230908_なぜ美意識

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

山口周 光文社新書

本書は、ビジネスにおける論理的思考の限界と非論理的思考の必要性を説いた著作である。筆者はVUCAといわれる不確実性の高い状況において論理的思考のみに頼った判断だけではビジネスで勝てないとしている。筆者曰く、ビジネスにおける決断は美意識、言い換えると「善悪の観念」を主軸にすべきであり、論理的思考は決断を補佐する役割を果たすことが良いとしている。筆者は自説を説明するために、古今東西様々な人物を登場させている。
一見すると筆者はいかにも「目新しい」ことを述べているようにも見えるが、何のことはない。論理的思考が優れていても、倫理的に間違った考えの元では誤った成果しか出せないと主張しているだけ、これは京セラの稲森和夫氏もその著書で述べていることである。かつて「マレーの虎」と称えられた猛将山下奉文大将も、「作戦の神様」辻正信を「いわゆる「こすき男」にして国家の大をなすに足らざる小人なり」と酷評している。(辻が論理的だったか否かは置いておいて)計算能力のみに優れて哲学を持たない輩がリーダーの器ではないことは、筆者が改めて主張するようなことでもないと思うのだが・・・。

お奨め度★★★

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (光文社新書)
マンガと図解でわかる 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?