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「HANNIBAL: Rome vs. Carthage」は、紀元前219年~201年に渡って戦われた第2次ポエニ戦争を扱ったSLGである。1996年に米国Avalon Hill社から出版されて作品で、その後2007年にカナダのValley Games社から再販された。さらに別の2社から再販されていることから、本作が評判の良い作品であったことがわかる。

今回、本作を対面でプレイしてみた。筆者はローマ陣営を担当する。

前回まで

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4Turn(BC215-214)

ローマ軍は「ローマの盾」ファビウス・マクシムスを副執政官(プロコンスル)に指名し、新たな執政官(コンスル)を選択する。今回引いて来たのは、ティベリウス・センプロニウス・ロングスとガイウス・テレンティウス・ウァロの2人。いずれもコンスル経験者で、ロングスは3度目、ヴァロは2度目の就任となる。

先のTurn、イタリアの戦いで大損害を被っていたハンニバル軍は、アルプスを越えて一旦ガリアに撤退。しかしその撤退行の間に貴重な象部隊1戦力を失ってしまう。パォーン。

ローマ軍は執政官ロングス麾下の1戦力をバレンシア島に侵攻させた。カルタゴ軍の注意をローマ本国から逸らすのが目的である。

あとで気づいたのですが、コンスルは常に5戦力を付随させておかないといけない、というルールを失念していました。

Cart_Magoカルタゴ軍は、ハンニバルの弟であるマゴ・バルカ(Mago)が1戦力を率いてバレンシア島に渡らせる。西地中海の制海権を得ていたローマ軍と異なり、カルタゴ軍の渡海作戦は海没の危険を伴うものであった。しかしマゴはその賭けに勝ってバレンシア上陸に成功。島内の戦闘でローマ軍を撃破し、執政官ロングスは命かながらローマ本国に逃げ帰った(このゲーム、ハンニバルと大スキピオ以外は絶対死ぬことはない)。

ローマ軍はもう1人の執政官ヴァロが5戦力を率いてバレンシアに上陸する。ローマ軍の強みは海上機動力にあるのだ。5倍の兵力相手ではさすがのハンニバル一族でも勝ち目はなく、マゴは兵を見捨てて本国へ撤退していった。

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ハンニバル本人はガリア南部のローマ側港湾都市マッシリア(現在のマルセイユ)を包囲し、その攻略に着手した。

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5Turn(BC213-212)

Roma_Marcellusプロコンスルは今回もファビウス・マクシムス。新たな執政官は、前回にバレンシアで戦勝を飾ったガイウス・テレンティウス・ウァロと・・・。そして遂に登場、「ローマの剣」マルクス・クラウディウス・マルケッルスが執政官に就任した。ここに至り、ローマ軍もようやく人材がそろってきた。

まずこのTurnの最初にハンニバルによって包囲されていたマッシリアが陥落した。ローマは南ガリアの重要拠点を失ったことになる。

ローマはバレンシアにいたヴァロが5戦力を率いて渡海。アフリカの西ヌミディア国の港町サルデー(Saldae)に上陸した。

「ローマ軍、アフリカに上陸す」

その報に接したカルタゴ元老院も即座に対応。バレンシア島から戻ってきたマゴ・バルカに7戦力を与えて海路でサルデーに向かわせた。無事に海輸を終えたマゴのカルタゴ軍は、ローマ軍に襲いかかる。兵力、指揮官の能力、さらには地の利を得ていたカルタゴ軍はローマ軍を圧倒。ローマ軍は成す術もなく敗走。西ヌミディアの奥地に逃げるしかなかった。

「やはり、いきなりアフリカ上陸はやり過ぎだったか・・・」

と後悔するローマ軍であったが、後の祭りであった。

ローマで準備を整えた新コンスルのマルケッルスは、9戦力を率いて地中海を渡海。南ガリアのニース(Nice)に上陸した。ハンニバルは4戦力を率いて迎撃に向かう。風光明媚なニースの街で、ハンニバルの「ローマの剣」マルケッルスが初めて激突する。兵力に勝るローマ軍であったが、ハンニバルは果敢に攻撃を実施。ハンニバルは終始主導権を取り続けたが。マルケッルスはハンニバルの攻撃を悉く跳ね返した。とうとうハンニバルはカードを全て使い切って敗北。戦力の半数を失ったハンニバルはやっとの思いで後退していった。

マルケッルスは、マッシリアを包囲し攻城戦を行う。しかしマッシリアの攻囲が続く中、スペインで兵力を回復させたハンニバルが、ガリアに戻ってきた。ハンニバルは5戦力、マルケッルスは6戦力。兵力的にはローマ軍が有利だが、相手は戦術の天才ハンニバルである。この程度の兵力差は物ともしない。4ラウンドの戦いでローマ軍は脆くも敗退。3戦力を失ってアルプスの麓に後退していった。

「ハンニバル、強ぇー」

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6Turn(BC211-210)

Roma_Scipio_Africanusローマ最強のスキピオ・アフリカヌス(Scipio Africanus)が遂に登場してきた。ハンニバルハンニバルと互角の能力を持つローマ軍の至宝である。もっとも、その最期は(ハンニバル同様)あまり幸せな終わり方ではなかったそうだが・・・。ちなみにこの時のスキピオは25歳でハンニバルとは11歳違い。この時期、彼は副執政官(プロコンスル)の立場であり、執政官就任は彼がイベリア半島のカルタゴを一掃した後のBC205年とされている。

スキピオは10戦力を率いて海路ニースに上陸。マッシリア攻略戦に着手した。ハンニバルの目の前に上陸したのである。明らかにハンニバルを挑発した動きである。ハンニバルは僅かに4戦力しかなかったが、若きスキピオの挑戦を受けて立った。南ガリアのマッシリアにて、ハンニバルとスキピオ。2人の名将が激突する。(まるでラインハルトとヤンの対決だな、どっちがラインハルトかは別として・・・)

スキピオはハンニバル軍の左翼を猛攻。あえて左翼を手薄にしていた(つまりカードが少なかった)ハンニバル軍は不意を突かれて敗走してしまう。後に「マッシリアの戦い」と呼ばれる合戦は、スキピオの勝利に終わった。
ハンニバルは象部隊と共にイベリア半島を後退していったが、スキピオ軍はそれを追撃し、ハンニバルを捕縛に成功。この時点で第2次ポエニ戦争は事実上の終結を迎えた。ハンニバルが捕縛された場所は、イベリア半島付け根にあるタラッコ(Tarraco)という町である。奇しくも史実に置いてスキピオ・アフリカヌスがスペイン攻略のための基地とした場所であった。

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感想

記録を見ると、前回プレイしたのは10年前であった。 その時の記録によれば
「ちょこちょこプレイしていきたい作品です」
と書かれていたが、まさかその次のプレイが10年後になるとは、当時は予想してなかっただろう。
という訳で久しぶりのプレイであったが、やはり面白い。ルールはシンプルだが、カードドリブンゲームなのである程度の慣れは必要。実力差が大きい相手とはプレイしたくない作品だが、同程度の実力同士なら伯仲したゲームが楽しめるのではないだろうか。ルールは比較的シンプルな上、慣れればサクサク進むので、1日に数回プレイすることも可能だろう。カードを使った合戦が盛り上がる点も良い。難点と言えば、Valley Games版は箱が大きいので可搬性に難があることぐらいか・・・。

ちなみにこのゲームをプレイするにあたって塩野七生氏の「ローマ人の物語II - ハンニバル戦記」を読んでみた。単行本版で400ページ近い大作だが、この本を読むとゲームの中で描かれている事象が生き生きと感じるようになる。本作をプレイする際には、是非一読をお奨めしたい作品だ。

VaG_Hannibal表紙




Hannibal-ボードゲーム
ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II