Storm Over Normandy(以下、本作)は、2022年にGame Journal誌83号の付録ゲームとして発売されたシミュレーション・ウォーゲームである。元々は米国MMP社が2015年に発売した作品だ。テーマは1944年6月のノルマンディ上陸作戦で、同作戦の最初の8日間を、1Turn=1日、1ユニット=大隊~連隊・旅団規模で描く。
本作は、基本システムとして1981年に米国Avalon Hill社から出版されたStorm Over Arnhem(邦題「アルンヘム強襲」)を元にしている。各ユニットは原則として1Turnに1度だけ活性化でき、1度の活性化で移動又は射撃を選択できる。活性化したユニットは裏返しになり、防御力が1段階低下する。だからできれば敵を先に活性化させて、そこに自軍の射撃を見舞うのが得策といえる。
マップはエリア方式で、射撃は同一エリアの敵に対して実施可能である。またエリアの支配という概念があり、エリアを支配している側は敵の射撃を受けた時に地形効果を得られる他、戦闘結果で後退を行う際には自軍支配下のエリアにのみ後退できる。エリアの支配を奪うためには、敵側ユニットを当該エリアから一掃する必要があり、まさにエリアの支配を巡って「血で血を洗う」激戦が繰り広げられる。
オリジナルの「アルンヘム強襲」と異なり、本作ではイベントカードを併用する。いわゆる「強襲システム」にカードを併用するのは和製「強襲システム」(Game Journal版強襲シリーズ)では定番になっているが、本作におけるカードの扱いは比較的「大人しい」ものになっている。和製「強襲システム」では、カードがゲームのメインエンジンとなっていて、「カードがなければ何もできない」ゲームが多い。しかし本作のカードはあくまでも「補助」の扱いで、砲兵支援や機甲部隊の支援、ボカージュの理由、空襲による移動妨害という役割を果たす。またカード引きもランダムで、自らの意思でデッキを構築する「和製強襲システム」とはやや異なったアプローチを採用している。
今回、本作を対面でプレイしてみた。私は今回連合軍を担当した。
1Turn(1944年6月6日)

今回連合軍はTurn終了までに英軍側の海岸堡は全て制圧できたものの、米軍戦線ではユタ、オマハ1でドイツ軍の抵抗を排除できず。確保した海岸堡は合計4ヶ所に留まった。Turn終了時にVP判定があるが、マップ上に存在するVPエリアは計12ヶ所。そのうちドイツ軍が8ヶ所、連合軍は4ヶ所を支配した。その結果、ドイツ軍が4VPを獲得したので、VPの合計はマイナス4点となった。ちなみに勝利条件はプラス30VP。つまり連合軍はゲーム終了時点まで30VPを獲得する必要がある。
2Turn(1944年6月7日)

英軍戦線では、カーン正面からドイツ軍の精鋭第12SS装甲師団、第21装甲師団が反撃を仕掛けてきた。強力なドイツ軍の攻撃に対してイギリス軍は苦戦を強いられたが、砲兵支援、航空支援等を駆使してドイツ軍を撃退。逆に戦車の支援を受けた英第3歩兵師団がカーン市街地北部郊外に布陣した。
カーン東半分では、ペガサス橋から進撃してきた英第6空挺師団が工兵支援を受けてカーン市に電撃奇襲を実施。上手く行けばカーン市街地の半分を英軍が支配できるチャンスであった。2d6で6以上を出せばカーン市街の半分を占領できるはずだったが(確率72%)、何と出目は4。絶好のチャンスを逃した連合軍なのであった。
3Turn(1944年6月8日)

米軍戦線では、ユタビーチを制覇した米軍が、モンテブールに進出。シェルブール方面へ向けた前進を開始する。
4Turn(1944年6月9日)

一方で、大西洋に近いバイユーでは、英軍側面援護に為に進出していた歩兵旅団をドイツ第352歩兵師団所属の2個歩兵大隊が攻撃。出目は11と冴えわたり、英軍歩兵旅団が撃破されてしまう。

ちなみにこのTurnは英軍1個旅団が撃破されたので、ドイツ軍に2VPのボーナスが入る。その結果、獲得VPは両軍とも7VP。累積VPはマイナス4VPで動かない。
5Turn(1944年6月10日)

コタンタン半島では、米軍がシェルブールへの入口にあたるヴァローニュを占領した。これで米軍はいつでもシェルブール方面へ突破できるようになる。
英軍戦線では、ドイツ軍が装甲3個師団(第21、第12SS、戦車教導)を投入してカーンから英軍を排除しにかかった。しかしドイツ軍プレイヤー曰く「平均以下のダイス目しか出ない」という状況で、今一つ攻撃が冴えない。
このTurn終了時点でVPは2点獲得したが、累積VPはマイナス2VP。勝利条件はプラス30VPなので、半ば絶望的な状況になっている。
つづく
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