況には変わりがない。慎重に岩場を抜けていく。

水晶岳山頂に辿り着いたのは0855。周囲の景観を一望する。天気は快晴。昨日の雨が嘘のようだ。北に目を転じると黒部ダムがはっきりと見える。その向こうには立山連峰、西に広がる黒部平、南に目を転じれば槍ヶ岳、そして東には裏銀座コースと野口五郎岳。まさに「アルプス独り占め」といった感がある。

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水晶岳頂上から見る黒部五郎岳

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お馴染の槍ヶ岳

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水晶岳頂上から見た北側の景観。手前の山は赤牛岳、その向こうの湖が黒部湖で、黒部ダムもハッキリと確認できる。中央部遠方の高い山は立山連峰

水晶岳でしばらくノンビリした後、水晶小屋まで戻ってくる。ここで昨日来同宿だった男の人と別れる。彼は裏銀座ルート経由で野口五郎岳を目指すそうだ。私は水晶小屋から元来た道を戻っていく。ワリモ北分岐から急な斜面を降りて行き、岩苔乗越という分岐点に着いたのは1034。ここからはコースが三方に別れている。右手の道は高天原に向かい、中央の道は雲ノ平を目指す。私は左手の道へ進む。この道は黒部川源流へと向かう道。沢沿いの登山路で滑りやすく注意が必要だ。両側には花が咲いていて気持ちが良い。慎重に降りていきながら、所々で写真を撮る。

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黒部源流に着いたのは1134。文字通り黒部川源流部で気持ちの良い場所である。
ここからは登りに転じる。三俣山荘まで所要時間約45分。それほど急な登りではないが、下りに慣れた足に登りは結構きつい。またこの時間になると直射日光の光も強烈だ。汗をかきながら一歩一歩斜面を登っていく。

三俣山荘に着いたのは1220。ここでデポしておいた荷物をゲットする。軽荷に慣れた体にいきなりずっしりと重い荷物がのしかかる。それでも登っていくしかない。次の目的地は標高2841mの三俣蓮華岳だ。標高差約300m。高さ的には大したことはないのだが、今日何度目かになる急登を登っていく。途中で何度も休憩をとり、水を飲んだ。左手に見える槍ヶ岳の景観が美しい

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三俣山荘から見た三俣蓮華岳

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三俣蓮華へ向かう途中に見た槍ヶ岳

三俣蓮華岳に着いたのは1220。ここからは双六小屋へ向けての稜線歩きになる。標高2854mの丸山の斜面をあえぎあえぎ登り、ガスがかかってくる中最後の難関である標高2860mの双六岳山頂に着いた時には1500を少し回っていた。
双六岳からは斜面を降り、今日の宿になる双六小屋には1600過ぎに到着した。歩行時間10時間以上の山旅。最後はかなりバテたが、北アルプス最深部の主要山塊を制覇できたことは大きな成果であった。

山小屋で手続きを済ませて外に出る。テラスで生ビールを一杯。普段はあまり酒を飲まない私だが、今回飲んだ生ビールは心底旨かった。テラスで一緒になった富山県の会社員グループと少し話をする。何でも大型テントを担いで今朝新穂高温泉から上がってきたらしい。今晩は焼肉パーティとのこと。そういう山旅も楽しいだろうなあ、と思う。

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反省

下のグラフは標準コースタイムと実際の所要時間を比較したものである(単位は分)。グラフを見ればわかるとおり最初は標準コースタイムよりも短時間で移動しているが、最初の行程で「貯金」した分を徐々に食いつぶしている様子がわかる。特に三俣山荘で荷物を受け取ってから後のコースタイムが酷い有様で、三俣山荘から双六小屋まで標準コースタイム2:40の所を実際には3:43と1時間以上の遅延を招いている。このことはコース後半の明らかな「バテ」と負荷重量の影響がモロに出た感がある。今回も昨年の教訓を生かしてアミノ酸を持参していたが、アミノ酸の効果が十分出ているとは言い難い結果になってしまった。


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起床0400。昨日の頭痛が嘘のように治っていた。昨日無理して飲み食いしたのが効いたらしい。
小屋の外は強い雨が降っていた。風も吹いている。この分では稜線歩きは無理だ。風で吹き飛ばされたら一巻の終わりである。
朝食は0430から。いつもなら山小屋の朝は早く、朝食時間には少しでも早く食事を取ろうとする人たちが列を作るのが常である。しかしさすがにこの天気では早めに出かけようという殊勝な人も少ないらしい。食事時間になって三々五々と人が集ってきた。

食事を終えて部屋に戻る。同室の人たちと少し話をする。皆さんの方針はまちまちで(まあ当然だ)
「今日は雨だから小屋に連泊しよう」という人
「休みが今日明日しかないので、今日は笠ヶ岳まで移動しよう」という人等がいた。
自分はといえば、この天気なので稜線歩きは無理。しかし明日以降の行程を考えると少しでも先に出ておきたい。当初の予定を完遂することはもう不可能だが、それでも明日以降で取り戻せるだけ戻しておきたい。

そんなこんなで今日は三俣山荘まで移動することにした。三俣山荘はここから約2時間半の場所にある山小屋である。この双六山荘よりも規模はやや小さいが、それでもこの一帯では比較的規模の大きい山小屋であった。荷物を整えて出発したのは0607。普段の生活では考えられない程「早起き」だが、山小屋ではそれでも「遅れ気味」である。

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朝の双六小屋

双六小屋の裏手を登っていく。かなりの急登であるが、歩き初めなのでそれほど気にならない。しかも今日は短距離移動である。焦る必要もない。歩き始めるまでは億劫だった雨だが、歩き始めるとそれほど気にならない。たまには合羽を着込んで山歩きというのも悪いものではない(勿論できれば避けたいが)。

20分程上がって分岐に出る。左手に向かえば双六岳の頂上に達し、右手は巻き道になっている。今回は巻き道を使うことにする。巻き道の両側は高山植物が咲き乱れている。晴天ならば写真撮影が楽しい所だが、この天気では写真撮影もままならない。とにかく歩くことにする。時折向こう側から登山者が歩いてくる。話を聞くと昨晩は三俣山荘に泊まったらしい。混雑具合を尋ねると、そこそこ混んでいたが寝る場所は十分確保できたそうだ。

歩くこと約2時間で三俣分岐に着く。三俣山荘まではここから坂を30分程下っていくだけである。

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三俣分岐

三俣山荘に着いたのは0830。チェックインを済ませる。今日1日何をしようか?。
「こんなこともあろうかと思って」
用意しておいた文庫本が2冊、そして専門書が1冊。専門書の方を勉強する。雨なので本を読む場所を確保するのに苦労したが、なんとかなるものだ。こうして夕食までの長い時間、専門書と文庫本を読んで時間を潰す。

途中、昨年塩見で会った人と思わぬ再開があった。名前も職業も知らない相手だが、こういう再会があると嬉しくなる。

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三俣山荘

夕食は1700。相変わらず外は雨が降り続いている。明日は晴れるだろうか。明日は晴れてくれないと困るなあ・・・・


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8月某日、自宅を出たのは1940頃。予定よりやや遅くなってしまったが、たいした問題ではない。
相模湖ICより中央高速に乗り、みどり湖PAについたのが2300過ぎだった。今日はここで仮眠を取る。

翌朝0330に起床。外はまだまだ暗いが、新穂高温泉までは遠い。朝食その他の準備を済ませて急いで出発する。松本ICを降りたのが0430頃。途中のコンビニで食料品等を買い込みながら、徐々に明るくなっていく国道158号線を西に向かう。山登りの際にはいつも通るなじみの道だ。
梓川に沿って山に入っていく。沢渡温泉は上高地へ行く際の拠点となる場所だ。上高地方面へ行く際にはここに車を停めることになるのだが、今日はそのまま素通りする。1998年に開通した安房トンネルを抜けるとそこは岐阜県。平湯温泉を抜けてさらに北を目指す。
新穂高温泉に着いたのは0545頃だった。駐車場を見つけて車を止め、トイレに行ったり、準備をしたりすると時間がどんどん経ってしまう。結局新穂高温泉を出発したのは、当初の予定より40分遅れの0640になっていた。

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朝の新穂高温泉

新穂高温泉から左側に入っていく。最初は工事車両が利用する広い道を歩く。天候は快晴。左手に見える笠ヶ岳が綺麗だ。
歩くこと1時間と少しでわさび平に着く。ここには山小屋があり、カキ氷や果物などを販売している。カキ氷が美味しそう。しかしここはぐっと我慢して先を急ぐ。

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左手に見える笠ヶ岳。3日後にこの山の厳しさを思い知ることになる。

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わさび平小屋

わさび平小屋を出るとしばらくは工事用道路を進むが、途中から本格的な登山道に入っていく。右手に流れる左俣谷が離れて行き、どんどん高度を稼いで行く。右手に槍、穂高の山々が見えてくる。

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左俣谷の流れ

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登山道から見える穂高連峰

0915に秩父沢に到着。ここは標高1730m。登山口からの標高差は約600mだ。まだまだ序の口であるが、かなり視界が開けてきた。槍、穂高の二大山塊は勿論、前方に見える弓折岳や大ノマ岳もどんどん近づいてくる。この秩父沢は水場になっていて、登山者にとっては格好の休憩地だ。蝿や蜂のような虫がたかってきて閉口した。虫よけスプレーを持参しなかったことを少し後悔した。

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秩父沢

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穂高の上に奇妙な形の雲がかかっていた。この雲を一般に笠雲といい、天候が悪化する前兆である、と知ったのは山から降りた後でした。

秩父沢からなおも登りが続く。ここまでは比較的順調だったが、このあたりから疲れが出始めてきた。持参してきたアミノ酸を飲んだり、冷たい水を飲んだりして体力回復に努める。今まで晴れていた空であったが、いつのまには空は灰色の雲に覆われてきた。霧雨のような雨も降ってきた。直射日光に照らされない分体力的には楽だが、雨具を着込むのが面倒である。

標高約2200mの鏡平についたのは1130。ここまでの所要時間は約5時間である。持参した昭文社の地図によると標準所要時間は5:15とある。まあまあのペースかな。ここで再びアミノ酸を飲む。軽く昼食も済ませる。

鏡平からはまたもやきつい登り坂になる。しかし日光が減った分歩きやすい。標高約2500mの弓折分岐に出たのは1245で、鏡平からの所要時間1:05。コースタイムは1:30なので比較的と快調だった。

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鏡平の名所鏡池、ガスがかかっていて見えないが、前方に広がるのは穂高連峰

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標高2500mの弓折分岐

ここからは稜線歩きになる。アップダウンが続くが、登りっぱなしよりは少し楽である。やがて前方に色とりどりのテントとその向こうに山小屋らしい建物が見えてきた。双六小屋だ。小屋が見えてくると安心する。登りがもうない、というのも安心を誘う。
小屋が見えてから30分ほど歩いた後、双六小屋には1400に着く。今日の予定では、その先の三俣山荘まで行くつもりであったが、どうやら明日は雨らしい。今日は無理せずに明日の天気を見極めてから行動を決めたいと思う。そういう訳で今日は双六山荘に泊まることにした。

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登山道から見える双六小屋

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双六小屋の景観

荷物を整理する。小屋の混雑具合が気になる所だったが、どうやら今日は比較的空いているらしい。案内された部屋は定員8名の部屋だったが、宿泊は5名だった。荷物を広げるスペースが十分にあり、しかも寝返りをうてるスペースがあるのは嬉しい。

食事まで時間があったので小屋のテラスでジュースを飲みながら一息つく。近くの双六岳へでも登っておこうかと思ったが、天気が悪いので止めにした。部屋に戻り寝床で仮眠・・・・、がいけなかった。たった30分ほど眠っただけだが、起きた時には頭がガンガン。典型的な高山病である。
「山小屋に着いたら2時間は寝てはいけない」
この鉄則を再確認する羽目になった。

1700から夕食であった。殆ど食欲はなかったが、とにかく食べなければ高山病が治らないと思い、お茶で流し込むようにして食べた。とにかく食べた。
食事の後は部屋に戻って寝るだけである。高山病のおかげ??か。寝つきは良かった。


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今年も夏がやってきました。
8月前半は梅雨のような天気が続いていたため山に登る機会がなかなかありませんでしたが、月半ばで漸く夏らしい天候になってきました。
夏といえば山です。
休みを利用してできれば少し長めの山旅がしたいもの。
そう思って山行きの計画を色々と考えてみました。

昨年こちらでご報告したとおり、国内3000m以上の山を全て制覇した私にとって、次なる目標は
(1) 百名山制覇
(2) 標高トップ30制覇
の2つです。
そのうち「百名山」については、前回紹介した浅間山で67座目になっています。残り33座。これはライフワークですね。
もう1つ「標高トップ30制覇」の方については、私が未踏破のトップ30座は「水晶岳(2986m)」「薬師岳(2926m)」「野口五郎岳(2924m)」の3座です。これらの山々はいずれも北アルプス南部最深部に位置しており、アクセスは必ずしも容易ではありません。特に水晶岳は登山口から最低でも2泊3日の行程が必要な秘境です。今年の山登りは、上記の山々を軸に計画したい所です。

最初に考えたのは以下のようなルートでした。
< 北アルプス南部縦走3泊4日(初案) >
0日目:鉄道等を利用して富山市内に入る。
1日目:早朝バスで折立登山口へ移動。
 折立-->太郎平-->薬師小屋-->薬師岳-->薬師小屋(泊)
 (歩行時間8:15)
2日目
 薬師小屋-->太郎平-->黒部五郎岳-->黒部五郎小舎(泊)
 (歩行時間8:05)
3日目
 黒部五郎小舎-->三俣山荘-->鷲羽岳-->水晶岳-->野口五郎岳-->野口五郎小屋(泊)
 (歩行時間9:00)
4日目
 野口五郎小屋-->烏帽子小屋-->烏帽子岳-->烏帽子小屋-->高瀬ダム
 (歩行時間8:05)

このプランで行けば、先に挙げた「標高トップ30制覇」は達成できるのみならず、百名山4座を含む10座を制覇できます。
しかし上記のルートには1つ問題がありました。それは初日に泊する薬師小屋のこと。この小屋はアルプス奥地に位置しているため小さく、シーズン中は大変混雑するそうです。「山小屋で寿司詰めにされた」というのは良く聞く話なのですが、できれば自分は避けたい所。あとこのコースの場合、登山口と下山口が異なっているので自家用車が使い辛いという問題もあります。最後に下山口の高瀬ダムから近隣の信濃大町駅まではバス便がなく、タクシーで1万円近くかかってしまうというのも難点です。
そんなこんなで上記のルートは破棄。別のルートを考えました。

地図を見たり、ネットを調べたりしながら色々なルートを考えましたが、結局以下のルートに落ち着きました。
< 北アルプス南部縦走3泊4日(最終案) >
0日目:自家用車で移動。途中で車中泊
1日目:自家用車で新穂高温泉へ移動
 新穂高温泉-(小池新道)->双六小屋-->三俣山荘(泊)
 (歩行時間9:35)
2日目
 三俣山荘-->鷲羽岳-->水晶岳-->黒部源流-->三俣山荘-->黒部五郎小舎(泊)
 (歩行時間8:35)
3日目
 黒部五郎小舎-->黒部五郎岳-->黒部五郎小舎-->三俣蓮華岳-->双六岳-->双六小屋(泊)
 (歩行時間8:30)
4日目
 双六小屋-->弓折岳-->大ノマ岳-->笠ヶ岳-(笠新道)->新穂高温泉
 (歩行時間11:15)
このプランの場合、制覇できる山の数は百名山4座を含む計8座。当初のプランに比べるとやや少なくなります。また「標高トップ30」である野口五郎岳、薬師岳も未制覇となってしまいます。しかしその一方で宿泊する山小屋がいずれも比較的規模の大きな小屋なので「寿司詰め」の危険がかなり軽減されます。また登山口と下山口が同じ場所なので自家用車が使えるという魅力もあります。気になるのは最終日の歩行時間の長さで、仮にプラン通りに行ったとしても、新穂高温泉に降りてくるのは夕方の18時過ぎになりそうですが、
「まあ、新穂高温泉への最後の歩きは道が広いから大丈夫」
と思っていました。

さてさて・・・・、

(つづく)

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