もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2019年07月

3
Israeli F-4 Phantom 2 Ace Sholomo Aloni Osprey Publishing
イスラエル空軍のF-4Eファントム。イスラエル空軍ではクルナス(Kurnass)と呼ぶ。本書では、クルナスの主に空対空戦闘での実績に着目し、消耗戦争から第4次中東戦争、そしてレバノン紛争での実績について淡々と記載されている。本書によれば、クルナスの空対空戦闘における戦果・損害比は撃墜116.5機に対して損失6機となり、19-1以上の高比率となる。しかし例えば第4次中東戦争でのクルナスの空対空戦闘における戦果・損害が85:5(17-1)だったのに対し、ミラージュ部隊は211:11(19-1)で、必ずしもクルナスがミラージュに優越していた訳ではない。さらに地上砲火その他によるクルナスの損害は39機に達しており、その苦戦の跡が伺える。
英語の書籍だが、ボリュームが少ないので比較的短時間で読める著作だ。

お奨め度★★★

190519

秋のゲームマーケットに向けて鋭意準備中の水上戦ゲーム「ソロモン夜襲戦DX」ですが、カウンターシート案が完成しました。

写真1


当初は、シルエットの他には艦名と艦番号のみ表記の予定だったのですが、装甲厚、最大速度、さらには砲口径を追記しました。砲口径は小さいフォントなので読み取ることが難しいかもしれません。いずれにしてもデータは全てデータシートに記載されているので、カウンターの表記が読めなくてもプレイは可能です。

写真2


カウンターのサイズは12.5mm四方です。マップに合わせて少し小さめです。小さめにしたおかげで太平洋戦争に登場した日米英蘭豪の主要艦艇大半をユニット化できました。大型巡洋艦「アラスカ」「グアム」が活躍するシナリオを作ってみたいなぁ・・・。

写真3

台湾南部の高雄市は台湾第2の大都会で、高層ビルが立ち並ぶ近代的な都市の景観を持っていますが、その一方で海がすぐ近くにあり、港町でもあるので、夜景が美しい街でもあります。 今回は、そんな夜景をいくつか紹介します。

高雄85

MRT(地下鉄)三多商圏駅から徒歩5~10分ぐらいの所にある高雄で最大の高層ビルです。台北101程は有名ではなく、私が行った時にも待ち時間なく登れました。料金は250元。
上からは高雄の市街地が一望できます。大きく張り出した半島部とそれに守らるように整備されている各種港湾施設。これを見ると高雄が天然の良港であることが良く分かります。 あと、高雄市が意外と小さいこともわかります。例えばMRTやLRTを使うと乗り換え等で1時間近くかかるような場所が、徒歩だと15分ぐらいで着けるとか、自分の足で歩くと高雄の面白さがまた発見できそうな気がしました。

写真1
写真2
写真3
写真4
写真5
写真6
写真7


LRT真愛碼頭駅

高雄のLRTは大らかで、軌道上に横断用の歩行路が各所に設置されています。踏切はなく自由に横断可能ですが、列車が近づくと警笛を鳴らされます。また哈瑪星駅や前鎮之星駅等の主要駅には専用のスタッフがいて、安全を確保しています。

閑話休題。そんなLRTの駅の一つに真愛碼頭駅駅があります。これは愛河が河口から海に注ぐ場所の近くにあります。この駅から隣の光栄碼頭駅まで歩道が整備されており、LRTの軌道の両サイドを歩くことができます。ここから見る高雄の夜景は格別で、近代的な都市景観と港湾部の美しさが1つになった芸術的な光景です。この時は手元にスマホしかもっていなかったので悔やまれましたが、機会があればちゃんとしたカメラで撮ってみたいものです。

写真8
写真9
写真10
写真11


写真00


「第三帝国の盛衰」(以下、本作)は、2019年にGame Journal誌70号として発表されたシミュレーションゲームである。テーマは第2次欧州大戦。1939年9月のナチスドイツによるポーランド侵攻から1945年5月のベルリン陥落までを再現する。1Turnは実際の半年、1ユニットは軍団~軍規模の地上部隊、航空艦隊、空母又は戦艦を中心とする機動部隊を表す。マップはエリアに区分され、1国が1~3エリア程度(一部例外あり)で表されている。

システムは所謂「強襲システム」で、国力に相当する戦略カードを選択して手札を作り、手札からカードをプレイすることでゲームを進める。カードには「電撃戦」「補給」「反撃」といった一般的な作戦行動を示すカードの他、「外交交渉」「あしか作戦」「レンドリース」といった特殊なカードもある。
また本作で特徴的なカードとして「開発」カードがある。戦争開始時に両陣営ともデッキとして選択できるのは、能力が低いカードだけである。そこで「開発」カードを使うことで能力の高いカードをデッキに加えることができる。逆に「開発」カードを使わずに「電撃戦」や「補給」カードを多用すれば、その場の作戦効率は良くなる。ただし開発しなければ国力の増大と利用可能なカード枚数のバランスが取れなくなるし、弱いカードばかりでジリ貧になるのは目に見えている。従って両陣営共(特に連合軍は)開発への適度な投資は必要だろう。

本作では他の「強襲システム」の作品とは異なりイベントと戦略値による行動を同時に実行できる。戦略値の行動とは、部隊の移動、戦闘、動員の3種類がある。例えば1グループの移動に1戦略値、歩兵1ユニットの動員に1戦略値、といった具合だ。戦略値の大きなカードは、「開発」しなければ利用できない。また本作では、移動だけでは使用済にならない(航空部隊除く)。

今回、本作をソロプレイで試してみた。

1Turn(1939年冬)

GE423ドイツ軍はポーランドヘ進攻。電撃戦によりワルシャワを陥落させ、ポーランドは降伏した。 踵を返して西へ向かうドイツ軍はベルギーとフランス国境へ進入。ベルギーは航空攻撃で陥落させた。 外交戦ではイタリアが枢軸軍営として参戦し、南フランスへ進攻する。

写真01


2Turn(1940年夏)

FR323ドイツ戦車軍団が電撃戦でパリへ進攻する。パリを守る英仏連合軍は戦車と航空機を駆使したドイツ軍の攻撃を前にあえなく陥落。パリを失ったフランスはドイツに降伏する。
ルーマニアが枢軸陣営に参加した。
一方の英国は本土防衛を進める一方、中東への派遣軍を強化し、エジプトからリビアへ進攻する。
写真02


3Turn(1940年冬)

UK413FT戦略カード=6/4(枢軸/連合、以下同じ)
フランス占領によって戦略カードで枢軸軍が優位に立った。枢軸軍は来るべき独ソ戦に備えて兵力を東に向ける。その途中でユーゴスラビアを占領。ノルウェー、オランダもドイツの軍門に下った。ドイツ周辺で中立として残っているのはデンマークだけである。

ハンガリーが枢軸陣営に参加する。
連合軍はイギリス1国が単独で頑張っている。このTurn、英本国艦隊が西地中海に出撃。西地中海を遊弋しているヴィシーフランス海軍を攻撃した。兵力に勝る英海軍が勝利に終わり、ヴィシーフランス海軍は壊滅した。

写真03


4Turn(1941年夏)

SU430Mos 戦略カード=7/5
独ソ戦が始まった。ルーマニアから進攻を開始したドイツ軍は、キエフを占領しミンスク。リガを席巻する。ソ連軍はハリコフ、モスクワ、レニングラードの線まで後退し、それぞれに要塞を築いて待ち構える。

写真04


5Turn(1941年冬)

GE313UB 戦略カード=8/8
大西洋ではUボートが猛威を振るう。これによって連合軍は戦略カード3枚を一気に失う。しかし大西洋を警戒中のロイヤルネイビーがUボートの大群を捕捉し、これを一気に殲滅した。大損害を被ったUボート群は再編成を余儀なくされる。
ロシアに攻め込んだドイツ軍はレニングラードに総攻撃を仕掛けた。しかし「待ち伏せ」カードで迎え撃ったソ連軍。レニングラード前面で激戦が展開されるが、ドイツ軍はレニングラードを攻めきれなかった。 このTurn、ギリシアが連合軍側に立って参戦した。

写真05


6Turn(1942年夏)

US012AF戦略カード=8/9
遂に連合軍が戦略カードで枢軸軍を上回った。同時にアメリカが参戦した。続々と大西洋を渡ってイギリスに到達する米軍部隊。北大西洋の制海権を握った米英連合軍は、スエズ運河経由の大規模な反撃作戦を開始した。英軍によるギリシア進駐である。イタリア海軍が徘徊する中部地中海を避けてスエズ運河からエジプトに上陸した英軍部隊は、キプロス島近海を経由してギリシアに上陸した。同じく米第15航空軍もギリシア各地に展開し、ローマやルーマニアへの戦略爆撃を開始した。このTurn、ルーマニアとパリに対する戦略爆撃が成功し、枢軸軍の手持ち札が2枚減少した。
Uボートは再び北大西洋に出撃。通商破壊戦を試みたが、北大西洋を航行するロイヤルネイビーの艦船、特に空母を撃沈せんと色気を出したのが裏目に出た。攻撃は完全に失敗。米英海軍と英本土から飛び立った航空機による攻撃を受けてUボートの半数が海の藻屑と消えた。
東部戦線ではドイツ軍が再びレニングラードへ攻撃を仕掛けたが、ソ連軍の鉄壁の防御の前に突破できず。そうこうしている間にミンスク方面へソ連軍による反撃が開始された。レニングラード戦線から引き抜かれた装甲部隊がミンスクに急行。ソ連軍に痛打を与えてこれを撃退した。
写真06


7Turn(1942年冬)

GE523戦略カード=8/9
ドイツ軍は精鋭SS装甲軍団をギリシア戦線に投入してきた。質に劣る米英連合軍は苦戦を強いられ、壊滅の危機が迫った。ドイツ軍に対して牽制を仕掛けるべく、キエフ方面でソ連軍が攻勢に転じたが、ドイツ軍の堅い守りに阻まれて前進できない。米英連合軍は増援部隊をギリシアに派遣し、ギリシアの橋頭保を死守せんとする。ギリシアは米英空軍の航空基地でもあり、ルーマニアやローマに対する戦略爆撃も継続して実施中である。

写真07


と、ここまで進んだ時点で戦闘ルールの適用ミスが判明したので、一旦やり直しとした。
ルールミスの内容は戦闘時における損害適用の優先順位。防御側に航空部隊が存在する場合、使用済であっても損害適用の優先権は防御側が持つというもの。これを失念していたので強力な装甲部隊を有するドイツ軍の反撃が強烈であったが、正しいルールを適用していれば米英軍の橋頭保が簡単に潰されることもなくなる。

(つづく) 

写真99

3
Battle of the Coral Sea 
Peter Dunn Australia@War
珊瑚海海戦について調べてみたくなり、購入した著作。出版が2017年と比較的新しいにも関わらず、内容的にはそれほど目新しさはない。日本側の記録については特に不正確で、基本的なデータ(両軍の損害)についても、不正確な点が見受けられる。
このように書くと本書が全く価値のない著作のようにも思えるが、必ずしもそうではない。本書はサブタイトルが"The Battle That Saved Australia"となっており、オーストラリアの目から見た珊瑚海海戦の有様が克明に描かれている。さらに巻末の付録には、ポートモレスピーやオーストラリアから発進した米豪の
航空隊についての戦闘記録が詳細に記載されており、それだけでも本書の価値はあると言える。

お奨め度★★★

190502_珊瑚海

↑このページのトップヘ