写真00


Storm Over Normandy(以下、本作)は、2022年にGame Journal誌83号の付録ゲームとして発売されたシミュレーション・ウォーゲームである。元々は米国MMP社が2015年に発売した作品だ。テーマは1944年6月のノルマンディ上陸作戦で、同作戦の最初の8日間を、1Turn=1日、1ユニット=大隊~連隊・旅団規模で描く。

今回、本作を対面でプレイしてみた。私は今回連合軍を担当した。

前回までの展開 --> こちら

6Turn(1944年6月11日)

GE_21PzDiv_192カーン方面ではドイツ軍がクリーンヒットを浴びせた。まずカーンの西半分では、第21装甲師団を主力とする打撃部隊が、英第3歩兵師団に対して反撃を実施。出目10で合計12ヒットを与え、あと一歩で英軍守備隊を追い払う所までいった。英軍は直ちに増援を送って守備を固める。

カーン東半分では、戦車教導師団が反撃を実施。英第6空挺師団の1ユニットが壊滅したものの、英軍は何とか現陣地に踏みとどまった。

米軍線区では、先ほどに引き続いて米第2機甲師団がブリックヴィルを攻撃。ここを電撃占領した。さらにマップ西端部を抜けて米軍部隊の一部がサン・ジャン・ド・ダイユに進出してきた。ここはマップ南端に接したエリアで、ここから米軍はいつでも盤外突破できるわけである。

写真07

7Turn(1944年6月12日)

US_82ADiv_505米軍戦線では、米第2機甲師団がマップ南端にある要域サン・タンドレ・ド・レピンヌを攻撃した。サン・タンドレ・ド・レピンヌは、VPエリアのみならず、マップ南端へ向かう突破口にもなっている。米軍はここからユニットを盤外突破させると、莫大なVPが入手できる。
戦いは米軍の勝利に終わり、米軍はサン・タンドレ・ド・レピンヌを占領した。
さらに米軍は要域カランタンに対して第2歩兵師団と第82空挺師団を投入して総攻撃を実施。艦砲射撃と工兵支援も加えた圧倒的な戦力でカランタンを占領した。これにより、米軍戦線におけるVPエリアは全て連合軍の支配する所となった・

英軍戦線では、カーン正面でドイツ第21装甲師団を主力とする部隊が、英軍部隊を攻撃。8ヒットを与えて遂に英軍をカーンから全面撤退させることに成功した。一方の英軍は、マップ南端につながるヴィレル・ボカージュを攻撃する。しかしドイツ軍を排除することには失敗した。

このTurnに連合軍は9VPを獲得し、ドイツ軍の獲得VPが3VPだったので、その差は6VP。累積VPはようやくプラス5VPになったが、勝利条件プラス30VPに達するのは絶望的な状況になってきた。

写真08



8Turn(1944年6月13日)

UK_7ArmDiv_22最終Turnである。英軍はヴィレル・ボカージュへ集中攻撃を行う。最初の通常攻撃の後、砲兵射撃、航空支援、さらに2つ目の砲兵支援を投入するに至り、ついにヴィレル・ボカージュを連合軍が占領する。
しかしヴィレル・ボカージュは連合軍にとってはドイツ軍の目を引き付けるだけの囮にすぎなかった。連合軍の真の狙いは、米軍戦線からの突破にあったのである。先のTurnに占領したサン・タンドレ・ド・レピンヌを抜けて米軍部隊が次々と盤端へ突破していく。このTurn、サン・タンドレ・ド・レピンヌからサンロー方面へ突破した米軍ユニットは計16個。マップ西端よりクータンス方面へ突破した米軍ユニットが6個。さらにヴィレル・ボカージュからアルジャンタン方面へ突破した英軍ユニットが計4個に達した。これらのユニットで獲得したVPは 23VPに及んだ。さらにエリアVPが連合軍10VP、ドイツ軍2VPで+8VP。このTurnに英軍1個旅団が壊滅したので-2VPを加えても、最終的なVPは34VPに達する。従って最終段階で連合軍が逆転勝利を得た。


写真09



感想

Z_SprtPoints2プレイ時間は休憩時間を除いて約5時間だった。慣れればもう少し早くなると思うが、初プレイだとこんなものだろう。VP計算で少し勘違いしていたのが突破ユニットの扱い。突破したユニットは毎TurnVPを加算するのが正しいいのだが、突破した瞬間だけVPを貰えるものと勘違いしていた。お蔭でシェルブール方面への突破を早い段階で実施できたものを、それをやらなかったので、3~4VPぐらい損した。まあ、突破のメリットをドイツ軍プレイヤーに教えてしまうと、突破阻止の行動を取られたので、最終Turnの逆転勝利はなかったかもしれないが…。

ゲームとしては結構面白かった。オーソドックスなシステムだが、ノルマンディにおける激しい陣地戦が良い感じで再現されている。ルールはシンプルだが、歴史ゲームとしてみても突拍子のない展開にはならないので、納得できる。カードの扱いも過度にぶっ飛んだものはなく、あくまでも「おまけ」的な位置づけに留まっている点も好感を持った。

同テーマのゲーマは多数あるが、タイムスケールと扱っている期間が良く似ているのがGMTのNormandy'44である。Normandy'44と比較すると、Normandy'44はHexマップを採用しており、より「ウォーゲーマー受け」するイメージがある。Normandy'44にはカードやエリアといった「ゲームっぽい」アイテムがない分、よりシミュレーション性が高いように感じる。ただ、Normandy'44は天候の影響が大きく、天候ダイスの良否によってゲームバランスが影響を受けやすい。その点、本作ではそのようなバランスに影響を与える要素が小さいため、競技用ゲームとしてはより優れているように思える。

結論として本作は良いゲームで、再戦したいアイテムである。

JagdPanther_1944



シミュレーションジャーナル ゲームジャーナル89号 フランス革命1789
シミュレーションジャーナル ゲームジャーナル88号 激闘!ロンメル&マッカーサー
シミュレーションジャーナル ゲームジャーナル87号 新信長風雲録
シミュレーションジャーナル ゲームジャーナル86号 戦略級三国志英雄伝説
シミュレーションジャーナル ゲームジャーナル83号 ノルマンディ強襲
シミュレーションジャーナル ゲームジャーナル別冊 激闘 関ヶ原 ~どうする家康?どうなる関ヶ原!?~