「ソロモン夜襲戦」とは、私が自作した水上戦闘ゲームです。テーマは太平洋戦争で、タイトル通りソロモン海域における夜間戦闘がメインテーマです。1Turnが5分、1Hexが1.5kmに相当し、TurnスケールはHobby/Japanの「IJN/Fleet Battles」に概ね拮抗し、Hexスケールは1.5倍の大きさとなっています。
今年の初めにシナリオ1~6までのテストプレイの結果について紹介致しました。そこで今回はその先のシナリオをテストしてみることにしました。今回も対戦相手は海戦ゲームに造詣の深いsさんです。sさん、宜しくお願いします。
前回までの展開-->こちら
ブーゲンビル島沖海戦
1943年11月、久しぶりに日本重巡が登場する。「妙高」「羽黒」。いずれも歴戦の精鋭だ。対する米軍は最新鋭のクリーブランド級大型軽巡4隻でこれに対抗する。この戦いは軽巡1、駆逐艦1を失った日本艦隊の敗北に終わった。米軍のレーダー射撃がその有効距離を増してきたため、自慢の雷撃戦能力が封じられた形となった訳だ。しかし米軍の砲撃は相変わらずの拙劣(命中率1%以下)で、日本艦隊の方が命中率では遥かに勝っていた。従ってもし日本側重巡が米軽巡を連続射撃するチャンスに恵まれれば、砲戦力で圧倒する事も必ずしも不可能ではなかったと思われる。今回は日本軍を担当した。米軽巡部隊を雷撃距離内に持ち込めれば勝機も期待できたが、多分敵もそれは警戒してくるだろう。そこでそれを逆手にとり、酸素魚雷の中遠距離雷撃で敵軽巡を脅して距離を離隔、中遠距離からの砲撃は重巡部隊が吸収(中距離砲撃の場合、6インチ砲では重巡のバイタルパートを射抜けない)。その間接近してくるであろう敵駆逐艦隊を我が重巡部隊の優勢な砲火で撃破する、というプランを立てた。
結果は、・・・・惨敗。
プラン通り相手の軽巡部隊を牽制したまでは良かったが、2隊からなる敵駆逐艦隊に見事なまでの金床戦術を許してしまい、敵駆逐艦の放った魚雷1本が「羽黒」に命中した(それでも1本しか当たらない所が米軍らしい所)。ところがこの1本が悪いことに「羽黒」の致命傷となり「羽黒」轟沈。よほど当たり所が悪かったのだろうか・・・。この損害によって米軍は勝利条件を満たして勝利。くぅー、と嘆いても後の祭りであった。「羽黒」以外では、第3水雷戦隊の軽巡「川内」が中破。駆逐艦3隻が小破である。軽艦艇の損害が比較的小さかっただけに「羽黒」へのラッキーヒットは悔やまれる。
こちらの戦果は駆逐艦3隻を大中破。A・バーグの第45駆逐隊はバーグの旗艦である「チャールズ・オズバーン」を除いて全て大中破せしめた。中には酸素魚雷を食らった艦もあったが、驚くべきことに沈没艦はなし。フレッチャー級駆逐艦の強靭さに舌を巻く日本軍であった。
こちらの戦果は駆逐艦3隻を大中破。A・バーグの第45駆逐隊はバーグの旗艦である「チャールズ・オズバーン」を除いて全て大中破せしめた。中には酸素魚雷を食らった艦もあったが、驚くべきことに沈没艦はなし。フレッチャー級駆逐艦の強靭さに舌を巻く日本軍であった。
このシナリオ、日本軍の指揮値が低すぎてあまりに悲しい。史実通りと言えばその通りなのだが、あんまりなので指揮値を+1することにしよう(それでも米軍よりも1少ない)。
下の写真は2隊の米駆逐隊に挟まれた日本軍第5戦隊と第10戦隊。手間に「小破」の文字が見えるのは、先制砲撃を受けて撤退中の日本第3水雷戦隊
敵情不明
このシナリオはガダルカナル近海の遭遇戦を扱った仮想戦で、両軍共ランダムに戦力を決定し、戦うシナリオである。ちなみに日本軍の戦力は完全にランダムで、1/6の可能性で「大和」が登場してくる。一方の米軍は出目によっては戦力を選択できる可能性がある。今回米軍を担当した下名は運良く選択可能な出目を得たので、最新鋭のレーダーを装備したこれまた最新鋭戦艦「インディア」と、防空軽巡2隻、駆逐艦8隻で艦隊を編成した。これなら「大和」が出てきても有効射程距離でアウトレンジできるし、それ以外なら砲力でも圧倒出来よう。私は勝利を確信した。
果たせるかな日本軍の戦力は、戦艦なしの警戒部隊。重巡4、軽巡1、駆逐艦8の快速部隊である。
「ふふふ。圧倒的じゃないか、我が軍は・・・」
どこかで聞いたようなセリフを口走りつつイソイソとセットアップ。戦艦を中心に両翼を駆逐艦を配置するという布陣だ。あまり深く考えなかったが、この配置が後で致命傷ニなることに・・・。
距離約2万メートルに日本艦隊の姿をレーダーで捉えた「インディア」は早くも全力射撃。
「この距離から撃ってくるとは・・・」
驚愕する日本軍プレイヤーを尻目に「インディアナ」は初弾から夾又弾を得。重巡「羽黒」に2弾を命中させて早くも「羽黒」を列外に退けた。
「幸先良し」
新鋭戦艦の威力に満足する米軍プレイヤー。しかしその直後に悲劇が待っていた。
「この距離から撃ってくるとは・・・」
驚愕する日本軍プレイヤーを尻目に「インディアナ」は初弾から夾又弾を得。重巡「羽黒」に2弾を命中させて早くも「羽黒」を列外に退けた。
「幸先良し」
新鋭戦艦の威力に満足する米軍プレイヤー。しかしその直後に悲劇が待っていた。
新鋭戦艦の奮戦を尻目に日本艦隊に接近する米水雷戦隊。しかし不用意に日本艦隊に接近したのがいけなかった。恐怖の酸素魚雷が米艦隊に殺到する。新鋭の防空軽巡「ジュノー」が早速雷撃を受けて大破。サリバン兄弟の運命や如何に・・・。さらに駆逐艦3隻が立て続けの砲雷撃を受けて大中破。日本重巡は戦艦を無視して専ら駆逐艦を狙って来る。この損害で指揮値が2点減ったのが痛かった。対する「インディアナ」。こちらも負けじと軽巡「長良」を狙って連続砲撃。「長良」が中破すれば日本側の指揮値が1点下がる所を、こういう時に限って「長良」がギリギリで持ちこたえたりする。そんなアホな、と、思いつつ今度は目標を厄介な日本重巡に変更。「熊野」に16インチ砲弾3発以上を命中させて大破せしめたが、こちらも撃沈には至らず。
「ダメだ、徹甲弾では重巡の薄い装甲を撃ち抜いても爆発しない」
か、どうかは知りませんが、どうも戦艦の巨弾は重巡相手に手こずっている感がある。
そうこうしている間に今度は生き残った防空軽巡「アトランタ」に日本重巡の放った8インチ砲弾2発が命中。
「たかが2発ぐらい」
と思っていたら、なんとその1発があろうことか「アトランタ」の機関部で爆発。「アトランタ」の速度は一気に10ノットに低下してしまう。
「これでは日本魚雷の餌食ではないか・・・」
と思っていたら、案の定、酸素魚雷を食らってこちらはお陀仏。
気が付いたら、新鋭戦艦を除く米側の護衛スクリーンの殆どが沈没又は損傷してしまって護衛スクリーンの用をなさず。指揮値も1点にまで落ち込んでしまい、自慢の新鋭戦艦もなんともはや。
「すいません、負けました」
この時点で敗北を認めざるを得ない米軍プレイヤーなのであった。
「ダメだ、徹甲弾では重巡の薄い装甲を撃ち抜いても爆発しない」
か、どうかは知りませんが、どうも戦艦の巨弾は重巡相手に手こずっている感がある。
そうこうしている間に今度は生き残った防空軽巡「アトランタ」に日本重巡の放った8インチ砲弾2発が命中。
「たかが2発ぐらい」
と思っていたら、なんとその1発があろうことか「アトランタ」の機関部で爆発。「アトランタ」の速度は一気に10ノットに低下してしまう。
「これでは日本魚雷の餌食ではないか・・・」
と思っていたら、案の定、酸素魚雷を食らってこちらはお陀仏。
気が付いたら、新鋭戦艦を除く米側の護衛スクリーンの殆どが沈没又は損傷してしまって護衛スクリーンの用をなさず。指揮値も1点にまで落ち込んでしまい、自慢の新鋭戦艦もなんともはや。
「すいません、負けました」
この時点で敗北を認めざるを得ない米軍プレイヤーなのであった。
このシナリオ。初期配置時の両軍の距離が遠すぎると言う指摘を対戦相手氏から受け、下名もそのように感じていたのだが、帰宅後に特別ルールの適用を失念していたことが発覚。それによれば、両軍とも初期配置した後にダイスを振り、ダイス目に等しいヘクス数だけ相手艦隊に近づくよう平行移動を行うとなっている。このルールを適用した上で、本シナリオは再戦してみたいと思う。
全般
プレイ時間は7~8時間ぐらい。シナリオを7本まとめてプレイできたので、1シナリオあたりの平均時間は約1時間であった。実際には間にブレイクタイムを挟んでいるので、実質的なプレイ時間はもっと減ると思う。デザイナー的には満足できる数値だ。シナリオに関する個々の修正点については本文中に触れたので、それ以外の点について触れてみたい。
まずVPトラックが欲しいと思った。数値を覚えておくのは一々面倒である。それに合わせて個艦のPV(価値ポイント)ももう少し小さくしても良いかな。現状では個々の駆逐艦で差をつけているが、駆逐艦クラスの個艦性能は誤差の範囲とし、例えば駆逐艦は一律PV=1、巡洋艦は2~3(一部例外あり)、戦艦は4~10ぐらいにすれば、プレイ中の計算も楽になるだろう。
まずVPトラックが欲しいと思った。数値を覚えておくのは一々面倒である。それに合わせて個艦のPV(価値ポイント)ももう少し小さくしても良いかな。現状では個々の駆逐艦で差をつけているが、駆逐艦クラスの個艦性能は誤差の範囲とし、例えば駆逐艦は一律PV=1、巡洋艦は2~3(一部例外あり)、戦艦は4~10ぐらいにすれば、プレイ中の計算も楽になるだろう。
それから今回プレイしなかったが、キャンペーンシナリオについて負けた側の救済措置を設けた方が良いと思った。通常のシナリオでは、大体大勢が見えた時点で「じゃ、この辺りで」とお開きにするのが通例であるが、キャンペーンではそうはいかない。それはそれでシミュレーションとして正しいとも言えるのだが、海戦に負けて潰走する敵艦隊を追いかけて全滅させるという行為は両プレイヤーにとって精神衛生上あまり宜しくない。また実際の海戦でも、特に夜戦では敵を全滅させるまで追いかけるというのは殆ど稀で、大体は「こんなもんでしょ」的な感じで勝った側も適当な所で矛を収めている。
そこでキャンペーンシナリオの各戦闘で以下のルールを導入してみたい。
「いずれかのプレイヤーの指揮値が2以下になった時点で、どちらかのプレイヤーは戦闘終了を宣言できる。戦闘終了が宣言されれば、そのTurnの終了時点で戦闘が終了する」
そこでキャンペーンシナリオの各戦闘で以下のルールを導入してみたい。
「いずれかのプレイヤーの指揮値が2以下になった時点で、どちらかのプレイヤーは戦闘終了を宣言できる。戦闘終了が宣言されれば、そのTurnの終了時点で戦闘が終了する」
最後になるが、今回のテストプレイにご参加いただき、様々に御助言頂いた対戦相手のsさんには心よりお礼を申し上げたい。