本当は大切なのに誰も教えてくれないVUCA時代の仕事の基本
河野英太郎 PHP電子
VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の略で、現在の予測のつかない複雑なビジネス環境を表現する言葉として近年しばしば使われるようになった。本書では、VUCA時代における仕事の進め方について、筆者の持論をわかりやすく記載している。筆者によれば、VUCA時代に求められる仕事の仕方は、「限られた時間で成果を出す」「答えのない問いに答えを出す」「多様なメンバーをまとめる」「働き方の持続可能性を高める」の4つだとしている。何のことはない。今までも重視されていた事項が改めて示されているに過ぎない。ただ、その「やり方」が変わってきたにすぎない。例えば「限られた時間で成果を出す」について、一言で言えば「生産性向上」だが、かつての日本では価値÷時間の価値を高めることに注力してきた。しかし筆者によれば、VUCA時代には価値の向上ではなく時間削減をこそ求めるべきだとしている。つまり「やらなくても良い仕事はやるな」という訳だ。
その他にも筆者の主張は地に足のついたものが殆どで、自身の仕事やキャリアアップを考える上で大変参考になった。すくなくとも たかがビジネス環境の変化を環境問題や資本主義に結び付けて大袈裟に論じる本 よりは好感を持って読むことができた。
お奨め度★★★★