191005_世界の艦船

世界の艦船増刊158集「世界の海軍2019-2020」

海人社

ミリタリーバランスの海軍版的な内容であり、2019年3月における世界の海軍について、戦力概要が記されている。毎年発刊されているので、例えば10年前のものと見比べてみよう。
まず世界最強のアメリカ海軍だが、潜水艦は72隻から3隻減の69隻。空母は11隻で横ばいだが、「エンタープライズ」が退役し「G.R.フォード」が就役。巡洋艦は22隻のまま、駆逐艦68隻は15隻増で、フリゲート艦は前回30隻が今回0である。全般的には米海軍の戦力は横ばいまたは微減といった所。
成長著しい中国海軍は、空母「遼寧」(2012年就役)が一番の目玉。10年前は改造工事中とされていた。また弾道ミサイル潜水艦「晋」級は、10年前は建造中であったが、今回は4隻就役済である。もっと顕著なのは水上艦艇で10年前は情報すらなかった「旅洋3」型が既に11隻就役済。さらに1万トンを超える「055」型の情報も加わっている。
我が海上自衛隊は、潜水艦16->19隻、護衛艦53->48隻と、いずれも概ね横ばい。最新の「そうりゅう」級は、前回1隻から今回は10隻となり、潜水艦戦力の質的強化は着実に進んでいる。またDDHは前回空母型は「ひゅうが」1艦のみだったのに対し、今回は「いずも」級2隻、「ひゅうが」級2隻がいずれも空母型となり、さらに「いずも」級にF-35Bの搭載が計画されているなど、こちらも強化が進んでいる。水上艦は、前回はイージス艦6隻に対して今回は変化なし(「まや」「はぐろ」は本書の執筆時点では就役前)、汎用護衛艦は「あきづき」級4隻、「あさひ」級2隻が加わっている。全般に海上自衛隊の戦力強化は着実に進んでいるが、周辺諸国の軍事力強化と比較した場合、後手に回っている感は否めない。

お奨め度★★★