もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2012年02月

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最強戦車対決

斎木伸生著 アリアドネ企画

「PANZER」誌で不定期連載されていた対決シリーズの中から、いくつかを選んで再構成した著作である。対決シリーズとは、最強戦車対決というタイトルながら、別に最強戦車ばかりを集めてきた訳ではなく、古今東西の戦車を2種類リングに上がらせて、対決させてみたら、という企画である。「ティーガー2 vs M26パーシング」とか「T-34/85 vs ファイアフライ」ぐらいならまだしも、パンターF型とかセンチュリオンとか五式中戦車とかE75とかいったあたりが出てくると、「ちょっとなあ・・・」という気持ちになってしまう。
お話としては面白く、それなりに楽しめたが、200ページ弱のボリューム(1~2時間で読み終える)で\2,200+税というのは、費用対効果の面でいただけない。

お奨め度★★

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「ドイツ装甲師団長」はアドテククノスが1984年に発売した箱入りゲームです。
タイトル通り師団長の役割を演じるゲームで、1ユニットが中隊規模、1Turnが6時間、1Hexが750mに相当します。
本作の特徴的なのはそのスケールで、中隊規模、750mというスケールは、作戦級と戦術級のほぼ中間に相当する部分といえます。図らずも最近評価の高まっているGrand Tactical Seriesとほぼ同程度のスケールです。

この度、この「ドイツ装甲師団長」を試してみることにしました。練習シナリオが面白くないことは明らかなので、シナリオ4「スパルタン」を選びました。これは1943年東部戦線におけるドイツ第25装甲師団とソ連第4戦車軍団との戦いを描いたものです。ドイツ軍は装甲師団といっても名ばかりで、戦車兵力は僅かに4個中隊のみ。残りは全て歩兵兵力です。対するソ連軍は戦車としてT34/76が9個中隊の他、対戦車自走砲扱いのSU85が3個中隊登場します。装甲兵力ではソ連側が3倍優越していますが、個々の性能ではドイツ軍が上。果たして両者の対決や如何に・・・。

序盤(1~3Turn)

作戦戦術級は難しい。というのも、戦線張るには駒数が少なく、かといって戦線について無頓着ならあっという間に包囲されてしまう。戦線に拘泥せず、かといって無頓着でもなく、戦線らしきものを張っていく必要があるのだが、この辺り経験が必要なのかもしれない。
ともあれ、何度かの試行錯誤の後、ソ連軍のセットアップが決まった。盤の中央付近に弧を描くように布陣する。この意味は交通の要域たる道路を囲むように布陣しつつドイツ軍の進撃方向(盤の上から侵入してくる)に対して柔軟に対応できるようにだ。司令部とその周辺には強力なSU85自走対戦車砲の部隊が睨みを利かせる。その周囲をT34/76と歩兵のスタックがぐるりと取り囲む。この布陣ならドイツ軍がどこから来ても対処可能だ。

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対するドイツ軍はソ連軍の右翼を突くような形で進撃してきた。ドイツ軍の勝利条件は街ヘクスの占拠である。ソ連軍戦線右翼付近に大きな街があるので、まずはこの街を押さえておこうという算段だ。歩兵中心のドイツ軍は偵察部隊や工兵部隊を伴って街に入っていく。その後方では戦線を張るような形で歩兵と対戦車砲が布陣する。
ドイツ軍の進攻を前にしてソ連軍は戦車部隊を集中。ドイツ軍の先鋒を叩こうとするが、ドイツ軍の果敢な抵抗に遭い、前進が捗らない。

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中盤(4~7Turn)

第4Turnにようやくドイツ軍の増援が到着する。ティーガー重戦車の1個中隊、パンター戦車の1個中隊、4号戦車の2個中隊、そして105mm砲の中隊だ。これらの部隊が投入されればソ連軍にとってはチャンスがない。このTURNが最後のチャンスとばかりソ連軍は攻め立てる。その攻撃が功を奏したのか、ソ連軍の攻撃は成功した。1-1の比率で行った正面攻撃で"5"の目を出し、ドイツ軍2個中隊を撃破。さらに戦車が突進してその敵を包囲。SU85自走対戦車砲もかけつけて5-1の包囲攻撃。これにはたまらずドイツ軍の2個中隊は壊滅。さらに他の2個中隊も包囲下におき、ようやくソ連軍にとって光明が見えてきた。

しかしその直後にドイツ戦車部隊の猛攻が始まる。戦線西翼で独ソの戦車同士が激しくぶつかる。一度はドイツ戦車の猛攻を防いだソ連軍戦車だったが、自らの攻撃が裏目に出てT-34/76 2個中隊、歩兵1個中隊を失った。自らの右翼を突破されたソ連軍は延翼運動を諦めてドイツ軍に対して馬蹄形の布陣を敷いた。

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中盤(8~10Turn)

ソ連軍の増援部隊が現れる。歩兵9個中隊を主力とする非機械化部隊だ。増援部隊はドイツ軍左翼の偵察中隊と交戦に入る。ドイツ軍は砲兵支援に期待を持っていたのでソ連軍の反撃を左程気にしていなかったが、ソ連軍もさるもの。歩兵による直接攻撃ではなく砲兵による制圧射撃でドイツ軍偵察部隊の排除にかかってきたのだ。通常戦闘なら防御砲兵支援によってオッズを1-2以下にして攻撃側に大出血をさせることもできたが、砲兵のみによる制圧射撃に対しては防御砲兵支援も効かない。第9Turnの砲撃でドイツ軍偵察中隊が1個吹き飛び、続く第10Turnにも偵察中隊が吹き飛んだ。慌てたドイツ軍はティーガー、パンターの中隊をドイツ軍左翼に派遣し敵の反撃に備える。

結局ゲーム終了時にはドイツ軍は街ヘクス4個を支配した。しかし失ったユニット数も4個に達した。VP的には差し引きゼロで引き分けとなった。

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感想

シークエンスがやや特殊なことや、マップの広さに比して少なめのユニット等、最初は「何をやっていいのか」迷います。流動型の戦闘結果表なので出来るだけ包囲を狙いたい所なのですが、翼端包囲を狙って延翼運動を行うと中央部が薄くなり、そこを抜かれて中央部から包囲されてしまう。その辺りのバランス感覚が難しいです。
ルール的には特に難しくはなく、インストして1~2回プレイすればマスターできます。プレイ時間も短めで、1Turnの所要時間は10~20分程度。今回のシナリオは計10Turnですが、3時間もあればプレイできるでしょう。

CRTが比率式でやや大味なことや兵科マークのユニット等、全般に地味なことは否めません。しかし全体的なバランスは比較的良好で、コンポーネントさえなんとかすれば、現在でも十分通用する内容だと思います。今度某ゲーム誌から再販されるようですが、できることならコンポーネント以外は手を加えず、現状のままで出版した方が良いように思いました。

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連合艦隊の栄光

伊藤正徳 光人社NF文庫

「連合艦隊の最後」の姉妹編に当たる著作である。「連合艦隊の最後」が全般的に負け戦の連続(主な海戦がミッドウェー、マリアナ、レイテであれば止むを得ないが・・・)であったのに対する反動かどうかは知らないが、日本海軍が勝った戦いを紹介している。取り上げている海戦は第1次ソロモン海戦(世界名サボ島沖夜戦)、南太平洋海戦(サンタクルズ海戦)、ルンガ沖夜戦(タサファロング海戦)の3つである。またこれらの海戦に付随する形で第2次ソロモン海戦、第3次ソロモン海戦についても触れており、ガダルカナル周辺での海戦はかなりの部分を網羅している。「連合艦隊の最後」ではソロモン海戦があまり深く触れられていなかったので、その点は有難い。
古い作品なので例によって事実認定の甘さが目立つが、それでもソロモン方面の海戦では米モリソン戦史の内容をかなり参照しているようで、決定的な事実誤認はそれほど多くない。ただ駆逐艦「雪風」の戦記はかなり事実認定に甘さがあり、注意が必要である(一番酷い例は護衛空母「セントロー」が駆逐艦の雷撃によって撃沈されたという件。「セントロー」が特攻攻撃によって撃沈されたことはほぼ周知の事実であり、かつて中学生であった私でさえこの記述には違和感を覚えた)。
まあ揚げ足取りはやめよう。本書の価値は「連合艦隊の最後」では十分に描ききれなかった海戦シーンのディテールを読者に紹介したこと。また現在では当たり前になっている酸素魚雷や重雷装艦を世に広く知らしめたといったあたりにあるのだろう。「今でもその価値を減じていない」と書けば流石に褒めすぎであるが、それでも読み物としての面白さは現在でも健在である。

お奨め度★★★★

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最近、購入するペースが過激になっているのですが、またまた1つ買ってしまいました。
それが"Where Eagles Dare"です。
本作は大変評価の高い"Grand Tactical Series(GTS)"シリーズの1作品です。本作品の第1作品である"The Devil's Cauldron"は、Board Game Geekで8.16点の高評価を得ており、BGGでのWarGame分野で第27位にランキングされています。--->こちら

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イメージ 4$160.00(USD)という高価なゲームで、ビックゲームに相応しい大箱でした。
フルサイズマップが5枚、ユニットシート11枚で、2000個近いユニットが含まれています。

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イメージ 5ルールブックは英文36ページ(標準)+37ページ(個別)の計73ページ。フルカラーで読みやすい形式になっていますが、さすがにルール量は多いです。
標準ルールを見ると、手順、天候、航空支援及び砲兵支援、フォーメーション、増援、移動、射撃戦闘、機会射撃、突撃、戦闘結果、回復、指揮統制、防御施設、塹壕等のルールがあります。1Turnは2時間(夜間は12時間)、1ユニットは中隊規模、1Hexは約500mを表します。
なかなか手怖い作品ですが、なんとかマスターしてみます。

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連合艦隊の最後

伊藤正徳 光人社NF文庫

日本海軍連合艦隊の太平洋戦争における戦いを描いたノンフィクションである。最初に出版されたのが昭和30年代と古いため、事実認定にやや甘さがあるのは否めない。また全体的に「日本海軍びいき」である色合いが強く、そのこともその点も本書における事実認定に甘さを生み出している。
全般的に読みやすく、また読んでいて飽きない文体であり、かつ太平洋戦争における海戦を網羅的に描いているという点では貴重な著作といえる。また太平洋戦記の草分け的存在としても貴重であり、戦史研究における歴史的な意義は小さくない。ただし事実関係を厳密に追いかける場合、本書に記述を鵜呑みにしない方が無難である。何分にも古い本なのだから。

お奨め度★★★

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