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今回は、Lock'n Load Publishing社のシミュレーション・ウォーゲーム「Heroes Against The Red Star」を紹介します。
「Heroes Against The Red Star」(以下、本作)は、2017年に発売された作品で、テーマは1985年を想定したソ連軍と西側諸国の地上戦闘です。このゲームは、Lock'n Load Tacticalと呼ばれるシリーズの1作品となっており、1ユニットが車両1両、歩兵が個人、1チーム、1個分隊を表し、1Hex=50m、1Turn=2~4分となっています。スケール的にはASLとほぼ同じです。
Lock'n Load Tacticalは、WW2及びそれ以降の時代における陸上戦闘を扱う汎用的なゲームシステムで、コアルールは英文で200ページ近くあります。まあWW2だけならとにかく、WW2後の所謂「現代戦」も扱うシステムなのでルール量が多くなるのは仕方がありません。

基本システムは比較的シンプルで、主導権を決定した後、主導権側から1スタックずつ交互にアクションを実行していきます。1ユニットは1Turnに原則1度しか活性化できないので、両軍とも活性化可能が全ユニットが行動を終えた時点でTurnが終了します。またアクションの途中でパスを宣言することもできますが、両プレイヤーが交互に計3回連続でパスを宣言すると、Turnが終了します。

歩兵対歩兵の射撃戦闘は、攻撃側と防御側がダイス1個を振り合い、両軍のダイス目のそれぞれ修正を加えて、攻撃側のダイス目が防御側を上回ると有効になります。有効な射撃を受けた側は「損害判定」(Damage Check)を実施しますが、その時、最初の射撃判定時で攻撃側のダイス目が防御側のそれを「どれだけ」上回ったが、が重要になってきます。損害判定の結果は、効果なし、動揺、ステップロス、除去の4種類がありますが、損害判定のダイス目がモラル値以下なら効果なし、モラル値の2倍未満なら動揺、3倍未満ならステップロス、3倍以上で除去となります。だからモラル値の高いエリート部隊は射撃だけで除去するのは相当困難ですが、モラル値の低いフランス軍などは比較的簡単に除去できたりします。

対戦車戦闘は、戦車砲の性能が戦車カウンターの裏側に記載されているので、まずは距離に応じた命中判定を行い、命中が得られたら撃破判定を行う。命中判定は2d6で基準値以下の目を出せば命中というシステム。命中した後の損害判定は攻撃側と防御側がお互いにダイス(D6)を振り、その出目にそれぞれ貫通力と装甲レベルを加え、攻撃側のダイス目が防御側を上回れば目標撃破。攻撃側のダイス目と防御側のダイスが同値またはそれ未満なら防御側がモラルチェックを行う。モラルチェックに失敗すると戦車が動揺状態になったり、最悪戦車を放棄したりします。

他には近接戦闘、オーバーラン、間接射撃、盤外砲撃、煙幕等のルールがあります。さらに本作は所謂「現代戦ゲーム」なので、ヘリや航空攻撃のルールもありますが、電子戦ルールや化学兵器、核兵器に関するルールはありません(化学兵器はとにかく、核兵器はこのスケールで扱うには威力が大き過ぎるとは思いますが・・・)。

今回は1日約8時間で約3本のシナリオをプレイしました。1シナリオ平均2時間強なので比較的プレイ時間は短いと言えます。ただ、今回プレイしたシナリオの大半は両軍とも小隊規模同士の戦闘なので、例えば中隊規模ぐらいの兵力を使うシナリオならもっと時間がかかったと思います。

プレイの感想ですが、ルールは比較的明瞭でわかりやすいです。ただルール量が多く、しかも英文ルールを読むしかないので、細かい点ではルールを完全に把握するのは困難です。今回のプレイでも最初のシナリオでは間接射撃のルールを間違えていてゲームが破綻したという事態が起こりました(間接射撃ルールを間違えて米軍部隊の半数が壊滅してしまい、私がモラル崩壊して投了したというオチです)。
まあWW2から現代戦まで再現するシステムなのである程度ルールが複雑になるのは仕方がないのですが、本来はシンプルなシステムを持つシステムシリーズだと思います。そういった意味では本作の魅力は比較的戦闘モデルがシンプルなWW2の方が発揮できるのかもしれません。

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