もりつちの徒然なるままに

ウォーゲームの話や旅の話、山登り、B級グルメなどの記事を書いていきます。 自作のウォーゲームも取り扱っています。

2022年04月

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220305_VUCA

本当は大切なのに誰も教えてくれないVUCA時代の仕事の基本

河野英太郎 PHP電子

VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の略で、現在の予測のつかない複雑なビジネス環境を表現する言葉として近年しばしば使われるようになった。本書では、VUCA時代における仕事の進め方について、筆者の持論をわかりやすく記載している。
筆者によれば、VUCA時代に求められる仕事の仕方は、「限られた時間で成果を出す」「答えのない問いに答えを出す」「多様なメンバーをまとめる」「働き方の持続可能性を高める」の4つだとしている。何のことはない。今までも重視されていた事項が改めて示されているに過ぎない。ただ、その「やり方」が変わってきたにすぎない。例えば「限られた時間で成果を出す」について、一言で言えば「生産性向上」だが、かつての日本では価値÷時間の価値を高めることに注力してきた。しかし筆者によれば、VUCA時代には価値の向上ではなく時間削減をこそ求めるべきだとしている。つまり「やらなくても良い仕事はやるな」という訳だ。
その他にも筆者の主張は地に足のついたものが殆どで、自身の仕事やキャリアアップを考える上で大変参考になった。すくなくとも たかがビジネス環境の変化を環境問題や資本主義に結び付けて大袈裟に論じる本 よりは好感を持って読むことができた。

お奨め度★★★★

長元記00


「長元記」(以下、本作)は、Game Journal#80の付録ゲームだ。テーマは日本の戦国時代で、四国での戦いを作戦レベルで描いている。
長宗我部元親本作のシステムは所謂「戦国群雄伝シリーズ」で、1Turnは実際の1週間(当時1週間という単位はなかったと思うのだが・・・)、1Hexは実際の約6kmに相当し、マップには四国全域と淡路島の南端、山陽地方の沿岸地帯の一部が描かれている。1ユニットは500~1000人程度の兵力を表している。
本作には6本のシナリオが用意されており、それぞれ1569年から1585年までの特定の期間を扱っている。6本の内訳は、ショートシナリオが3本、大型シナリオが3本だが、一番大規模なシナリオ5にしても長さは20Turnが最大なので、1日あれば十分プレイし終えることができる。

今回、本作に挑戦してみた。


シナリオ3.天魔王襲来

神戸信孝このシナリオは、本能寺の変の時期を扱ったシナリオだが、「もし本能寺の変が起こらずに織田信長が当初の予定通り四国平定戦を行っていたならば」という仮想設定を描いたシナリオである。四国平定を目指す長宗我部と、長宗我部を撃破してやはり四国平定を目指す織田・反長宗我部連合軍の戦い。私は織田・反長宗我部陣営を担当した。

長宗我部信親 長宗我部陣営は、長宗我部、金子、香川、羽床の各氏からなる。ユニット数は長宗我部27、その他11の計38ユニット。対する織田・反長宗我部陣営は、神戸信孝率いる織田本隊と三好、十河、奈良、香西ら東部方面軍が30ユニット、河野、西園寺の西部方面隊が20ユニットで、合計50ユニット。兵力的には織田・反長宗我部陣営が約30%優位に立っている。
では指揮官の能力はどうか。長宗我部陣営は、総大将の長宗我部元親は3-2-3。また長宗我部家の武将は、長宗我部信親(3-3-2)、香宗我部親康(3-2-3)、久武親直(3-2-3)等、さらに中小大名は金子元宅(3-2-3)、羽床資戴(3-3-2)等、それなりに有力な顔ぶれである。

丹波長秀 対する織田・反長宗我部連合の方。総大将の神戸信孝は2-1-3と少し寂しいレーティングだが、副将格の丹波長秀が2-2-4で両軍通じて数少ない行動力4を誇り、さらに阿波を支配する十河存保は3-3-3と全ての面でバランスが取れた能力を有している。一方で伊予方面の地侍である河野道直が2-2-2、西園寺公広が3-1-2でちょっと寂しい一方、西園寺家の土居清良は3-4-3と突出した能力を誇っている。

長元記01


両軍の配置を見ると、織田・反長宗我部方は東四国の讃岐・阿波方面に神戸信孝、丹波長秀、十河存保ら計30ユニット。伊予方面には河野氏と西園寺氏の20ユニットである。対する長宗我部氏は、金子氏、香川氏、羽床氏といった小大名が西讃岐から東伊予にほぼ固定配備されているが、主力である長宗我部は自陣営領内でかなり自由配置が認められている。従って兵力的には劣る長宗我部が本シナリオでは主導権を握っていることが理解できよう。

今回の展開を簡単に触れておく。
西園寺公広長宗我部は主力を西伊予へ投入。西園寺、河野氏といった中小大名に対して攻勢を仕掛ける。一方、織田方主力が登場する讃岐・阿波方面には香宗我部親康、久武親直らが数ユニットを率いて出陣し、羽床、香川らと共に遅退戦術を行う。長宗我部の意図は、西伊予方面で攻勢を仕掛けて城を落してVPを稼ぎ、讃岐・阿波方面では遅退戦術で時間を稼ぐ、というものであったと推測する。

西伊予では、まず黒瀬城(現在の西予市付近)を本拠とする西園寺氏が長宗我部主力による攻撃を受ける。指揮能力や兵力に劣る西園寺氏は城郭を盾に抵抗する。しかし長宗我部も兵力をバラしたため、城攻めをするだけの兵力はない。

長元記02


十河存保 一方の讃岐・阿波方面は、淡路島を拠点とする織田方は、神戸信孝、丹波長秀らが率いる主力部隊が渡海してくる。そして阿波一帯と東讃岐に地盤を持つ十河存保と合流し、讃岐・阿波方面の長宗我部勢を追う。
讃岐に攻め込んだのは十河存保。同方面には長宗我部方についている香川信景(2-1-2)、羽床資戴らが布陣している。十河存保は反長宗我部方についた地侍の香西佳清(2-1-2)と共同で長宗我部勢を攻撃する。羽床資戴は能力に優れた武将であったが、それでも能力と兵力の両方で勝る十河存保に抗すべくもなく、野戦の末壊滅する。

長元記03


香宗我部親康一方、吉野川沿いには丹波長秀が主力を率いて長宗我部勢副将格の香宗我部親康率いる機動兵力を攻撃する。丹波長秀の後方からは神戸信孝、三好康長(3-1-3)らが続き、その兵力は香宗我部親康勢の2倍を超える。そのため香宗我部親康は前線を支えきれずにズルズルと後退を余儀なくされる。

長元記04


最終的には羽床資戴勢は十河存保らの攻撃を受けて壊滅。香川信景も城に囲まれて動きが取れなくなる。こうして十河存保は讃岐一帯を制圧した。
阿波方面は後退を続ける香宗我部親康が阿波方面における長宗我部勢策源地である白地城(現在の阿波池田付近)まで追い詰められ、さらに白地城から追い出される所まで追い詰められた。一方の西部戦線では長宗我部勢が攻勢側に立っているものの、西園寺、河野両氏の遅退戦術に阻まれて勢力拡大には至らない。
ここに至って長宗我部勢は防衛戦を放棄。織田信長との和平交渉に応じることとした。つまり長宗我部勢の投了である。

長元記05


感想だが、全般に兵力に劣る長宗我部勢の不利は否めない。しかもこのシナリオには一切のハンディキャップがなく、純粋に奪取した敵城と除去した敵武将のみがVP源となる。総兵力に劣る長宗我部勢としては、織田方主力が登場してくる讃岐・阿波方面で如何にして無駄な失点を防ぎつつ、西伊予方面で戦果を挙げて失ったもの以上の戦果を収める必要があろう。長期戦では万に一つも長宗我部勢に勝ち目はないが、幸いこのシナリオはたった10Turnの短期シナリオだ。上にも述べた通り主導権は長宗我部勢にあるのだから、長宗我部勢は苦しいながらも綱渡りで勝利を狙うことは十分可能だと思う。

つづく

2022年1月9日(日)。僕は人生初の「骨折」を体験した。米子駅の跨線橋からホームに降りていく途中、階段の踊り場から足を踏み外し、ホーム上へ転落。その際に転倒したのだ。
診断の結果は「右膝粉砕骨折」。3ヶ月程度の入院が必要という。入院先は米子医療センター。そこから僕の入院&リハビリ生活が始まる。

前回までの展開 --> こちら

入院50日目(2/27日)

入院50日目。事故から7週間が経過した。今日は日曜日なので特に何もない。リハビリも休みで自主トレの回数を増やす。

入院51日目(2/28月)

同室の人が退院が翌日に決まり、今日部屋移動していった。同室の人の退院は羨ましいが、素直に嬉しい気持ちもある。
今日は平日なので中2日空いてリハビリが再開。右足を付けての歩き方、自身ではかなり上達したつもりであったが、リハビリの山形先生(仮名)からはダメ出しされてしまう。左足を踏み出す際に脚が曲がっているので、踏み出しが不十分で、そのために右足に十分な重心がかかっていないとのこと。確かに怪我をした右足に重心をかけるのが怖いので、どうしてもへっぴり腰になる傾向はある。なかなか難しいものだなぁ・・・。

入院52日目(3/1火)

今日から3月である。思えば入院生活も早くも2ヶ月が過ぎようとしている。何とか今月中に退院したいものだが、果たしてどうだろうか。

今日のリハビリで歩き方が上達したと褒められた。素直に嬉しいが、好事魔多し。その後の自主トレで右側の松葉杖がスリップして支えを失い、その時右足をかなり強く踏み込んでしまった。右足の荷重制限がこの時20kgだったが、スリップの際には多分30~40kgぐらいは踏んだと思う。スリップの原因は不明だが、廊下の摩擦係数がいきなり小さくなってスリップしたから、掃除か何かの影響と思う。
この病院、これまでも患者の扱いについて気になることがいくつかあったが、今回の件はさすがに頭にきたので看護師長を読んで苦情を述べた。看護師長曰く、掃除等が原因でスリップするようなことはないという。長々議論しても仕方がないが、こちらのミスとは思えないので納得しないまま話を終わらせた。ちなみに下の写真が問題のコーナーである。

写真22


ゲームの話も少し。昨日からAHのGCACWシリーズをVASSALでかじってみた。Here Come the Rebels!のシナリオ1「SouthMountain」をソロでプレイ。ルール的にはなかなか面白い。プレ20世紀のゲームらしく、ズラリと戦線を張って、という感じではなく、タスクフォース同士がぶつかる感じである。また指揮官や両軍の個性等もさりげなく表現されていて良い感じである。今回は練習シナリオだけだったが、退院したらもう少し本格的なシナリオにチャレンジしてみたい。

HereComeTheRebel


入院53日目(3/2水)

昨日のスリップ事故の件、看護師長が謝罪に来た。話によると、掃除担当者が独自判断で汚れの激しい所を水拭きしたらしい。本来あってはならないことだが、看護師長によれば掃除担当者には厳重注意したとのこと。再発防止は図られたということだし、幸い事故(アクシデント)ではなくインシデントで済んだので、一応納得する。ただし個人的には掃除した直後の廊下は注意して歩こうと思う。

午前中にレントゲンとCT検査があった。良い結果を期待したい。

そういえば自宅に届く筈のGame Journal#82が到着した。郵送先を変更したので自動的に病院に届く。1日かけてじっくりと読ませてもらった。

写真23


入院54日目(3/3木)

今日はリハビリが休みであった。例によって自主トレの回数を増やす。

午後に主治医の大林先生(仮名)がやってきて、レントゲンの結果を知らせてきた。結果は良好。現時点では問題なしとのこと。一昨日のスリップ事故もどうやら大事には至らなかったらしい。取り敢えずホッとする。このまま順調に退院できれば良いのだが。

今日、同室の方が退院された。手指の怪我で手術入院していたらしい。入院期間に酒・煙草が禁止になるのが我慢できないらしい。昨日、主治医や看護師が入院期間だけでも酒・煙草を我慢するよう説得していたが、本人は了承しなかった。この場合、病院側としては、主治医の指示を守れないとして本人の医療放棄と判断、その後の治療は対応不可となるらしい。ちなみにその患者さん、手術は終わったが抜糸は済んでいない。従ってどこか別の病院で抜糸してもらうしかないのだが、執刀医以外が抜糸できるのだろうか。まあ糸を抜くだけならできなくはないが、指の怪我って結構デリケートじゃないの。執刀医以外がやっても大丈夫なのかなぁ・・・。他人事ならが心配になる。

入院55日目(3/4金)

今日から1/2荷重許可が出た。要するに静止状態で立っていて良い、ということだ。しかし静止状態で立っているだけでも結構荷重がかかっていることに驚く。正直、まだ右足に負荷をかけるのが怖いから、1/2荷重をかけ切れていない。
松葉杖歩行は徐々にだが慣れてきた。右足に荷重をかけることも少しだけ大胆になってきた。歩く速度も、今までのような牛歩ではなく、普通の歩き方の半分ぐらいのスピードは出せるようになったと思う。

今日からシャワーが大風呂から小風呂に変わった。小風呂というのは、所謂普通の家庭用浴室に似た感じ。違う点と言えば風呂場に手すりが付いていることぐらい。小風呂は患者自身が予約するシステムなので、自分が好みの時間にシャワーを浴びれるのが良い。

写真24


入院56日目(3/5土)

今日は土曜日なのでリハビリが休みである。その分自主トレを増やす。また松葉杖で歩く歩数も増やしてみた。今日は歩数が入院以来初めて5000歩を超えた。普段のノルマが1万歩なので、通常の半分には戻ったことになる。

写真25


向かいベッドの爺さんが看護師と揉めていた。湯呑コップの扱いについてだが、爺さんが看護師の説明を勝手に曲解して激昂している。ボケ爺さんっぽいのだが、意味不明のことをギャーギャーウルサイ。他でやってくれ。

入院57日目(3/6日)

早朝に右足が痛くなったので、氷で冷やした。これで少し楽になった。 流石に前日に6000歩近く歩いたので響いたのだろうか。
この日もリハビリがお休み。前日程ではないが、トータルで5000歩以上歩いた。

つづく

3
220305_HeldtheLine

The Ship That Held the Line

Lislie Rose Naval Institute Press

「戦線を支えた艦」。本書は米空母「ホーネット」の太平洋戦線での活躍とその最期を記した著作だ。「ホーネット」の戦歴としては、ドゥーリトル空襲、ミッドウェー海戦、南太平洋海戦等が良く知られているが、それ以外に1942年10月初旬、米太平洋艦隊唯一の艦隊空母として日本軍の増援部隊阻止に活躍した。本書はそれら「ホーネット」の戦いぶりを詳細に紹介している。
本書は大きな戦史を追うというよりは、「ホーネット」に乗り組んだそれぞれの人々に焦点を当てて、彼らの活躍を追いながら全体の流れを構成している。やや強引に例えるなら、「ボトム・アップ・アプローチ」とでもいうべきか。そのために我々のような英語が苦手な人間にとっては、やや全体像が掴みにくかった。今回も流し読みであったので、結構重要な部分を読み落としている可能性が高い。そういった意味では再読してみたい1冊ではあるが、資料性はそれほど高くないので、果たして再読する価値があるかどうか・・・。

お奨め度★★★

3
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Military Classics Vol.76

イカロス出版

特集は「金剛型高速戦艦」。結構細かい所まで調べてあって、モデラ―にとっては有益な内容だと思う。モデラ―ではない私にとっても眺めているだけで面白かった。本文記事も目新しい所こそ少なかったものの、ボリュームは十分で読み応えがあった。
第2特集はホーカーハリケーン。バトルオブブリテンではスピットファイアに劣ると言われ、太平洋戦線では零戦、一式戦なりにボロ負けしたというイメージが強いハリケーンだが、実際には優れた点も多く、それなりに重宝されたとのこと。面白かった上に、大いに参考になった。

お奨め度★★★

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