もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2009年11月

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先日、東京へ行く機会があったので、新作ゲームを購入しました。

No Retreat!

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コマンドマガジンで「World War Series」と銘打った新シリーズの第1弾です。
テーマは独ソ戦。「またか」の感がありますが、まあそれだけ魅力的なテーマなのでしょう。

1ヘクスは実際の100km、1ユニットは軍又は軍集団を示します。

ルールブックをざっと読んだ所、移動と戦闘を繰り返す基本的なシステムに、イベントカードを組み合わせたもののようです。
ルールは簡単そうなので、気を見てプレイしてみたい作品です。

PQ-17

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GMT社の新作海戦ゲームで、今回の本命はむしろこちら。テーマは1941~43年における北極海における海戦で、タイトルとなったPQ-17船団はもちろん、初めて護衛空母が登場したPQ-18船団や独戦艦「シャルンホルスト」の最後となった北岬沖海戦等、計9本の歴史シナリオ、1本の仮想戦シナリオ、そしてキャンペーンシナリオが用意されています。

1ヘクスは96海里、1ユニットは巡洋艦以上が1隻1ユニット、その他は数隻の艦船、航空隊を表します。1ターンは実際の12時間に相当します。マップにはアイスランド、イギリス本土、ノルウェー沿岸、北極海、ソ連北部の港湾が描かれています。かつてビクトリーゲームズから出版されていた近未来海戦ゲーム「第2艦隊」とほぼ同じ範囲です。

ルールをざっと眺めてみましたが、移動、偵察、戦闘、時刻、天候、氷塊、燃料といったルールが含まれていました。ルールブックは英文で32ページ。難易度は中程度といった所でしょうか。

なお本作は"Decision at Sea Series"とされていました。今後同シリーズの作品が続くことになるのでしょうが、どのような作品が登場してくるのか、今から楽しみです。

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11月の半ばを過ぎると、高い山には雪が降り積もり、本格的な冬山の季節に入ります。
一方里に近い低山は紅葉が見ごろになってきました。かくして11月の登山は比較的都会に近い里山が主な対象になってきます。

前回紹介した愛宕山は京都市内にある低山の1つですが、今回紹介する官ノ倉山は、関東地区にある低山の1つです。

官ノ倉山に登る

朝8時過ぎの東武電車に乗って東武竹沢駅で下車。官ノ倉山への登山路はこの駅から始まります。JR八高線の踏切を越え、旧国道を渡ると山村に入っていきます。しばらくは山村歩きが続きます。所々に紅葉が綺麗。人の良い地元に人達が見知らぬ私に声をかけてくるので、こちらも挨拶を返します。

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三光神社の横を過ぎるとようやく本格的な登山道に入っていきます。天王沼を左手に見ながら杉木立の中を登っていきます。歩きやすい登山道。しかし視界はあまり効きません。

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杉木立の中を歩くこと30分。目の前が明るくなったと思うと、そこが官ノ倉山の山頂です。あっけないほど簡単に登った山でしたが、山頂からの景観はなかなか良いです。しばしノンビリしました。

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帰りは登ってきた道を通らずに別ルートから降りていきます。往路と同じように杉木立の中を降りていき、30分ほどで里に出ます。里を歩いて1時間ほどで東武/JRの小川町駅に到着しました。総行程は6~7kmぐらいかな。所要時間は2時間強です。予想よりも早く降りてくることができました。

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今までいくつかの山に登ってきましたが、今回の官ノ倉山はその中でも1~2を争うほど容易な山でした。やや楽過ぎたかもしれませんが、まあ運動不足の解消には丁度良いのではないでしょうか。

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「ソロモン夜襲戦」登場艦艇紹介

前回、連合軍の重巡編を発表して以来1年半ぶりになりますが、「ソロモン夜襲戦-登場艦列伝」を再開します。今回は日本戦艦を扱います。

 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちらをご覧下さい

日本戦艦概説

太平洋戦争開戦時に日本海軍が保有していた戦艦は計10隻。その全てが艦齢20年以上の旧式艦でした。いずれも大規模な改造を通じて戦力を大幅に強化されてはいましたが、それでも旧式化は否めませんでした。開戦後はこの10隻に「大和」「武蔵」の2艦が加わり、計12隻が太平洋戦争における日本戦艦の全ラインナップとなりました。
この12隻は大きく3つのグループに区分することができます。最初のグループは「長門」「扶桑」「伊勢」の各級に属する計6隻です。この6隻は砲力と装甲防御力に重点を置いた最も「戦艦らしい」グループで、戦時における砲戦部隊の主力を成すと期待されていました。これらの諸艦は強大な砲火力を持つと共に同時期の米英艦に比べると速度に優れていました。個艦性能では同世代の米戦艦に比べて優れていましたが、数的には36cm砲艦11隻、40cm砲艦3隻以上を有する米海軍に劣っていました。
次のグループは「金剛」級の4隻。速力に重点を置いた巡洋戦艦で、砲力と装甲防御力には劣っていましたが、速力に優れていました。太平洋戦争に参加した日本戦艦の中では一番旧式でしたが、一番活躍したのも本クラスでした。
最後のグループは「大和」「武蔵」の2隻です。数的な面で米海軍に太刀打ちできないと考えた日本海軍が質的優位を得るために造られた巨大戦艦です。その砲力と装甲防御力は空前絶後のものがありました。

「金剛」

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概説

英海軍の「ライオン」級巡洋戦艦の発展型として日本海軍で最初に就役した超弩級の巡洋戦艦です。「金剛」が英国ヴィッカース社の手によって完成し、「比叡」「榛名」「霧島」が「金剛」の技術に基づいて国内で建造されました。世界で最初に36cm砲を採用し、これを8門装備。さらに速力は数次に渡る改装によって30ノットを発揮するに至った本級は、米海軍にとって非常に厄介な存在となりました。本級を駆逐する目的で「アイオワ」級戦艦が計画されたとも言われています。
太平洋戦争当時は最も古い日本戦艦でしたが、30ノットの速力は貴重であり、最も古い本級が最も活躍した日本戦艦となったのは皮肉です。本級のうち「比叡」「霧島」の2艦は比較的早期に失われましたが、「金剛」「榛名」の2艦は戦争後半まで生き残り、マリアナ、レイテの両海戦にも参加しました。

ゲームでの性能

戦艦クラスで速度「6」は貴重です。このクラス以外で速度「6」を発揮できるのは、「アイオワ」、「アラスカ」といった新鋭艦を除けば英海軍の巡洋戦艦だけで、いずれもシナリオで登場する機会の少ない艦です。直接のライバルは米英の巡洋艦群といって良いでしょう。
その米英の巡洋艦群と本級を比較した場合、本級の優位は際立っています。まず砲力ですが、本級の搭載する36cm砲は、貫通力18で、重装甲を誇る米重巡に対していかなる距離でも貫通可能です。しかも破壊力も重巡クラスを黙らせるには十分なレベルです。また装甲は重巡クラスを相手にするには十分な厚さで、少なくとも1発で致命傷になることはありません。唯一怖いのが「ウィチタ」級又は「ボルチモア」級が搭載するSHS使用の8インチ砲で、これらを至近距離から食らった場合、下手すると致命傷を負う可能性があります。いずれにしてもウィチタ、ボルチモア共にシナリオで登場する機会が少ない艦なので、それほど気をつける必要はないでしょう。
一方、第3次ソロモン海戦での対戦相手である「ワシントン」や「サウスダコタ」と比較した場合、速力の優位以外は全ての面で劣勢です。特に砲力と装甲の差は致命的で、米戦艦の砲がいかなる距離でも本級を串刺しにできるのに対し、本級は接近戦に持ち込まない限り米戦艦の主要部を貫通することはできません。ただ史実のような接近戦では本級の主砲でも米戦艦に対して十分に有効打を与えることが可能であり、うまくいけば「ワシントン」を撃破することも可能です。
性能面で本級と拮抗するのは英の巡洋戦艦です。中でも「レパルス」はシナリオ3で本級と直接対決する可能性があり、両者の比較は興味深いと言えます。まず砲力では36cm砲8門の本級と38cm砲6門の「レパルス」との比較になります。投射弾量で本級が、1発あたりの威力と貫通力で「レパルス」が優っています。まずは互角とすべきでしょうが、心持ち本級の方が有利かな、という気もします。ちなみに装甲厚は両者とも不十分で、36cmや38cm級の砲弾に対する耐性は殆ど期待できません。速力は互角です。こうして考えると、両者はほぼ互角といえます。ちなみに相手が「レパルス」ではなく「レナウン」の場合、このバランスシートは微妙に変化するのですが、それはまた次の機会に。

シナリオでの扱い

「WW2時における日本戦艦の中で最も活躍したクラス」と言われている本級は、シナリオでの登場機会も多いです。まず史実シナリオでは、シナリオ6,7で登場し、特にシナリオ6では本級の米巡洋艦に対する圧倒的な威力を目にすることができます。
仮想戦シナリオでは、シナリオ3、13,14,15,16で登場します。シナリオ3では英巡洋戦艦との対決、シナリオ13,14では米新鋭戦艦との対決を描きますが、前者はとにかく後者はかなり苦戦を強いられます。

「扶桑」

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概説

「扶桑」級は日本海軍最初の超弩級戦艦です。1915~17年にかけて「扶桑」「山城」の2艦が完成しました。36cm砲12門を搭載したその砲力は、ほぼ同時期に就役した米海軍の「ネヴァダ」級、「ペンシルバニア」級と同等以上の砲力を有し、世界最強の実力を誇っていました。史上初めて常備排水量が3万トンを超過した艦で、日本の戦艦建造史上重要な意味を持つ艦でした。
その後二度に渡る近代化改装を経て戦争に参加した「扶桑」「山城」は、速力が他艦に比べて劣っていたこともあり、大きな活躍はありませんでした。そしてレイテ沖海戦に参加した「扶桑」「山城」の両艦は西村部隊の主力としてスリガオ海峡に突入。待ち構えるオルデンドルフ少将率いる米艦隊の邀撃によって両艦とも失われました。

ゲームでの性能

一般に「速度が遅いから活躍できなかった」とされる本級ですが、少なくともゲーム上では速度「5」を与えられており、他の日本戦艦と比べて遜色ありません。米旧式戦艦に比べても速度面で優位に立っており、戦術面で大きな利点を与えています。
主砲火力は36cm砲「4-12-4」。最大火力「12」は頼もしいのですが、首尾線方向の火力にやや不満が残ります。
装甲値は「8-11-8」。米英のライバル艦に比べるとやや見劣りする面があります。
本級の直接のライバルは36cm砲搭載の米戦艦群です。「ペンシルバニア」、「ネヴァタ」、「カリフォルニア」といった辺りになります。例えば比較的旧式な「ペンシルバニア」級と比較した場合、砲力は互角、速力は本級、防御力は「ペンシルバニア」が優ります。本級の装甲は「ペンシルバニア」が搭載する36cm砲に対しては中距離で安全圏を持っています。「ペンシルバニア」級も本級の主砲に対して同様の耐性を示しますが、装甲厚自体が厚いためにより耐久力が優れています。
より新型の「カリフォルニア」級と比べた場合、長砲身の36cm砲を装備する「カリフォルニア」級は砲力で本級を優ります。本級の装甲は「カリフォルニア」の長砲身36cm砲に対して中距離で辛うじて安全圏を持ちますが、その範囲はより狭くなっています。
ちなみに相手が40cm砲搭載艦の場合、本級の安全圏はほぼなくなります。
総じて本級の性能は、36cm砲搭載の米戦艦相手に苦しいながらもなんとか互角、40cm砲搭載艦には太刀打ちできない、といった所でしょうか。
なお、1944年以降のシナリオになると、米戦艦が高精度な射撃用レーダーを搭載して登場してきます。こうなってくると最早本級では太刀打ちできなくなってきます。史実におけるスリガオ海峡海戦がそれを証明していると言えましょう。

シナリオでの扱い

史実シナリオでは登場する機会はありません。将来スリガオ海峡海戦がシナリオ化されれば本級が登場してくることになりますが、その可能性は限りなく小さいでしょう。
仮想戦シナリオでは、シナリオ15,16に登場してくる可能性があります。

「伊勢」(a)

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概説

元々は「扶桑」級の3番艦、4番艦として計画されていた「伊勢」「日向」の2艦は、若干の改設計が行われ、所謂改「扶桑」級として1916~17年にかけて就役しました。「扶桑」に比べると3番4番砲の配置が変更されている他、副砲が日本人の体格に合った14cm砲に改められるなどの改造が行われています。
開戦時「伊勢」「日向」は、「扶桑」「山城」と共に計4隻で第1艦隊第2戦隊を構成。日本海軍最強の砲戦部隊として太平洋正面に睨みを効かせていました。しかしミッドウェー海戦で主力空母4隻を一挙に失った日本海軍は、空母の急速増強に着手し、その一環として「伊勢」「日向」の2艦が艦上爆撃機22機を搭載する航空戦艦に改造されることとなりました。

ゲームでの性能

「扶桑」と同じく速度は「5」で、米旧式戦艦に対して優位に立っています。
その他の性能は「扶桑」とほぼ同じですが、装甲値が「8-11-9」となり、遠距離における耐弾性が若干強化され、遠距離砲戦における耐性が向上しました。いずれにしても戦艦級の主砲弾に対しては不十分なものです。
全般的な評価は「扶桑」と同じです。

シナリオでの扱い

実はこのクラスはシナリオでの登場機会が全くありません。1942年後半以降は航空戦艦への改造工事に入ったため、ソロモン戦への出動機会が全くないからです。
本級が登場するシナリオを仮に作成するとしたら、それは「聯合艦隊vs太平洋艦隊」的なシナリオになるでしょう。

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タンクバトル4

齊木伸生 光人社

WW2におけるドイツ軍戦車部隊の戦いを描いた著作。雑誌「丸」で連載されている。WW2における戦車同士の戦いを取り上げて、それぞれ短い章に分けて紹介している。それぞれの章は短く、数分で読み終わることができる。
今回第4弾から読み始めた。本来ならば第1弾から順次読み始めるのが筋だが、ポーランド戦やフランス戦にあまり興味がなかったので、派手そうな所から読み始めた、というのが本音である。
本書で取り扱うのは1943年の戦い。メインテーマは東部戦線で、クルスク戦は勿論、クバン橋頭堡、ミウス川、ハリコフ、ザボロジェ、ドニエプル川、キエフといった我々にはお馴染の場所が登場する。他にはイタリア戦役についても触れていて、シシリー島攻防戦やグスタフラインを巡る戦い等が紹介されている。
文章が平易で読みやすく、単なる戦車戦の読み物としてだけではなく、当時の大まかな戦況を知る事ができる点も評価したい。難点を上げれば、やや値段が高いこと。内容が全般に薄く資料性は乏しいことである。

お奨め度★★★


作品紹介

「入札級関ヶ原」について詳しくは-->こちら

今回紹介する「入札級関ヶ原」は、ゲームジャーナル誌32号(以下「GJ#32」)にて紹介されている関ヶ原合戦ゲームです。GJ#32は関ヶ原特集で、本作の他、かつて紹介した「関ヶ原大作戦」がセットになっています。「関ヶ原大作戦」が濃尾平野から畿内地方一帯の広大な地域における関ヶ原の合戦を描くのに対し、本作は焦点を関ヶ原盆地一帯に絞り、慶長5年9月15日における関ヶ原の合戦を描きます。

関ヶ原盆地の戦いといえば、かつてツクダホビーが出版していた「激闘関ヶ原」やゲームジャーナル誌の「ストームオーバー関ヶ原」等の作品がありました。これらの作品では、合戦当日における小早川秀秋軍勢や毛利、吉川勢の動向について興味深いアプローチがありました。
「激闘関ヶ原」では、ダイス判定によって小早川秀秋や毛利、吉川勢の動向を決めています。ダイス目如何では小早川秀秋が当初の予定通り西軍の一翼を担って徳川家康と激闘を交える場合もありえる訳です。
一方「ストームオーバー関ヶ原」では、毛利の傍観や小早川の裏切りを予め「決まっていたこと」とし、歴史通りの状況下で両軍プレイヤーは戦術的な優勢を得るべく戦うことになります。

今回の「入札級関ヶ原」では、両軍の置かれた戦略的状況を面白い方法で表現しています。
まずプレイに先立って両軍プレイヤーは「宰相殿の空弁当」「小早川秀秋の裏切り」「威嚇射撃」といった歴史的なイベントに対して密かに「入札」を行います。そして盤上では通常の合戦級ゲームが繰り広げられていくのですが、ゲームの進行に従って歴史的なイベントを開示することができるようになります。例えば「小早川秀秋の裏切り」はゲーム中盤の一番大きな山場なのですが、条件を満たすと東軍プレイヤーは「小早川の裏切り」を発動し、そのイベントに投入した入札ポイントを公開します。西軍プレイヤーは自らが同じイベントに投入していた入札ポイントと東軍が公開した入札ポイントを比較し、もし後者が前者を上回っていた場合、イベントが実際に発動される(つまり小早川秀秋が裏切る)ことになります。

このシステムの興味深い点は、両軍プレイヤーの入札状況によって盤面で多彩な展開が見られることです。ひょっとしたら歴史通りに宰相殿は空弁当を広げ、金吾中納言は裏切るかもしれない。あるいはひょっとしたら立花宗茂隊が獅子奮迅の働きを見せて家康を討ち取るかもしれない。あるいは毛利勢が背後から殺到してくるかもしれない等等。
固定的な展開になり勝ちな合戦級関ヶ原作品ですが、入札という概念を用いてプレイバリエーションを広げたその手法は高く評価してしかるべきだと思います。

肝心のルールは非常に簡単です。ZOC強制停止、ZOCtoZOC禁止、メイアタック、比率式、ステップロス、常時スタック制限適用等でしょう。気をつけなければならない所は常時スタック制限で、これは後退時にも適用されるので、下手に兵力を密集させると、後退制限に引っかかって多大な出血を強いられることもあります。

ゲーム展開

それでは実際のプレイを見てみましょう。このゲームは入札という特殊なルールを採用しているため、ソロプレイがやや困難な側面があります。その点を考慮してソロプレイ専用ルールも一応用意されていますが、今回はオリジナルのソロプレイルールを試してみました。

セットアップ

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上図の通り概ね史実通りに両軍が配置されています。

第1ターン(午前8時)

イメージ 7このターン、東軍は「京極高次の調略」「井伊直政の抜け駆け」「西軍前面への牽制」という3つの調略を実行する。しかし成功したのは「井伊直政の抜け駆け」のみ。特に「京極高次の調略」の失敗により西軍立花宗茂隊2ユニットが戦場に到着した。立花隊は駒数こそ少ないものの、7-7(戦闘力-移動力、以下同じ)はいずれも一騎当千。立花隊は戦線右翼の大谷隊のさらに右翼に展開し、福島、田中、藤堂、京極らに対峙する。
東軍は前衛部隊が動く。黒田、細川、加藤らの東軍右翼は、石田、小西の各隊と交戦。田中、福島、藤堂らの各隊は宇喜多、大谷、立花といった西軍南翼と接敵する。そんな中、井伊直政、松平忠吉ら、徳川諸隊は抜け駆けで戦場を疾駆する。

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第2ターン(午前9時)

イメージ 6このターンの調略は「威嚇射撃」「島津義弘参戦拒否」「国崩しの故障」の3つ。そのうち成功したのは「国崩しの故障」のみ。「国崩し」とは大筒(大砲)のことである。もしこれが健在ならば西軍石田隊の防御力はかなり強力になるのだが、早期にこれを使用不能にしたのは東軍にとっては意味のあることであった。しかしその他の調略は失敗。史実では積極的な活動のなかった島津隊が、早くも戦線に登場してきた。
このターン、福島隊の前面で動きがあった。突出してきた福島正則に対し、宇喜多、大谷、立花隊が反撃に転じた。突出し過ぎた福島正則は討ち取られ、さらにその後方にいた京極高知も討ち取られてしまった。東軍の左翼に危機が迫る。

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第3ターン(午前10時)

イメージ 8このターン、東軍は吉川広家を寝返らせることに成功した。これにより南宮山方面の西軍部隊は、その行動を大きく制約されることになった。
戦線正面では西軍の突破が続く。立花、大谷隊が東軍左翼を突破した。

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第4ターン(午前11時)

イメージ 9東軍は南宮山の毛利隊に調略を仕掛けるが失敗。毛利隊が遂に動き出した。しかし前方に友軍であるはずの吉川広家が陣取っているため毛利隊は大きく動けない。勢い吉川隊を避けるように行軍するしかなく、その行軍速度は大きく殺がれた。東軍は進撃を開始した毛利隊を阻止するため、池田、浅野、山内各隊を毛利隊に向かわせた。
西部戦線では東軍が左翼を梨木川の線まで後退させ、西軍の進撃に備える。また東軍右翼では、黒田長政、細川忠興、井伊直政各隊が西軍石田隊に猛攻を加え、これに大損害を与えた。

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第5ターン(午後12時)

イメージ 10このターン、東軍は松尾山に陣取る西軍諸将に対して調略を仕掛けることが可能になる。しかし東軍はこのターン様子見を決め込む。
南宮山では西軍毛利隊と東軍池田隊、浅野隊が山中で交戦する。兵力に勝る毛利隊だが、狭隘な地形と戦意の低さが災いし、兵力に劣る東軍を撃破することができない。
西部戦線では黒田、細川、井伊の各隊による猛攻が続き、石田隊はさらに損害を増やしていった。

第6ターン(午後1時)

イメージ 11東軍は満を持して小早川隊に調略を行う。成功。小早川秀秋は史実通り東軍に寝返った。さらに朽木、脇坂、赤座、小川の各隊も小早川隊に呼応して東軍に内応する。
松尾山を駆け下りる小早川隊は、西軍右翼に殺到する。西軍の大谷、立花の各隊は背後から小早川隊の猛攻を受けることになった。大谷刑部吉継は討死。立花宗茂は辛くも包囲を逃れた。

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第7ターン~11ターン

小早川秀秋の寝返りは戦局を決定付けた。兵力で大差がついた西部戦線では、西軍の諸将が次々と討ち取られていった。石田三成、島左近、小西行長、大谷吉継が次々と討ち取られていった。結局夕刻まで生き残ったのは、宇喜多秀家、島津義弘、立花宗茂、他1ユニットの計4ユニットに過ぎなかった。
一方東部戦線では、南宮山を降りてきた毛利、安国寺、長宗我部の各隊に対し、池田、浅野、山内の各隊が守りを固める。兵力で勝る西軍毛利勢は、しかし狭隘な地形を利用して待ち構える池田ら東軍部隊に苦戦を強いられた。大きな損害を被りながらもようやく戦線を突破した毛利勢前面に、松尾山から東上してきた小早川勢が新しい防衛線を築いた。
結局毛利勢は小早川勢を突破することなく夕刻を迎えた。

結果

 東軍:土地の占領=20点、武将の討ち取り=17点、合計=37点
 西軍:土地の占領= 0点、武将の討ち取り= 6点、合計= 6点
上記に計略に投入した点(東軍=50点、西軍=39点)を加えると、20点差で東軍の勝利。(史実通り)

感想

基本的には移動、戦闘を繰り返すオーソドックスなゲームです。やや異質なのは移動中にもスタック制限を適用されることですが、それほど難しくはありません。プレイ時間は3~4時間といった所でしょうか。
本ゲームの特徴である入札制度ですが、簡単なルールで関ヶ原合戦のバリエーションを楽しもうとするアイデアは評価できます。ただ前回の対人戦で感じた通り、バランス面でやや問題があるように感じました。裏切りの結果如何に関わらず東軍優位が動かないように思います。無論、プレイ数回の我々が本作のバランス云々するのもおこがましいようかも知れません。何か新しい発見があれば面白いのですが・・・・。

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