もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2020年03月

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「White Star Rising」(以下、本作)は。Lock'n Road社が2010年に発表したシミュレーションゲームである。テーマはWW2欧州西部戦線における戦術戦闘で、1944年6月のノルマンディ上陸戦から1945年のドイツ国内戦闘までを計20本のシナリオで再現する。
本作は、Lock'n Road社が発売している"Nation at War"シリーズの1作品で、同シリーズの作品はいずれも同一システム、同一スケールとなっている。1Hexは実際の150m、1Turnは実際の5~15分間を現し、1ユニットは1個小隊(数両の車両又は数十名の歩兵)を現している。本作の詳しいシステムについては、 Game Journal誌#75(2020年6月発売予定) に掲載される予定なので、そちらを参照されたい。
今回、本作のシナリオをいくつかプレイしてみた。

前回の記事は--->こちら

Marve the Door to Bastogne - December 20th,1944

シナリオの概要

1944年12月のアルデンヌ攻勢における戦いである。バストーニュを目指すドイツ軍戦車教導師団に対して、それを阻止せんと待ち構える米コンバット・コマンドとの戦い。両軍とも戦車を中心とする部隊同士である。私は米軍を担当する。

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1Turn

このシナリオで攻撃側はドイツ軍である。ドイツ軍の目的はマップ西部にあるBUTGENBACHを占領することで、米軍はその阻止が目的になる。Turn数に制限があるので、ドイツ軍としては速やかにBUTGENBACHを占領したい。しかしこのTurn、攻撃側のドイツ軍がチットを引く前にTurnが終了した。チットドリブンの本作では、こういう事も良くある話。毎Turn確実に行動できるわけではないので、リスクを見越した行動が求められる。

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2Turn

独軍の戦車がBUTGENBACHから距離6Hexまで接近する。この6Hexは微妙な距離で、独軍のパンター戦車からは通常射程距離内になるが、米軍のシャーマン戦車からは遠距離射撃となり命中精度が落ちる。6Hexという距離を嫌った米軍は、シャーマン戦車2個小隊を前面に展開して独軍擲弾兵が乗ったハーフトラックを狙う。戦車が出撃して不在になった前進拠点には57mm対戦車砲が前進。守りを固める。この57mm対戦車砲。威力は大したことがないが、通常射程距離が6Hexと長いため、パンター戦車にアウトレンジされない。しかもパンターの主砲である長砲身75mm砲は対戦車戦闘には有力だが、対歩兵戦闘には左程でもない。そんなこんなで拠点に籠った対戦車砲は意外と敵にとって厄介な存在なのだ。

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3Turn

先のTurnに突出した米シャーマン戦車隊が独軍ハーフトラックを攻撃。これを撃破した。乗車中の擲弾兵もハーフトラックと運命を共にした。余談だが、本作の乗車・降車ルールは極めてシンプルで、機械化歩兵は表面が歩兵、裏面がハーフトラックとなっている。そして乗車や降車はユニットを裏返すことで実現している。スマートな解決方法だと思う。
先に拠点に陣取った57mm対戦車砲は、距離6Hexのドイツ軍3号突撃砲を狙ったものの、これは外れ。
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4Turn

突出しているシャーマン戦車隊だが、周囲にドイツ軍戦車が集まってきたので、袋叩きになる前に撤退を行う。その撤退中に射程距離内にいるパンター戦車に対して行進間射撃を実施。出目にも恵まれてこれをステップロスさせた。
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5Turn

イベントにより飛来したP-47戦闘爆撃機がドイツ軍のティーガー重戦車小隊を攻撃。これを撃破した。本作での航空支援は、シナリオで予め用意されている場合もあるが、イベントによって突然飛来することもある。なお、可能性は低いが、ドイツ軍の航空支援が登場することも可能性としてはある。
またもや余談になるが、本作のイベントに関する扱いを説明しよう。本作には「カオス」と呼ばれるチットが含まれており、シナリオの指示によってイベントカップに入れられる。この「カオス」チットを引いた時に「カオス表」で2D6に従ってイベントが発生する。「カオス」チットの有無や枚数はシナリオによって決められており、「カオス」を利用しないシナリオもある。また「カオス」チットが途中で消滅してしまうようなケースもある。
閑話休題。航空攻撃の一撃はドイツ軍にとって手痛いものとなった。最強のティーガー戦車を撃破されたこともさることながら、同乗していたタンクリーダー(司令部)が撃破されてしまったからである。タンクリーダーは復活可能だが、その時に能力が低下してしまう(ステップロス面になる)のは痛い。
ドイツ軍にとって悲劇はなおも続く。先の戦闘でステップロスしていたパンター戦車をタンクリーダーの乗車しているシャーマン戦車が攻撃。これを撃破していた。

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6Turn

米軍のタンクリーダーがなおも調子ぶっこいて暴れまわる。戦線右翼(米軍から見て)に残っていた3号突撃砲をタンクリーダーの指揮するシャーマン戦車が撃破した。しかし米軍の天下もそこまでだった。密かに増援で現れてきたドイツ軍の5号駆逐戦車ヤークトパンターが、タンクリーダーのシャーマンを至近距離から射撃した。88mm長砲身砲による至近射撃の威力は凄まじく、シャーマン戦車は何が起こったのか気づく間もなく残骸と化した。
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7Turn

ヤークトパンターの登場で勢いを取り戻したドイツ軍。さらにたたみかけてきた。チット引きにより先手を取ったのはドイツ軍で、ヤークトパンターの射撃を受けてまたもやシャーマン1ユニットが蒸発。こちらは新型のM4A3E8、いわゆる「イージーエイト」で、期待のサブリーダーが乗っていた。さらに別のシャーマン1ユニットがパンター戦車の射撃を受けて蒸発。別のシャーマンも1ユニットがやられて、このTurnだけで計4ユニットものシャーマン戦車が失われてしまう。しかもそのうちの2ユニットは、対戦車火力に優れ、さらにジャイロスタビライザーを装備して行進間射撃能力に優れたイージーエイトだったので、米軍の衝撃は大きかった。なんやかんや言ってもまともに撃ち合ったらシャーマンではドイツ軍の重戦車に勝てないことを改めて痛感した。
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8Turn

ドイツ軍は総攻撃を開始。ドイツ軍による盤外射撃がBUTGENBACHの街を守る米軍部隊に降り注ぐ。守る米軍部隊はこの一撃で大損害を被る。さらにドイツ軍は煙幕を展開。BUTGENBACHに突撃態勢に入る歩兵部隊を米軍の防御射撃から守る。

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9-10Turn

ドイツ軍の歩兵部隊がBUTGENBACHへの突撃を仕掛けた。しかしBUTGENBACHを守る米軍部隊は既に混乱から回復。万全の態勢で待ち構えていた。市街戦なら強力なドイツ軍戦車もその威力を発揮できない。歩兵対歩兵。素手の兵隊たちが市街戦を制する存在となる。そして米兵達は強かった。突撃してきたドイツ兵に対し、一歩も引かぬ戦いぶりの米兵達は、ドイツ兵によるBUTGENBACHへの突入を許さなかった。ドイツ軍は撃退され、米軍はBUTGENBACHをガッチリと守り切っている。

ここで時間切れとなりゲーム終了。勝利条件的にはBUTGENBACHを守り切った米軍の勝利に終わった。

感想

序盤は快調だったが、強力なドイツ戦車の前にシャーマンを突出させたのは失敗だった。特に新型のイージーエイトが活躍の間もなくアッサリと殺られてしまったのは痛かった。シャーマンとしては、開豁地に布陣するのではなく、視認距離の及ばない地点に待機させておき、ドイツ戦車とは接近戦で勝負するのが得策であった。ただし最終的に勝利できた理由はドイツ軍歩兵戦力不足なので、序盤の戦闘でシャーマン戦車がドイツ軍ハーフトラックを撃破した意義は大きかった。なお、今回のプレイ時間も約3.5時間である。

(つづく)

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前回

白川郷のバスターミナル荻町。そのすぐ近くにある料理屋が「いろり」です。定食メニューの他にうどん・そば類もあります。
注文したのは「いろり定食」。定番の飛騨牛みそ焼きの他、焼き豆腐、とろろ焼き等計7品+ごはんという品数豊富な内容です。いずれも味がしっかりと染み込んでいて美味しかったです。

お奨め度★★★★

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つづく

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「White Star Rising」(以下、本作)は。Lock'n Road社が2010年に発表したシミュレーションゲームである。テーマはWW2欧州西部戦線における戦術戦闘で、1944年6月のノルマンディ上陸戦から1945年のドイツ国内戦闘までを計20本のシナリオで再現する。
本作は、Lock'n Road社が発売している"Nations at War"シリーズの1作品で、同シリーズの作品はいずれも同一システム、同一スケールとなっている。1Hexは実際の150m、1Turnは実際の5~15分間を現し、1ユニットは1個小隊(数両の車両又は数十名の歩兵)を現している。本作の詳しいシステムについては、 Game Journal誌#75(2020年6月発売予定) に掲載される予定なので、そちらを参照されたい。
今回、本作のシナリオをいくつかプレイしてみた。

Crash of the Crossroads - July,23rd,1944

シナリオの概要

北フランス。米空挺部隊が守る交差点をドイツ軍の歩戦連合部隊が攻撃するシナリオである。私はドイツ軍を担当する。

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1Turn

米軍が守る防御拠点は2ヵ所。ドイツ軍から見て戦線右翼に位置するBUTGENBACHと、中央部のBULLINGENである。

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ドイツ軍は戦線右翼BUTGENBACHの前哨陣地たるWIRTZFELDに対して突撃を敢行する。しかしWIRTZFELDを守る米空挺部隊の防御射撃を受けて第107歩兵大隊の歩兵部隊が混乱してしまう。

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2Turn

ドイツ軍歩兵部隊が再びWIRTZFELDの米軍歩兵陣地に突撃を敢行する。先ほどと同じく第107歩兵中隊の2個小隊が混乱するも、米軍の1個小隊を撃破し、防御拠点制圧した。

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3Turn

BUTGENBACHの街にドイツ第107歩兵大隊のが突入する。米空挺部隊を制圧しつつ地歩を広げる。
米軍の戦車部隊が戦線後方から増援部隊として戦場に到着した。ドイツ軍の4号戦車と米戦車隊との間で射撃戦を繰り広げる。

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4Turn



ドイツ軍第107歩兵大隊がBUTGENBACHの重要交差点を制圧した。これでドイツ軍は勝利条件ヘクスの1つを制圧する。あと1つ。BULLINGENの交差点をドイツ軍が制圧すれば、ドイツ軍の勝利が確定する。
米軍の戦車部隊とドイツ軍第501重戦車大隊(ティーガー重戦車装備)とが射撃戦に突入する。米軍の戦車部隊になぜか1個だけ混じっているM26パーシング(なんで1944年7月にパーシングがいるんだ・・・)の長距離射撃によってティーガー戦車1個小隊がステップロスしてしまう。怒り狂ったティーガー戦車がFateポイントを3ポイント使って反撃。文字通りパーシングを木端微塵にした。

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5Turn

BUTGENBACHの街では、ドイツ軍の歩兵部隊米空挺の生き残りを壊滅させて街を完全制圧した。
BULLINGEN周辺では、ドイツ軍第172装甲大隊(4号戦車装備)は米戦車隊と交戦に入る。ドイツ軍は自らは損害なしでシャーマン戦車の約半数を撃破した。

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6Turn

米戦車の生き残りが猛威をふるい、ドイツ軍第107歩兵大隊の2個小隊壊滅した。しかもチットの引きが悪く、ドイツ軍の戦車が何もしないままTurn終了してしまう。これまでチット引きは比較的順調であったが、システム上こういうことは起こり得ることなので、今までがラッキーだったと思うしかない。
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7Turn

戦線中央部のBULLINGENに向けてドイツ第107歩兵大隊の歩兵部隊が前進していく。しかし米戦車の生き残りがそれに対して激しい射撃を浴びてドイツ軍歩兵部隊が大苦戦。歩兵兵力の半数を失う。

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8Turn

漸く米戦車の生き残りを概ね制圧したドイツ軍は、BULLINGEMに向けて最後の突撃態勢に入る。

9Turn

ドイツ軍の歩兵と戦車がBULLINGENに向けて突撃を敢行する。激しい白兵戦の末、辛くも米軍の守備隊を排除して勝利条件ヘクスを占領した。しかし話はそれで終わらない。まだ米軍には反撃兵力が残っていた。接近戦を得意とする米空挺部隊が勝利条件ヘクス奪回を企図して突撃を仕掛けてきたのだ。激しい白兵戦の結果、両軍とも全滅。これにより勝利条件ヘクスを2ヵ所支配したドイツ軍の勝利に終わった。
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感想

プレイ時間はセットアップを含めて約3.5時間である。米軍は増援部隊も含めて殆ど全滅、ドイツ軍も歩兵兵力の半数を失う激しい戦いとなった。戦車戦でのドイツ軍の勝利が勝因の一つだが、その戦車兵力を必ずしも有効活用できなかったことは反省点である。

(つづく)

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今年の2月初めのこと。コロナウィルスがそろそろ話題になり始めた頃の話です。
雪景色を見に白川郷へ。と、行ってみたら「雪がない・・・」。取り敢えず1周回ってみたけど、全然雪がありましぇん。

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こちらは夜の風景。ライトアップしていなかったのが残念です。
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ちなみに9年前に行った白川郷の景色です。雪の量が全然違います。

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/1/5/156d7862.jpg

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/0/4/048d5138.jpg


https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/2/1/21dd0756.jpg


つづく

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191220_敷島隊の5人

敷島隊の5人 - 海軍大尉関行男の生涯

森史朗 文藝春秋

本書は最初の特攻隊として知られている敷島隊の指揮官、関行男大尉とその列機である谷暢夫、中野盤雄、永峯肇、大黒繁男の生涯とその特攻攻撃の全貌を詳細に追った著作である。上下2巻で描かれている上巻では、関らの生い立ちや海軍に入った後の人生を詳しく追っている。そこで描かれている海軍の生活は、決して甘美なものではなかった。海軍兵学校では生徒間の私的制裁が吹き荒れ、予科練では教官による暴力制裁(いわゆるバッター)を受ける。これらの「非行」に対して彼らがどのように感じたかは本書を読んでいただくとして、このような蛮行が旧軍に対する日本国民のイメージを決定的に悪いものにした点は十分に吟味されなければならないだろう。また上巻では関が体験した「恋」についてもページを割いている。横須賀の芸者との悲恋、そして鎌倉に住む令嬢との結婚といったエピソードは、「軍神」と言われた関行男が実際には今の若者と何ら変わらない喜怒哀楽を持った「普通の」青年であったことを伺わせる。
下巻では戦地に移った関らの行動を追うと共に、海軍が特攻攻撃に傾斜していく様が描かれている。大西瀧治郎のイニシアティブで始められたとされる航空特攻作戦。しかし関らが出撃する遥か以前から特攻攻撃は準備されていた。回天や桜花といった特攻兵器は関らの出撃前から着々と準備が進められており、たまたま関らの航空特攻がこれらの兵器の使用よりも「先に」行われたに過ぎない。特攻の推進に大西瀧治郎が重要な役割を果たしたことは 事実としても、彼の独断によるとか、あるいは「下から自発的に行われたとか」する説については、(そういった側面が皆無ではなかったにしても)首肯できない。むしろ海軍の意思として特攻作戦推進があり、そのレールに乗った形で大西の決断や関の出撃があった。
また「志願制が前提」とされる特攻攻撃についても、大いなる欺瞞がある。小説「永遠のゼロ」でも描かれていたが、志願とは名ばかりで、実質的には強制に近い(事実上の強制)ものがあったことは本書を読めば明らかである。第一、関自身の出撃についても、関が「志願」した訳ではなく、関に「志願」を促したのである(今風に言えば「パワハラ」的)。旧海軍出身者の著作はその辺りを曖昧にして自身の責任を逃れているが、特攻が事実上の強制であり、多くの若者が自殺を強要されたことは旧軍の汚点と言って良いだろう。本書の言葉を借りよう。

「人間と単に一個の爆弾としてしか見ない「全軍特攻」からは、生み出されるものは何もない。そこにあるのはただ精神の荒廃のみである」

本書を読んで一番感じたことは、「精強な軍隊の害悪」である。軍隊とは国家を他国の侵略から守り、自国の国益を実現するための組織である。目的を達成する過程で他国の軍隊と争うことは必然的に予想されるので、精強な方が望ましい。しかし軍隊の精強さとはあくまでも手段であって目的ではない。軍隊の精強さを目的化した所に旧軍の失敗があった。精強な軍隊を作るためには私的制裁や過酷な罰直が必要であったという考え方もあるが、それらが国民感情に抜きがたい「反軍思想」を植え付けたのは、国益から考えるとマイナスの面の方が大きかった。また軍隊の精強さ(あるいは軍隊の存在そのもの)が自己目的化してしまったために、国益を無視して他国に戦火を広げ(関東軍の暴走)、挙句の果ての特攻である。このような旧軍の失敗を顧みた時、日本型組織に根強く生き残る帰属意識(所謂「愛社精神」)について、我々はもう少し疑ってみても良いのではないだろうか。

お奨め度★★★★★

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