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「The Datk Sands」(以下、本作)は、2018年に米GMT社から出版されたシミュレーションゲームである。デザインはTed S.Raicerで、1940年から42年までの北アフリカ戦を再現する。

前回、コンパス作戦のシナリオを紹介した。そこで次はシナリオ3「クルセーダー」を試してみた。これは1941年11月~12月に実施された英軍によるクルセーダー作戦を再現するシナリオである。長さは僅か2Turn。英軍はこの短時間の間にトブルクを包囲する独軍を撃破し、トブルクを解放しなければならない。

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8Turn(1941年11月)

主導権は英軍。英軍が選んだ主導権チットは「増援」。司令部2個が盤上にいないので、増援で司令部2個を投入するという算段である。
次に引いたのが「イタリア第21軍団」。トブルクを包囲している第21軍団だが、ここは何もしない。
次に引いたのが「アフリカ軍団」。これも枢軸軍にとっては勿体ない。アフリカ軍団の指揮範囲内にドイツ軍がいないからだ。ここも何もしない。
次に「英軍移動」が来た。英軍にとってはチャンスである。相手がドイツ軍なので大胆な包囲戦は行わず、あくまでも慎重に歩戦連合で前進。リビア国境でドイツ軍の前線と接敵する。

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次が「英軍戦闘」。英軍にとっては理想的である。接敵した状態のまま攻勢を仕掛ける。ソルーム(Sollum 2141)付近の戦闘でドイツ、イタリア軍を撃破した英軍は、ドイツ第21装甲師団の自動車化連隊(5-5-8)を包囲した。

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次に連続2回で「補給」を引く。先の自動車化連隊が補給切れとなった。枢軸軍にとっては痛い所だ。しかし切り札「ロンメル」はまだ使わない。
次に枢軸軍待望の「移動1/2・戦闘」を引く。枢軸軍は「移動1/2」を選択する。ただしルール12.7.1によりドイツ第15、21装甲師団の部隊は、移動と戦闘が同時に実施できる。ドイツ軍装甲部隊の卓越した柔軟性を再現するルール。らしい。
第15、21師団のスタックが英第7機甲師団を攻撃する。戦力比4-1でDRM+1。結果は"EX"。英軍部隊は壊滅したが、ドイツ軍も貴重な4Stepを失った。
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次に引いたのが「英第30軍団」。しかし早くも機甲ステップの約半数を失った英軍にとって、反撃は不可能。前線に陣地を構築しつつ守りを固める。
そして「枢軸軍1/2移動・戦闘+1」である。ドイツ軍装甲部隊が再び猛威を発揮し、シディ・オマール(Sidi Omar 1840)付近でエジプト領内に侵入。英軍を撃破して英軍戦線の背後に回り込まんとしていた。

ここで枢軸軍は「ロンメル・チット」を投入する。第30軍団に対して2-1攻撃を仕掛けるが、英軍がありったけのアセットを投入して1-1までコラムダウン。結果は"DR"で第30軍団は後退していく。
最後は英第13軍団。独軍の突破に備えて深めの戦線を構築する。

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ロンメルチットが意外に使えないのに驚き。ドイツ装甲部隊の強さは尋常ではないが、EXを出されると結構もろい。そして実はロンメルよりも優秀な王金レック。

9Turn(1941年12月)

このTurn、ドイツ軍装甲補充はなし、英軍は3Stepの装甲補充を得た。その結果、ドイツ軍の戦車は残り9Step(他にイタリア軍戦車Step)に対し、英軍は7Step。戦車戦力では枢軸軍が優勢だが、歩兵戦力では英側が優勢なので、総合的には優劣つけがたい。
このTurnも主導権は英軍側にある。そこで「英軍増援」を最初に投入した。このTurn、大量の増援部隊が英軍に登場するため、それを有効活用するためである。
そして英軍は、優先チット「オーキンレック」をここで使うことにした。最前線の部隊を前線に投入するためである。英軍はトブルク正面を含めて計3ヵ所で攻勢を仕掛けたが、成功したのは実質的に1ヵ所のみ。ハルファヤ峠(Halfaya Pass)の西側でドイツ軍自動車化歩兵(5-5-8)を攻撃。これを撃破して、前線のドイツ装甲スタックの後方連絡線を遮断した。

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枢軸軍はここで「ロンメルチット」を投入。包囲下にある装甲部隊の救出を画策する。2-1 DRM+2の攻撃が、出目"6"で結果はなんと"EX"。英軍4Stepと引き換えにドイツ軍は虎の子戦車4Stepを失った。

次に引いたのは「英第13軍団」。歩兵中心の部隊が前進する。先の戦闘で生き残ったドイツ軍戦車1Stepが集中攻撃を受けて壊滅する。

次は「枢軸軍1/2移動・戦闘+1」である。戦車戦力の大半を失ったドイツ・アフリカ軍団に攻勢能力はない。ドイツ軍は英軍の反撃を避けるために徐々に後退する。
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その次は「英軍移動」。英軍は全軍を西に向けて前進させる。
さらに次は「イタリア第21軍団」。トブルクを包囲している第21軍団だが、トブルクを攻撃するには力不足なので、ここも何もしない。
そしてその次が「英軍戦闘」。英軍にとっては良いタイミングである。英軍はEX等によってドイツ軍を蹴散らし、少しずつ前進していく。

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「補給」を挟んで、「枢軸軍」の移動。ギリギリで枢軸軍が前線を再構築する。
結局、英軍は枢軸軍の前線を突破できず、トブルク解放もならなかった。勝利条件的には枢軸軍の勝利だが、さて、どうやれば英軍が勝てるんだろ?。
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プレイを終わった後に気が付いたが、英軍は毎Turn「トブルク」チットを使用できる。すっかり忘れとったわ・・・。


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