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Ukraine'43(以下、本作)は、1943年8月~11月にかけてウクライナにおけるソ連軍の攻勢を扱うシミュレーション・ウォーゲームである。ウクライナといえば、2022年に開始されたウクライナ戦争で戦場となった地域で、本作でもハリコフ(ハリキウ)、ザボロジェ(ザボリージャ)、キエフ(キーウ)、ヘルソン、マウリポリといったウクライナ戦争での激戦地がマップに収められている。
今回はVASSALを使ったソロプレイで、プレイするシナリオはシナリオ1「ジューコフ攻勢」。このシナリオは1943年8月~9月にかけて実施された「ルミャンチェフ攻勢」を再現するもので、ソ連軍の目標はハリコフの占領とドンバス地方での支配領域拡大である。まさに2022年のウクライナ侵攻を地でいくような戦いだが、果たして・・・。

前回までの展開は --> こちら

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6Turn

ソ連軍プレイヤーTurn

RU_Zhukov北方ではスミー方面を攻勢から防御に転じ、スミーを守り切る構えの布陣をしく。

ハリコフ周辺では、ハリコフに対して総攻撃を行うと共に、ハリコフ前面のドイツ軍装甲部隊に対して打撃戦を仕掛ける。ハリコフに対する総攻撃はジューコフの苛烈な指揮、砲兵支援、さらには航空支援を投入して4-1まで比率を上げて攻撃した結果、ドイツ軍装甲師団の残余と消耗した歩兵師団を撃破。残りは1個歩兵師団まで追い詰めた。次Turnハリコフを落とす見通しが立った。

しかしハリコフ南方でのドイツ装甲師団に対する攻撃は、第5親衛戦車軍その他を投入して2-1で攻撃したものの、マンシュタイン将軍による振り直しの結果、戦闘結果D1がA1になってしまい、攻撃は見事に失敗に終わった。

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ソ連軍が大戦果を上げたのはドンバス方面である。まずマキイフカに対する攻撃は、砲兵支援を受けて2-1とし、戦闘結果A1/D1でドイツ軍を撃破。さらに機動強襲によりその後方の要域スターリノ(Stalino 5227)を1-2の低比率で機動強襲を仕掛け、これが見事に的中。消耗した歩兵師団しかいなかったスターリノの防衛線は瞬時に瓦解し、スターリノはソ連軍の支配する所となった。

後方の重要都市は最低でも2ステップの部隊を入れて守るべきであった。これまでも何度かこの種の機動強襲で重要拠点を落とされて痛い目を見てきたが、前線の防御を犠牲にしてでも要塞都市には陣地と2ステップ歩兵を置いておく。これが鉄則である。

さらにスラヴャンスクも陥落したため、このTurnソ連軍は一挙に4VPを獲得した。獲得したVPの合計は6VPとなり、勝利ラインの8VPまであと2VP。ソ連軍としては、ハリコフ(3VP)を落としても良し。ドンバスに残る2つのVP都市(タガンログとコンスタンチノフスク)を落としても良しで、勝利の可能性がぐっと広がった。

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ドイツ軍プレイヤーTurn

GE_877_3SSPzD一時は楽勝ムードが漂っていたドイツ軍だが、一挙に苦しくなった。こうなったら意地でもハリコフを守り通し、ドンバスの2都市のうち1都市を守り抜かねばならない。

まずはスミー方面である。こちらはグロスドイッチュランド装甲師団を含む3個師団を反撃に投入。スミーの奪回を狙った。初期攻撃は7-1の高比率攻撃となったので予定通りソ連軍部隊を撃破(DS)。その後3-1でスミーに対して機動強襲を仕掛けてDRの結果を得たが、ソ連軍は1ステップを失いながらも断固たる防御に成功。スミーを死守した。

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ハリコフ南方では、ティーガー重戦車大隊を含むドイツ軍装甲軍団がソ連軍防御部隊を攻撃。通常攻撃と機動強襲でハリコフ南西部のソ連軍を撃破。ハリコフへの補給線を啓開した。

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ドンバス方面では、もしキャンペーンシナリオならタガンログを放棄。マリウポリ(Mariupol 5133)とコンスタンチノフスクを結ぶ線上まで後退するのは定石だと思われるが、これはショートシナリオ。最後の最後まで悪あがきをするのがゲーマーの嗜み。タガンローグには補充ポイントを入れて強化。コンスタンチノフスクにも装甲補充を投入し、両者の間を湾曲した脆そうな戦線を引く。普通に考えれば、こんな布陣は悪手で、戦線崩壊、大包囲となりかねない所なんだが・・・。

Turn06b03


7Turn

ソ連軍プレイヤーTurn

RU_363_86-3最終Turnである。ソ連軍の最大の目標はハリコフの攻略。そしてドンバスに残った2拠点の攻略である。結果から言えば、ハリコフは陥落、そしてドンバスの2個所は両方とも落とせなかった。現時点でソ連軍の獲得VPは9VP。現時点ではソ連軍が勝利ラインをクリアしているが、そのまま守り通せるか・・・。

Turn07a01
Turn07a02


ドイツ軍プレイヤーTurn

GE_Mansteinドイツ軍も「最後だアタック」を仕掛ける。まずはスミー。こちらは4-1攻撃でソ連軍が死守に失敗。ドイツ軍が奪回。

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ハリコフ。ドイツ軍は2個装甲軍団を投入してハリコフを攻撃。ティーガー重戦車大隊を含む装甲軍団(第48装甲軍団か?)の攻撃は、ジューコフ将軍の苛烈な指揮で阻止した。しかしSS装甲師団2個(第2SS装甲軍団か?)による攻撃は阻止できず、さらに1-1での機動強襲に対してハリコフが持ちこらえられずに陥落。ドイツ軍がハリコフを再び奪取した。

Turn07b02


最後はスターリノ。こちらは2-1攻撃でA1/DRを出し、ここでもソ連軍が断固たる防御に失敗。ドイツ軍がスターリノを奪回した。

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最終的なソ連軍のVPは3VP。ドイツ軍の勝利に終わった。

Turn07b04


感想

久しぶりのプレイなので、色々とミスがあった。本文中にもいくつか触れたが、それ以外で言えば、ドイツ軍がイジウムの渡河点を潰せなかったのは大失敗だった。ここからドイツ軍の戦線が南北に分断されてしまい、第3Turn頃には半ば投了しようかと思ったぐらいだ。ドイツ軍としては、北方のスミー付近は放置してでも、イジウム付近に装甲兵力を集めるべきだろう。イジウムの突出部を潰せば、その後で装甲兵力を南北に自由にスイングさせれば良いのだから。

それにしても新版Ukraine'43は面白い。移動、戦闘を繰り返すだけなので基本システムはシンプル。慣れればサクサクとプレイできる手軽さが良い。またティーガー重戦車効果とかドイツ軍エリート効果、ジューコフ将軍やマンシュタイン将軍といったキャラクター性が効いている点も好感が持てる。さらに激戦を通じて両軍が築き上げる除去ユニットの山は、Ukraineを巡る戦いがかくも苛烈なものであったことを思い起こさせる。

図らずもあれから約70年の月日を経たウクライナが再び戦場となってしまった。1日も早い平和の回復を祈りつつ、70年前の戦いに思いを馳せるのも良いのではないだろうか。

Tiger