このブログで何度か紹介している現在戦車戦ゲームMBT(以下、本作)は、1980年代後半における戦術レベルでの陸上戦闘を再現するシミュレーション・ゲームだ。1Hex=100m、1ユニット=1両、1機、1分隊/班のスケールで1987年西ドイツにおける東西両陣営の通常戦闘を再現する。
この度、本作について複数のプレイヤ―が参加する多人数プレイの機会を得たのでその記録を紹介する。
シナリオ1:First Clash Pt.1

勝利条件は敵ユニットの撃破とマップ中央部の渡河点確保。両方とも盤端から進入するので、早い者勝ちだ。米ソ2名ずつで担当し、下名は米軍を担当する。ルールは上級ルールまでとし、選択ルールは採用しなかった。
結果は悲惨なものであった。隠蔽地形を利用して巧みに接近するソ連軍に対し、平地を無防備な状態で進んでいた我がM60A3は十字砲火に晒されてしまう。これが新型のM1エイブラムスなら装甲の厚さで耐えることもできたかもしれないが、旧式のM60A3では抵抗にムリがあった。敵T-72BVが放つ125mm徹甲弾が、M60A3の脆弱な装甲をまるで紙のように貫いていく。M60A3の高い車高も悲劇に拍車をかけた。


僅か2Turnの射撃戦によって7両ものM60A3が撃破されてしまう。反撃によって3両のT-72BVを撃破したが、抵抗もそこまで。
「ま、練習戦はこんなものでしょう」
という一言によって、「ザ・ビッグ・レッド・ワン」を見舞った悲劇はお開きとなった。
シナリオ7:Head-to-Head

とソ連軍第57親衛自動車化歩兵師団の遭遇戦を描いたシナリオである。登場兵力は両軍とも戦車1個中隊、機械化歩兵/自動車化歩兵1個中隊、その他支援部隊である。米軍の戦力は、M1エイブラムス主力戦車14両、M113A2兵員輸送車14両(+乗車歩兵)、自走迫撃砲+盤外砲兵1個中隊。ソ連軍は、T-80BV主力戦車14両、BTR-70兵員輸送車16両、盤外砲兵2個中隊。兵力はほぼ互角だが、戦車性能では新型のM1エイブラムスを装備する米軍が勝っている。このM1エイブラムスは、湾岸戦争等で活躍したM1A1のオリジナルとなったモデルである。M1A1が120mm滑腔砲を装備しているのに対し、この無印M1は105mmライフル砲をその主砲としている。これは旧式のM60と同じものだ。従って火力では最新型には敵わない。ただし装甲防御は(M1A1にこそ及ばないものの)かなり強力で、少なくとも今回対峙するソ連軍のT-80BV主力戦車よりは勝っている。

勝利条件は、敵ユニットの撃破に加えて、マップ中央付近に位置している2つの村落を支配すること。両方とも盤端から進入するので、早い者勝ちだ。米ソ2名ずつで担当し、下名は米軍を担当する。ルールは上級ルールまでとし、選択ルールは採用しなかった。
このシナリオは遭遇戦タイプなので、両軍ともマップ端から進入する。最初は両軍共遭遇がないので、ひたすら勝利条件ヘクスに向けて前進する。

第4Turn、米重戦車中隊に所属するM1エイブラムス約10両が、距離約2000mでソ連軍戦車中隊を捉えた。遮蔽地形を利用するソ連軍戦車であったが、エイブラムスからの射撃は精確を極め、ソ連戦車4両を撃破、1両の砲塔を損傷せしめた。







さらにソ連軍にとって災厄は続く。米軍盤外砲兵がソ連軍自動車化歩兵中隊を捉えた。T-80BVの1個小隊とBTR-70の1個小隊が弾幕射撃によって捕捉された。1両のBTR-70が直撃弾を受けて炎上する。重装甲のT-80BVはさすがに撃破こそされなかったものの、1両が履帯を切られて行動不能になり、他の2両は砲撃によるショックによって制圧状態になってしまう。

この段階で兵力の半数近くを損失し、勝ち目がないと判断したソ連軍プレイヤーは、以下の述懐を発して投了を宣言した。
「主力戦車の性能差がありすぎる・・・・」
