ソロモンに散った聯合艦隊参謀
高橋博視 芙蓉書房出版
1943年4月18日、聯合艦隊司令長官山本五十六と共にブーゲンビル島で散った樋端久利雄(といばな くりお)。本書は彼の半生とその最期を記した著作である。「昭和の秋山真之」「帝国海軍の至宝」と言われた樋端だが、その活躍期間は短く、その最期はあまりも早かった。樋端が聯合艦隊参謀を命ぜられたのは1942年11月20日。その時期ガダルカナルでは第3次ソロモン海戦が日本側の敗北に終わり、ガダルカナルの戦局は日本側の劣勢が明らかとなっていた。そのような時期に聯合艦隊参謀の任に赴いた樋端にとって活躍の機会は殆ど無かったと言って良い。本書を読んでも樋端という男が類い希な頭脳を持った逸材であることは理解できるが、軍人として有能かどうかは今ひとつ見えてこない。伝説として扱うにはその活躍の機会があまりも乏しかった人物、といったら言い過ぎだろうか。お奨め度★★★