230511_歴史群像

歴史群像2023年6月号

学研

特集は「日本海軍駆逐艦全史」。日本海軍における駆逐艦の歴史について、その創成期からWW2での戦いに至るまでを概説した内容。夕雲型駆逐艦の艦隊防空能力について比較的高い評価をしているのが特徴。
「ホーチミン・ルート」で読み解くヴェトナム戦争。ヴェトナム戦争におけるホーチミン・ルートの果たした役割について分析している。ヴェトナム戦争は、戦略や作戦レベルでの分析があまりされていない戦争と言えるが、なぜ米及び南ヴェトナムが共産側に敗れたのか。その点について示唆を与えてくれる内容になっている。
「最新研究西南戦争、熊本城攻防戦」。熊本城攻防戦を主に戦術面から分析した内容。熊本城攻防戦の実態や熊本城がなぜ落ちなかったに迫る。
「ウクライナ戦争を読む」。作戦術の視点からウクライナ戦争を分析する。今回は主に作戦術についての誤解(作戦術が軍隊の編成上の分類(師団、軍団規模)として扱われている誤解)と、それがウクライナ戦争にどのような影響を与えたかについて述べている。
「機甲戦から見たウクライナ戦争の1年」。主にキーウ攻防戦とイジューム電撃戦に焦点を当てて、機甲戦の立場から勝因と敗因について論じている。現在進行形の戦争なので分析精度はやや疑問がつくが、即時性という観点で貴重な分析である。
その他に、芸予要塞、A-20ハヴォックの記事など、読みどころが多かった。
最後に苦言を一言。
「ヒトラー暗殺計画」は、内容以前に筆者の政治的な意図が透けて見えて不愉快な記事であった。

お奨め度★★★★